第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和5年度(2023年)下期
問35 (電力 問13)

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和5年度(2023年)下期 問35(電力 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

単相2線式及び単相3線式の線路での電力損失について、次の問に答えよ。

下図のように、単相100Vの抵抗負荷に単相2線式及び単相3線式の低圧配電方式で送電する。負荷の総容量は同一であり、3線式の場合、負荷は図のように線間に均等分割されるものとする。単相2線式での線路の抵抗損を1とすると、単相3線式の線路の抵抗損は1/5であった。このとき、単相2線式での線路の1線当たりの抵抗に対して、単相3線式での線路の1線当たりの抵抗はどのような大きさとなるか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
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この過去問の解説 (2件)

01

単相3線式の線路で発生する抵抗損が、

単相2線式の線路で発生する抵抗線の何倍であるかを求める問題です。

この問題に必要な量記号や値は以下の通り。

単相2線式の線路に流れる電流:I2[A]
単相2線式の線路での抵抗損:r2[Ω]
単相2線式の線路での損失:PL2[W]
単相3線式の線路に流れる電流:I3[A]
単相3線式の線路での抵抗損:r3[Ω]
単相3線式の線路での損失:PL3[W]

単相100Vの電圧:V[V]

単相2線式と単相3線式の抵抗損の比率は、

問題文より単相2線式が1、単相3線式が1/5となっています。

 

また、抵抗損や電流、電圧を追記した回路図は以下のようになります。

 

 

選択肢4. 0.8倍

◆単相2線式の線路での損失の式を導出します。

 

抵抗損を考慮しない状態での電流は

 

I2=PL/V[A] ……①

 

となります。

 

次に、抵抗損を考慮した損失は

 

PL2=I22×2r2[W] ……②

 

ここで、②に①を代入して整理します。

 

PL2=2(PL/V)2×r2[W] ……③

 

◆単相3線式の線路での損失の式を導出します

求め方は単相2線式の時と同様です。

ここで注意が必要なのが単相3線式の真ん中の線路と電圧です。

 

問題文には「負荷は均等分割される」とあるので、真ん中の線路には電流は流れません

 

また、単相3線式の上下の線の間の電圧は図より2V[V]となることに十分に注意してください。

従って、単相3線式の損失は以下のようになります。

 

I3=PL/2V[A]

 

PL3=I32×2r3[W]

=2×(PL/2V)2×r3

2×(1/4)×(PL/V)2×r3

=(1/2)×(PL/V)2×r3[W] ……④

 

◆③と④の式、単相2線式と単相3線式の抵抗損の比率から、

単相3線式の抵抗損が単相2線式の比率の何倍になるかを求めます

 

PL2:PL3=1:5

2(PL/V)2×r2:(1/2)×(PL/V)2×r3=1:1/5

(1/2)(PL/V)2×r3=(2/5)×(PL/V)2×r2

(1/2)(PL/V)2×r3=(2/5)×(PL/V)2×r2

(1/2)×r3=(2/5)×r2

r3=(4/5)×r2

=0.8r2

 

従って、単相3線式の線路における抵抗損は単相2線式の線路における抵抗損の0.8倍となります。

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02

この問題を解くポイントは、単相2線式と単相3線式の電力損失の違いを理解し、

線路1本あたりの抵抗比を求めることです。

それでは問題を見ていきましょう。

選択肢4. 0.8倍

1.与えられた条件をもとに、単相2線式と単相3線式の線路1本あたりの抵抗比を求めます。

 

2. 電流の関係

単相2線式では、全負荷が1本の線に流れるため、電流をIとすると、

I = PL ÷ 100 [A] 

単相3線式では、負荷が均等に分割されるため、

それぞれの線に流れる電流をI' とすると、

I' = 2 × (PL ÷ 2) ÷ 200 = PL ÷ 200 [A]

よって、電流の比は、

I : I' = 2 : 1 となります。

 

3. 電力損失の計算をします。

電力損失は抵抗と電流の2乗に比例するため、単相2線式の線路損失Plossは次の式で表せます。

Ploss = 2 × I2 × R [W]

一方、単相3線式では中性線に電流が流れず、損失は2線分となるため、

P'loss = 2 × I'2 × R' [W]

比率を求めると、

R' ÷ R = P'loss ÷ Ploss × (I2 ÷ I'2)

ここで、

I2 ÷ I'2 = (2 ÷ 1)2 = 4

問題文より、

R' ÷ R = 1 ÷ 5

よって、

R' ÷ R = (1 ÷ 5) × 4 = 0.8

正解は0.8倍です。

まとめ

単相3線式では、負荷を均等に分配することで、電流を低減し線路損失を抑えることができます。

その結果、線路1本あたりの抵抗も単相2線式に比べて低くなります。

一言知識

単相3線式の利点:

・電圧降下が小さい:中性線を利用することで、電圧変動を抑えることが可能です。

・電力損失が小さい:電流を分散させることで、線路の発熱を抑えられます。

この特徴を押さえておくと、配電設計の理解が深まります。

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