第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和5年度(2023年)下期
問22 (理論 問18(b))

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和5年度(2023年)下期 問22(理論 問18(b)) (訂正依頼・報告はこちら)

図1は、飽和領域で動作する接合形FETを用いた増幅回路を示し、図中のvi並びにvoはそれぞれ、入力と出力の小信号交流電圧[V]を表す。
また、図2は、その増幅回路で使用するFETのゲート−ソース間電圧Vgs[V]に対するドレーン電流Id[mA]の特性を示している。
抵抗RG=1MΩ、RD=5kΩ、RL=2.5kΩ、直流電源電圧VDD=20Vとするとき、次の問に答えよ。

図2の特性曲線の点Pにおける接線の傾きを読むことで、FETの相互コンダクタンスがgm=6mSであるとわかる。この値を用いて、増幅回路の小信号交流等価回路をかくと図3となる。ここで、コンデンサC1、C2、CSのインピーダンスが使用する周波数で十分に小さいときを考えており、FETの出力インピーダンスがRD[kΩ]やRL[kΩ]より十分大きいとしている。
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この過去問の解説 (2件)

01

接合形FETを用いた増幅回路の増幅度を求める計算問題です。

 

計算に必要な値と量記号は以下の通りです。

 

抵抗RD:5[kΩ]

抵抗RL:2.5[kΩ]

FETの相互コンダクタンスgm:6[mS]

 

RDとRLの合成抵抗:R[kΩ]

選択肢1. 10

問題文で与えられた等価回路には、下図のような流れでgmvi[A]の電流が流れていま

す。

 

これを踏まえて、問題を解いていきます。

 

◆RDとRLの合成抵抗を求めます

 

R=(RDRL)/(RD+RL)

=(5✕103✕2.5✕103)/(5✕103+2.5✕103)

=12.5/7.5[kΩ]

=5/3[kΩ]

 

◆出力電圧v0を求めます

オームの法則より

 

v0=gmviR

=6✕10-3✕vi✕(5/3)✕103

=2✕vi✕(5/3)

=10vi …①

 

となります。

 

◆増幅度を求めます

増幅度の式は問題文で与えられているので、①を代入して整理します。

 

Av=∣v0/vi

=∣10vi/vi

=10

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02

この問題を解くポイントは増幅回路の動作と増幅率の計算です。

それでは問題を見ていきましょう。

選択肢1. 10

増幅回路の電圧増幅率Avは、出力電圧voと入力電圧viの比として定義されます。

Av​=vo​÷vi​

この回路では、出力インピーダンスがRDとRLの並列接続となるため、まず合成抵抗RDLを求めます。

RD​L=RD​×RL​÷(RD​+RL​)

 

次に、FETのドレイン電流idは、入力電圧viに対して相互コンダクタンスgm​を掛けたもので表されます。

id​=gm​×vi​

よって、出力電圧vo​は以下のように求められます。

vo​=id​×RD​L

代入すると、vo​=gm​×vi​×RD​L

電圧増幅率Avは次のように計算できます。

Av​=vo÷vi​=gm​×RD​L

 

数値を代入します。

RD​=5000Ω,RL​=2500Ω,gm​=0.006A÷V

RD​L=5000×2500÷(5000+2500)

=1666.7Ω

 

Av​=0.006×1666.7 ≒10

最も近いのは10で正解となります。

まとめ

増幅回路の電圧増幅率は、FETの相互コンダクタンスと出力負荷抵抗の積で求めます。

基本公式を押さえておけば簡単に計算できます。

一言知識

FET増幅回路では、ゲートに電流が流れないため、バイアス設計が容易で高入力インピーダンスを持つ特性があります。

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