第三種電気主任技術者の過去問
令和4年度(2022年)下期
電力 問9
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問題
第三種 電気主任技術者試験 令和4年度(2022年)下期 電力 問9 (訂正依頼・報告はこちら)
交流三相3線式1回線の送電線路があり、受電端に遅れ力率角θ[rad]の負荷が接続されている。送電端の線間電圧をVS[V]、受電端の線間電圧をVr[V]、その間の相差角はδ[rad]である。
受電端の負荷に供給されている三相有効電力[W]を表す式として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、送電端と受電端の間における電線1線当たりの誘導性リアクタンスはX[Ω]とし、線路の抵抗、静電容量は無視するものとする。
受電端の負荷に供給されている三相有効電力[W]を表す式として、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、送電端と受電端の間における電線1線当たりの誘導性リアクタンスはX[Ω]とし、線路の抵抗、静電容量は無視するものとする。
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この過去問の解説 (2件)
01
送電線で送電される三相有効電力に関する計算問題です。
まず、必要な量記号や単位を整理していきます。
送電端の線間電圧:Vs [V]
受電端の線間電圧:Vr [V]
相差角:δ [rad]
送電端の相電圧:Es [V]
受電端の相電圧:Er [V]
力率角:θ [rad] ※遅れ力率
◆1相あたりの有効電力を文字式で表します。
P = √3 × VrIcosθ ……①
◆ベクトル図からIcosθを求めます。
・赤い三角から※を求める式を導き出します。
※ = Essinδ
・緑色の三角から※を求める式を導き出します。
※ = XIcosθ
「XI」は、リアクタンスで起こる電圧降下を示しています。
同じ部分を求めているので、
Essinδ = XIcosθ
とすることができ、
Icosθ = Essinδ/X ……②
となります。
◆②を①に代入して、1相あたりの有効電力の式を求めます。
P = √3 × VrIcosθ
= √3 × Vr × Essinδ/X
ここで、Esは相電圧なので、線間電圧Vsで表すとVs./√3となるので
P = √3 × Vr × Essinδ/X
= √3 × Vr × Vssinδ/√3X
= (VrVs/X) × sinδ
となります。
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02
送電線路の受電端の負荷に供給されている三相有効電力[W]を表す式を求める問題です。公式は以下のようになります。
・三相有効電力P[W]=√3×Vr×I×cosθ‥①
※Vr:受電端の線間電圧[V]、I:線電流[A]、cosθ:遅れ力率角
以上のようになります。ここで各選択肢を見ていくと上記①式は含まれていません。なので①式とイコールの式を求めなければなりません。
この問題では電線1線当たりの誘導性リアクタンスX[Ω]が与えられ、各選択肢にも含まれています。なので電圧降下を考慮する必要があります。(問題文より線路の抵抗、静電容量は無視する)
また、相差角δ[rad]も与えられているのでベクトル和を描き、その結果の直角三角形から求める作業が必要となります。
①1相分のベクトルを受電端相電圧Erを基準にします。(始点より向かって右方向の直線)
②基準線Erの終点を交点①とします。
③電流Iは遅れ力率なので基準線Erの始点より右下方向30°に向けて線を伸ばします。
④電流Iの延長した線と交点①の下方向の垂線が交わると直角(90°)ができます。
⑤ここで直角三角形①が下方向にできます。
⑥次に交点①(基準線Erの終点)より斜め上方向に線を延長させます。(直角三角形①底辺の延長)
⑦⑥で伸ばした線は電圧降下XI[V]になります。
⑧電圧降下XIの終点を交点②とします。
⑨基準線Erの始点から交点②へ線を伸ばします。
⑩⑨の線が送電端相電圧Esとなり、始点のErとEsの角度が相差角δ[rad]になります。
⑪ここで直角ではない三角形ができます。
⑫次に交点②(電圧降下XI、送電端相電圧Esの終点)より真下に垂線を下ろします。
⑬交点①(基準線Erの終点)からも真横に延長線を伸ばします。
⑭交点①と交点②の垂線が交わると直角(90°)ができます。直角三角形②とします。
⑮ここで直角三角形①と直角三角形②は相似となるので交点②はXIを斜辺とすると角度はcosθとなり、直角三角形②の交点②からの垂線の長さはXIcosθとなります。
⑯次に基準線Erの線と直角三角形②の底辺を含んだ線を基準とします。
⑰交点②(送電端相電圧Esの終点)から垂直に線を下ろすと⑯の線と交わり直角ができます。
⑱この⑰の線は⑮の線と同じなのでXIcosθとなります。
⑲さらに受電端相電圧Erと送電端相電圧Esの相差角δから見ると⑰の線はEssinδとなります。
⑳よってXIcosθ=Essinδが成立します。
上記⑳の式をIcosθを基準として変形させた式は次のようになります。
・Icosθ=Essinδ/X‥② ※Icosθ=Essinδ÷X
上記②の式を冒頭の三相有効電力P[W]=√3×Vr×I×cosθに代入します。
・P[W]=√3×Vr×Essinδ/X‥③ ※√3×Vr×Essinδ÷X
そして送電端相電圧Esを送電端の線間電圧VSに変換します。
線間電圧VS=Es/√3 ※送電端相電圧Es÷√3
これを考慮した三相有効電力Pの式は次のようになります。
・P[W]=√3×Vr×(VS/√3)sinδ/X ※√3は消えます。
・P[W]=VrVSsinδ/X
以上のようになります。
解説の冒頭で述べている式と一致するので適切です。
解説の冒頭で述べている式と一致しないので不適切です。
解説の冒頭で述べている式と一致しないので不適切です。
解説の冒頭で述べている式と一致しないので不適切です。
解説の冒頭で述べている式と一致しないので不適切です。
今回の問題のポイントは公式丸暗記でも解けますが、覚えていなくても理屈を理解してれば正解を導けます。ベクトルと三角関数は徹底的に学習することをお薦め致します。
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