第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和5年度(2023年)下期
問39 (電力 問16(a))

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和5年度(2023年)下期 問39(電力 問16(a)) (訂正依頼・報告はこちら)

図のような系統において、昇圧用変圧器の容量は30MV・A、変圧比は11kV/33kV、百分率インピーダンスは自己容量基準で7.8%、計器用変流器(CT)の変流比は400A/5Aである。系統の点Fにおいて、三相短絡事故が発生し、1800Aの短絡電流が流れたとき、次の問に答えよ。
ただし、CTの磁気飽和は考慮しないものとする。

系統の基準容量を10MV・Aとしたとき、事故点Fから電源側をみた百分率インピーダンスの値[%]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、三相短絡事故時に事故点から電源側を見た時の

百分率インピーダンスを求める問題です。

 

この問題に必要な量記号や値は以下の通り。

基準容量Pn:10[MV·A]=10✕106[kV·A]

基準電圧Vn:33[kV]

三相短絡電流IS:1800[A]

 

昇圧用変圧器2次側の定格電流:In[A]

百分率インピーダンス:%Z[%]

選択肢2. 9.7

◆昇圧用変圧器2次側の定格電流を求めます

In=Pn/√3Vn

=10✕106/√3✕33✕103

≒175.0[A]

 

◆事故点Fから電源側を見た時の百分率インピーダンスを求めます

百分率インピーダンスの短絡電流を求める公式を変形して、

 

%Z=100In/IS=100✕175.0/1800

≒9.72[%]

 

従って、最も近い選択肢は9.7[A]となります。

 

※注意!

この問題では昇圧用変圧器の百分率インピーダンスが値として与えられていますが、

使いません。

その理由は、事故点から電源側を見た時に変圧器の手前に遮断器があるため。

どこからどこを見ているのかに注意して、

計算をする必要があることに注意が必要となります。

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02

この問題を解くポイントは「百分率インピーダンスの求め方」です。

それでは問題を見ていきましょう。

選択肢2. 9.7

百分率インピーダンス(%Z)は、定格電流と短絡電流を利用して求めることができます。

これは以下の式で表されます。

%Z=(I÷IS)×100 [%]

・%Z:百分率インピーダンス [%]

・I:定格電流 [A]

・IS:短絡電流 [A]

問題文より、短絡電流IS=1800Aです。あとは定格電流Iを求めれば、%Zが算出できます。

 

1. 定格電流Iの計算をします。

定格電流Iは、基準容量Sと二次側の定格電圧Vを用いて求めます。

I=S÷(√3×V) [A]

・S=10MVA=10×10⁶VA

・V=33kV=33×10³V

代入して計算すると、

I=(10×10⁶)÷(√3×33×10³)
=(10×10⁶)÷(57.14×10³)
=174.95 [A]

 

2. 百分率インピーダンス%Zの計算をします。

上記で求めたIを百分率インピーダンスの公式に代入します。

%Z=(I÷IS)×100
=(174.95÷1800)×100
=9.72 [%]

 

9.7[%]が正解となります。

まとめ

百分率インピーダンスは、定格電流と短絡電流の比を100倍したものです。

この計算方法は頻出なので、しっかり覚えておきましょう。

一言知識

「百分率インピーダンス」は、電力系統の短絡容量や保護リレーの整定値を決める上で重要な指標です。

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