この問題は分散型電源の系統連系設備に関する記述問題です。
分散型電源とは、事業の用に共する電気工作物(電気事業用電気工作物)を営む者以外の者が設置する発電設備などで、一般送配電事業者が運用する電力系統に連系するものであり太陽光発電池設備などが主な例です。
各空白箇所は次のようになります。
・( ア )‥停止
逆変換装置とはインバータとも呼ばれており、直流電源を交流電源に変換する装置です。
分散型電源から供給される電力は大半が太陽電池や燃料電池などの直流電力であり、電力系統に連系するには交流電力に変換する必要があります。なので逆変換装置(インバータ)の設置が必須になりますが、変換するにあたって一つの問題があります。それは高調波の発生です。
高調波が発生してしまうと、基本波の3倍や5倍の周波数(第3高調波、第5高調波)が発生し電路や電気機器に影響を与えてしまいます。
逆変換装置から高調波を含んだままの電力を一般送配電事業者の電力系統に連系してしまうと波及事故につながってしまうので、その抑止対策として受電点と逆変換装置との間に変圧器を設置します。変圧器を設置できない場合は逆変換装置に直流検出時の交流出力を停止する機能を有することとなります。なので(ア)は停止となります。
・( イ )‥非接地式電路
逆変換装置の交流側(出力)には中性点接地式電路が採用されていますが、直流側(入力)は非接地式電路になります。理由としては仮に直流側にも接地を行うと交流側と直流側が大地間で導通状態となり、直流側で発生するひずみ波を含む電流が接地を通じて交流側にも流れ込んでしまい、影響を与える恐れがあるからです。なので(イ)は非接地式電路となります。
・( ウ )‥高周波変圧器
逆変換装置では直流電力を高調波の交流電力に変換して変圧と絶縁をした後、一旦直流電力に戻してそれを商用周波数の交流電力に変換します。この工程に対応できる機器は高周波変圧器となります。高周波変圧器の特徴として重量が軽く、寸法が小さいのでパワーコンディショナーに搭載されております。
・( エ )‥低圧
空白部分の前後の文章より低圧が推測できます。
選択肢1. ア:停止 イ:中性点接地式電路 ウ:高周波変圧器 エ:低圧
選択肢2. ア:抑制 イ:中性点接地式電路 ウ:高周波チョッパ エ:高圧
選択肢3. ア:停止 イ:非接地式電路 ウ:高周波変圧器 エ:高圧
選択肢4. ア:停止 イ:非接地式電路 ウ:高周波変圧器 エ:低圧
選択肢5. ア:抑制 イ:非接地式電路 ウ:高周波チョッパ エ:低圧
まとめ
この問題は類題として以前電験2種一次試験で出題されたことがあり、3種では初めて出題された内容なので初見では、なかなか厳しい問題と言えます。ただ、分散型電源の問題は近年必ず出題されており、その中でも逆変換装置は重要項目といえます。なのでまずは基礎的な所を重点的に勉強されるのをお薦め致します。