第三種電気主任技術者の過去問
令和4年度(2022年)下期
機械 問16

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和4年度(2022年)下期 機械 問16 (訂正依頼・報告はこちら)

図は、抵抗、インダクタンス、キャパシタンスで構成されたRLC回路である。次の問に答えよ。

図において、R=1Ω、L=0.01H、C=100μFとした場合、(前問) で求めた伝達関数を表すボード線図(ゲイン特性図)として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
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この過去問の解説 (2件)

01

前問で求めた伝達関数G(jω)=1/1-ω2LC+jωCRに数値を代入し、計算結果を元に周波数伝達関数のゲイン[dB]を求めた上で各選択肢のボード線図(ゲイン特性図)に照らし合わせて答えを求めていきたいと思います。

ω[rad/s]=100の時の伝達関数G(jω)を求めていきます。

ω[rad/s]=100を代入した計算過程は次のようになります。

ω2LC=1002×0.01×100×10-6=0.01

・jωCR=j100×100×10-6×1=j0.01

上記の数値をG(jω)=1/1-ω2LC+jωCRに代入します。

・G(jω)=1/1-0.01+j0.01≒1

上記の結果を受けて周波数伝達関数のゲイン[dB]を求めます。

・g=20log10|G(jω)|=20log10×1=0[dB]

ω[rad/s]=100の時、G(jω)=0[dB]のボード線図が適切となります。

次にω[rad/s]=1000の時の伝達関数G(jω)を求めていきます。

ω[rad/s]=1000を代入した計算過程は次のようになります。

ω2LC=10002×0.01×100×10-6=1

・jωCR=j1000×100×10-6×1=j0.1

上記の数値をG(jω)=1/1-ω2LC+jωCRに代入します。

・G(jω)=1/1-1+j0.1≒j10

上記の結果を受けて周波数伝達関数のゲイン[dB]を求めます。

・g=20log10|G(jω)|=20log10×10=20[dB]

ω[rad/s]=1000の時、G(jω)=20[dB]のボード線図が適切となります。

以上の計算結果を踏まえて各選択肢を見ていきます。

選択肢1. 解答選択肢の画像

ω[rad/s]=100の時、G(jω)=-20[dB]、ω[rad/s]=1000の時、G(jω)=20[dB]のボード線図ですが、ω[rad/s]=100の時の数値が誤りなのでこの選択肢は不適切です。

選択肢2. 解答選択肢の画像

ω[rad/s]=100の時、G(jω)=-20[dB]、ω[rad/s]=1000の時、G(jω)=40[dB]のボード線図ですが、ω[rad/s]=100、ω[rad/s]=1000の時の数値共に誤りなのでこの選択肢は不適切です。

選択肢3. 解答選択肢の画像

ω[rad/s]=100の時、G(jω)=-20[dB]、ω[rad/s]=1000の時、G(jω)=-20[dB]のボード線図ですが、ω[rad/s]=100、ω[rad/s]=1000の時の数値共に誤りなのでこの選択肢は不適切です。

選択肢4. 解答選択肢の画像

ω[rad/s]=100の時、G(jω)=0[dB]、ω[rad/s]=1000の時、G(jω)=20[dB]のボード線図なのでこの選択肢は適切です。

選択肢5. 解答選択肢の画像

ω[rad/s]=100の時、G(jω)=0[dB]、ω[rad/s]=1000の時、G(jω)=0[dB]のボード線図ですが、ω[rad/s]=1000の時の数値が誤りなのでこの選択肢は不適切です。

まとめ

近年の機械科目では自動制御に関する問題の重要性が年々高まっています。今後も類似問題が出題されると思いますので基礎から徹底的に勉強される事をお薦め致します。

参考になった数1

02

RLC回路におけるボード線図(ゲイン特性図)を求める計算問題です。

計算に必要な値などは以下の通りです。

 抵抗:R = 1 [Ω]

 コイル:L = 0.01 [H]

 コンデンサ:C = 100 [μF]

ゲインを求める公式

 G[dB] = 20 log10|G(jω)|

※この公式の詳細は、基礎制御工学の書籍などを参考にしてください。

覚えておくと便利なこと

 log101 = 0

 log1010 = 1

選択肢4. 解答選択肢の画像

◆|G(jω)|を求めます。

G(jω)は前問で得た答えを使用します。

基本的な絶対値の求め方は、数学や電気基礎の複素数とベクトルを参照してください。

 |G(jω)| = | 1/(1 − ω2CL + jωCR) |

   = 1/√{ (1 − ω2CL)2+(ωCR)2 }

   = { √(1 − ω2CL)2 + (ωCR)2 }−1

   = { (1 − ω2CL)2 + (ωCR)2 }−1/2  ……①

  補足:√を指数関数で表すと1/2乗になる証明

   (√X)2 = X

   X1/2 × X1/2 = X

◆G = 20 log10|G(jω)| に①とRLCの値を代入します。

 G = 20 log10 {(1 − ω2CL)2 + (ωCR)2}−1/2

  = −10 log10 {(1 − ω2CL)2 + (ωCR)2}

  = −10 log10 {(1 − ω2 × 100 × 10−6 × 0.01)2 + (ω × 100 × 10-6 × 1)2}

  = −10 log10 {(1 − 10−6 × ω2)2 + (10−4 × ω)2}  ……②

◆②にω = 100 [rad/s]を代入してゲインを求めます。

 G = −10 log10 {(1 − 10−6 × ω2)2 + (10−4 × ω)2}

  = −10 log10 {(1 − 10−6 × 1002)2 + (10−4 × 100)2}

{(1 − 10−6 × 1002)2 + (10−4 × 100)2} ≒ 1 となるので

 G = −10 log101 = 0 [dB]

◆②にω = 1000 [rad/s]を代入してゲインを求めます。

 G = −10 log10 {(1 − 10−6 × ω2)2 + (10−4 × ω)2}

  = −10 log10 {(1 − 10−6 × 10002)2 + (10−4 × 1000)2}

{(1 − 10−6 × 10002)2 + (10−4 × 1000)2} = 0.01 = 10−2 となるので

 G = −10 log1010−2

  = 20 log1010

  = 20 [dB]

◆②にω = 10000 [rad/s]を代入してゲインを求めます。

 G = −10 log10 {(1 − 10−6 × ω2)2 + (10−4 × ω)2}

  = −10 log10 {(1 − 10−6 × 100002)2 + (10−4 × 10000)2}

{(1 − 10−6 × 100002)2 + (10−4 × 10000)2} ≒ 104となるので

 G = −10 log10104

  = −40 log1010

  = −40 [dB]

ω = 100、1000、10000でそれぞれ計算した値を通るボード線図は、この選択肢となります。

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