第三種電気主任技術者の過去問
令和4年度(2022年)下期
電力 問17

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第三種 電気主任技術者試験 令和4年度(2022年)下期 電力 問17 (訂正依頼・報告はこちら)

電線1線の抵抗が6Ω、誘導性リアクタンスが4Ωである三相3線式送電線について、次の問に答えよ。

受電端電圧を60kV、送電線での電圧降下率を受電端電圧基準で10%に保つものとする。この受電端に、力率80%(遅れ)の負荷を接続する。この場合、受電可能な三相皮相電力の値[MV・A]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
  • 28.9
  • 42.9
  • 50
  • 60.5
  • 86.6

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

三相皮相電力の値を求める計算問題となります。

・三相皮相電力S[MV・A]=√3×受電端電圧Vr×電流I‥①

上記が皮相電力の公式となります。また力率と三相皮相電力Sの関係性は次のようになります。

・力率=三相有効電力P[W]÷三相皮相電力S[V・A]‥②

今回は上記①式を利用して求めていきたいと思います。

まずは電流I[A]を求めていきます。

問題では電圧降下率10%が与えれていますので、電圧降下[V]を求めます。

・電圧降下=受電端電圧60×103×電圧降下率0.1=6×103[V]=6[kV]‥③

※[k]=1×103、10[%]=10÷100(百分率)=0.1

三相3線式送電線の電圧降下を求める式は次のようになります。

・電圧降下[V]=√3×電流I×(抵抗Rcosθ+リアクタンスXsinθ)‥④

④式に数値を当てはめていきます。

・6×103[V]=√3×電流I×(6×0.8+4×0.6)‥⑤

※sinθ=√12-0.82=0.6

⑤式を変形させます。

・電流I=60×103÷√3×(6×0.8+4×0.6)≒4811.5[A]=4.81[kA]‥⑥

最後に①式に上記で求めた値を代入します。

・三相皮相電力S=√3×6×103×4.81×103≒49.98×10650[MV・A]

以上のようになります。

選択肢1. 28.9

解説の冒頭の数値と一致しないので不適切です。

選択肢2. 42.9

解説の冒頭の数値と一致しないので不適切です。

選択肢3. 50

解説の冒頭の数値と一致するので適切です。

選択肢4. 60.5

解説の冒頭の数値と一致しないので不適切です。

選択肢5. 86.6

解説の冒頭の数値と一致しないので不適切です。

まとめ

今回の問題では三相3線式となっているため電圧降下の式は√3倍となっておりますが、単相2線式や単相3線式によって数値が変わるので気を付けてください。

参考になった数1

02

受電端に接続可能な皮相電力を求める計算問題です。

選択肢3. 50

◆電圧降下率εと受電端電圧Vrから、電圧降下vを求めます

 ε = v/Vr

 v = εVr

  = 0.1×60×103

  = 6×103

  = 6[kV]

◆電圧降下vを文字式で表します

 v = √3I(Rcosθ + Xsinθ) ……①

◆三相3線式の皮相電力の公式を変形して電流Iを求め、①に代入します

 S = √3×VrIより

 I = S/√3Vr

 v = √3I(Rcosθ + Xsinθ)

  = {√3×(S/√3Vr)}(Rcosθ + Xsinθ)

  = (S/√3Vr)(Rcosθ + Xsinθ) ……②

◆三角関数の関係からsinθを求めます

 sinθ = √(1 − cos2θ)

  = √(1 − 0.82)

  = 0.6

◆②を変形して、皮相電力Sを求めます

 v = (S/√3Vr)(Rcosθ + Xsinθ)より

 S = vVr/(Rcosθ + Xsinθ)

  = (6×103×60×103)/(6×0.8 + 4×0.6)

  = 360×106/7.2

  = 50×106[VA]

  = 50[MVA]

参考になった数0