第三種電気主任技術者の過去問
令和4年度(2022年)下期
電力 問1
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問題
第三種 電気主任技術者試験 令和4年度(2022年)下期 電力 問1 (訂正依頼・報告はこちら)
水力発電に関する記述として、誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 水管を流れる水の物理的性質を示す式として知られるベルヌーイの定理は、エネルギー保存の法則に基づく定理である。
- 水力発電所には、一般的に短時間で起動・停止ができる、耐用年数が長い、エネルギー変換効率が高いなどの特徴がある。
- 水力発電は昭和30年代前半まで我が国の発電の主力であったが、現在ではエネルギーの安定供給と経済性及び地球環境への貢献の観点から多様な発電方式が運用されており、我が国における水力発電の近年の発電電力量の比率は20%程度である。
- 河川の1日の流量を、年間を通して流量の多いものから順番に配列して描いた流況曲線は、発電電力量の計画において重要な情報となる。
- 総落差から損失水頭を差し引いたものを一般に有効落差という。有効落差に相当する位置エネルギーが水車に動力として供給される。
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この過去問の解説 (2件)
01
水力発電の特徴や現在の概況に関する問題です。
ベルヌーイの定理は、
流速v、圧力p、密度ρ、重力加速度g、位置水頭h
を用いて計算したエネルギーの総和は、
エネルギー保存則により、どの位置でも等しくなるというものです。
水力発電所には、短時間で起動・停止ができる、耐用年数が長い、エネルギー変換効率が高いなどの特徴があります。
昭和30年代前半までは水力発電が主力でしたが、その後は火力発電が主力となり、現在は様々な発電方式が組み合わせられています。
2019年時点では、
天然ガス37.1%
石炭31.9%
石油など6.8%
水力7.8%
水力以外の再生可能エネルギー10.3%
となっています。
2019年時点の発電構成を見てみると、水力発電は10%未満となっています。
試験前に、最新の発電構成をチェックしておきましょう。
流況曲線とは、河川の1日の流量を年間を通して流量の多い順に配列した曲線で、水力発電の電力量の計画において重要な情報となります。
有効落差とは、総落差(取水面の高さ)から損失水頭(損失するエネルギーに相当する高さに換算した高さ)を差し引いたものです。
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02
水力発電とは日本国内で用いられる発電方式の一つであり、河川やダムなどの水の落差を利用し、水車を回転させて発電する方式です。この問題はその水力発電に関する記述で誤っているものを選択する問題となります。
ベルヌーイの定理とは3つのエネルギーを高さに置き換えた①位置水頭②圧力水頭③速度水頭の総和を言い、その総和はエネルギー保存則によって一定となり、公式は以下のようになります。
・h+(p/mg)+(v2/2g)[m]
①位置水頭‥mgh[J]/mg=h[m]
②圧力水頭‥mp/ρ[J]/mg=p/ρg[m]
③速度水頭‥mv2/2[J]/mg=v2/2g[m]
※水頭はエネルギーを(質量×重力加速度)で割ったものとなります。
よってこの記述は適切です。
水力発電は水の落差を利用して水車を回転させ、その回転力で発電機を起動するしくみとなります。なので起動時間は3~5分程度であり停止も即座に出来ます。またエネルギー変換効率も80%と再生可能エネルギーの中でも圧倒的に高く、耐用年数も長いので近年再注目されています。よってこの記述は適切です。
この記述は誤りです。
前半部の昭和30年代前半までの発電の主力という記述は正しいですが、我が国における水力発電の近年の発電電力量の比率は2022年度で7.6%となっており20%程度ではないため誤りと言えます。
水力発電には河川の落差を利用した水路式発電方式があります。なので河川の1年間の日流量データを大きな流量から順に並べかえた流況曲線は発電電力量の計画において重要な情報となります。よってこの記述は適切です。
文中の総落差とは放水面と貯水池の水面の高さの差を言い、損失水頭は水路などを流れる時に摩擦によって発生するエネルギー損失を言います。この総落差から損失水頭を差し引いたものを有効落差と言い、水車に動力として供給されます。よってこの記述は適切です。
水力発電はCO2を排出しない再生可能エネルギー扱いとなります。近年カーボンニュートラルを目指す動きが社会全体で広がっており、電気主任技術者試験においても関連する問題が出題されている印象があります。
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