第三種電気主任技術者の過去問
令和4年度(2022年)下期
法規 問8

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和4年度(2022年)下期 法規 問8 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章は、「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に関する記述である。

a)逆変換装置を用いて分散型電源を電力系統に連系する場合は、逆変換装置から直流が電力系統へ流出することを防止するために、受電点と逆変換装置との間に変圧器(単巻変圧器を除く)を施設すること。ただし、次の①及び②に適合する場合は、この限りでない。
①逆変換装置の交流出力側で直流を検出し、かつ、直流検出時に交流出力を( ア )する機能を有すること。
②次のいずれかに適合すること。
・逆変換装置の直流側電路が( イ )であること。
・逆変換装置に( ウ )を用いていること。
b)分散型電源の連系により、一般送配電事業者が運用する電力系統の短絡容量が、当該分散型電源設置者以外の者が設置する遮断器の遮断容量又は電線の瞬時許容電流等を上回るおそれがあるときは、分散型電源設置者において、限流リアクトルその他の短絡電流を制限する装置を施設すること。ただし、( エ )の電力系統に逆変換装置を用いて分散型電源を連系する場合は、この限りでない。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
  • ア:停止  イ:中性点接地式電路  ウ:高周波変圧器   エ:低圧
  • ア:抑制  イ:中性点接地式電路  ウ:高周波チョッパ  エ:高圧
  • ア:停止  イ:非接地式電路    ウ:高周波変圧器   エ:高圧
  • ア:停止  イ:非接地式電路    ウ:高周波変圧器   エ:低圧
  • ア:抑制  イ:非接地式電路    ウ:高周波チョッパ  エ:低圧

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この過去問の解説 (2件)

01

分散型電源の系統連系設備に関する穴埋め問題です。

この問題は、「電気設備の技術基準の解釈」の第221条および第222条から出題されています。

選択肢4. ア:停止  イ:非接地式電路    ウ:高周波変圧器   エ:低圧

・(ア)停止、(イ)非接地式電路、(ウ)高周波変圧器

<電気設備の技術基準の解釈第221条>

逆変換装置を用いて分散型電源を電力系統に連系する場合は、逆変換装置から直流が電力系統へ流出することを防止するために、受電点と逆変換装置との間に変圧器(単巻変圧器を除く。)を施設すること。ただし、次の各号に適合する場合は、この限りでない。

一 逆変換装置の交流出力側で直流を検出し、かつ、直流検出時に交流出力を停止する機能を有すること。

二 次のいずれかに適合すること。

 イ 逆変換装置の直流側電路が非接地であること。

 ロ 逆変換装置に高周波変圧器を用いていること。

2 前項の規定により設置する変圧器は、直流流出防止専用であることを要しない。

・(エ)低圧

<電気設備の技術基準の解釈第222条>

分散型電源の連系により、一般送配電事業者が運用する電力系統の短絡容量が、当該分散型電源設置者以外の者が設置する遮断器の遮断容量又は電線の瞬時許容電流等を上回るおそれがあるときは、分散型電源設置者において、限流リアクトルその他の短絡電流を制限する装置を施設すること。ただし、低圧の電力系統に逆変換装置を用いて分散型電源を連系する場合は、この限りでない。

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02

この問題は分散型電源の系統連系設備に関する記述問題です。

分散型電源とは、事業の用に共する電気工作物(電気事業用電気工作物)を営む者以外の者が設置する発電設備などで、一般送配電事業者が運用する電力系統に連系するものであり太陽光発電池設備などが主な例です。

各空白箇所は次のようになります。

・( ア )‥停止

逆変換装置とはインバータとも呼ばれており、直流電源を交流電源に変換する装置です。

分散型電源から供給される電力は大半が太陽電池や燃料電池などの直流電力であり、電力系統に連系するには交流電力に変換する必要があります。なので逆変換装置(インバータ)の設置が必須になりますが、変換するにあたって一つの問題があります。それは高調波の発生です。

高調波が発生してしまうと、基本波の3倍や5倍の周波数(第3高調波、第5高調波)が発生し電路や電気機器に影響を与えてしまいます。

逆変換装置から高調波を含んだままの電力を一般送配電事業者の電力系統に連系してしまうと波及事故につながってしまうので、その抑止対策として受電点と逆変換装置との間に変圧器を設置します。変圧器を設置できない場合は逆変換装置に直流検出時の交流出力を停止する機能を有することとなります。なので(ア)は停止となります。

・( イ )‥非接地式電路

逆変換装置の交流側(出力)には中性点接地式電路が採用されていますが、直流側(入力)は非接地式電路になります。理由としては仮に直流側にも接地を行うと交流側と直流側が大地間で導通状態となり、直流側で発生するひずみ波を含む電流が接地を通じて交流側にも流れ込んでしまい、影響を与える恐れがあるからです。なので(イ)は非接地式電路となります。

・( ウ )‥高周波変圧器

逆変換装置では直流電力を高調波の交流電力に変換して変圧と絶縁をした後、一旦直流電力に戻してそれを商用周波数の交流電力に変換します。この工程に対応できる機器は高周波変圧器となります。高周波変圧器の特徴として重量が軽く、寸法が小さいのでパワーコンディショナーに搭載されております。

・( エ )‥低圧

空白部分の前後の文章より低圧が推測できます。

選択肢1. ア:停止  イ:中性点接地式電路  ウ:高周波変圧器   エ:低圧

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢2. ア:抑制  イ:中性点接地式電路  ウ:高周波チョッパ  エ:高圧

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢3. ア:停止  イ:非接地式電路    ウ:高周波変圧器   エ:高圧

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

選択肢4. ア:停止  イ:非接地式電路    ウ:高周波変圧器   エ:低圧

解説の冒頭の内容と一致するので適切です。

選択肢5. ア:抑制  イ:非接地式電路    ウ:高周波チョッパ  エ:低圧

解説の冒頭の内容と一致しないので不適切です。

まとめ

この問題は類題として以前電験2種一次試験で出題されたことがあり、3種では初めて出題された内容なので初見では、なかなか厳しい問題と言えます。ただ、分散型電源の問題は近年必ず出題されており、その中でも逆変換装置は重要項目といえます。なのでまずは基礎的な所を重点的に勉強されるのをお薦め致します。

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