第三種電気主任技術者の過去問
令和4年度(2022年)下期
理論 問22

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和4年度(2022年)下期 理論 問22 (訂正依頼・報告はこちら)

図1の回路は、電流帰還バイアス回路に結合容量を介して、微小な振幅の交流電圧を加えている。この入力電圧の振幅がAi=100mV、角周波数がω=10000rad/sで、時刻t[s]に対してvi(t)[mV]がvi(t)=Ai sinωtと表されるとき、次の問に答えよ。

図1の回路の電圧vC(t)を求め、適当な定数VC、AC、θCを用いてvC(t)=VC+ACsin(ωt+θC)と表す。VC、AC、θCに最も近い値の組合せを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、ベース・エミッタ間電圧は常に0.7Vであると近似して考えてよい。
問題文の画像
  • VC:5[V]  AC:0.6[V]  θC:0[rad]
  • VC:5[V]  AC:6[V]   θC:0[rad]
  • VC:5[V]  AC:6[V]   θC:π[rad]
  • VC:7[V]  AC:0.6[V]  θC:π[rad]
  • VC:7[V]  AC:6[V]   θC:π[rad]

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この過去問の解説 (1件)

01

電流帰還バイアス回路の電圧値に関する各パラメータを求める計算問題です。

選択肢4. VC:7[V]  AC:0.6[V]  θC:π[rad]

◆エミッタ電圧vE(t)、エミッタ電流iE(t)を求めます。

前問の結果を、与えられたvB(t)の式に代入します。

 vB(t) = VB + ABsin(ωt+θB)

  = 1.5 + 100×10-3sin(ωt+0)

  = 1.5 + 0.1sinωt [V]

エミッタ電圧vE(t)は vE(t) = vB(t) − VBE で求めることができ、

VBE = 0.7[V]と与えられているので、

 vE(t) = vB(t) − VBE

  = 1.5 + 0.1sinωt − 0.7

  = 0.8 + 0.1sinωt [V]

エミッタ電流iE(t)は、iE(t) = vE(t) / (0.8×103) で求めることができます。

分かっている値を代入し、整理すると、

 iE(t) = vE(t) / (0.8×103)

  = (0.8+0.1sinωt) / (0.8×103)

  = (1+0.125sinωt)×10-3 [A]

となります。

◆ベース電流iB(t)がコレクタ電流iC(t)に比べて十分に小さい場合を仮定し、

コレクタ電圧vC(t)を求め、問題にあるパラメータを求めます。

ベース電流がコレクタ電流に比べて十分に小さい場合、

 iC(t) ≒ iE(t)

と近似することができます。

これを利用し、図1の5[kΩ]、0.8[k]、12[V]を含む閉回路におけるコレクタ電圧vC(t)を求めます。

 vC(t) = 12 − 5×103 × iC(t)

   = 12 − 5×103 × iE(t)

   = 12 − 5×103 × (1+0.125sinωt)×10-3

   = 12 − 5×(1+0.125sinωt)

   = 12 − 5 − 0.625sinωt

   = 7 − 0.625sinωt

この式は iC(t) ≒ iE(t) と近似して代入しているため、

エミッタ接地回路の特徴である

「入力電圧と出力電圧が逆位相になる」

が考慮されていません。

この式の逆位相とは、180°(π[rad])進めたものなので、

 vC(t) = 7 + 0.625sin(ωt+π)

となります。

(逆位相がイメージしにくい場合は、簡易的でいいので波形を描いてみましょう。)

したがって、求めるパラメータは、

 vC = 7 [V]

 AC = 0.625 ≒ 0.6 [V]

 θC = π [rad]

となります。

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