第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和6年度(2024年)上期
問22 (理論 問18(b))

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問題

第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和6年度(2024年)上期 問22(理論 問18(b)) (訂正依頼・報告はこちら)

無線通信で行われるアナログ変調・復調に関する記述について、次の問に答えよ。

図1は、トランジスタの( ア )に信号波の電圧を加えて振幅変調を行う回路の原理図である。電圧v1、v2、v3の波形を同時に計測したところ図2のいずれかであった。このとき、電圧v1の波形は( イ )、v2の波形は( ウ )、v3の波形は( エ )である。図2のグラフより振幅変調の変調率を計算すると約( オ )%となる。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次のうちから一つ選べ。
ただし、図2のそれぞれの電圧波形間の位相関係は無視するものとする。
問題文の画像
  • ア:コレクタ  イ:図2(c)  ウ:図2(a)  エ:図2(b)  オ:33
  • ア:コレクタ  イ:図2(c)  ウ:図2(b)  エ:図2(a)  オ:67
  • ア:ベース   イ:図2(b)  ウ:図2(a)  エ:図2(c)  オ:50
  • ア:エミッタ  イ:図2(b)  ウ:図2(c)  エ:図2(a)  オ:67
  • ア:ベース   イ:図2(c)  ウ:図2(a)  エ:図2(b)  オ:33

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この過去問の解説 (3件)

01

トランジスタを使った回路におけるアナログ変調・復調に関する穴埋め問題です。

選択肢5. ア:ベース   イ:図2(c)  ウ:図2(a)  エ:図2(b)  オ:33

(ア)ベース

図1のトランジスタは、ベースが入力、コレクタが出力となっています。

したがって、ベースには変調された信号(信号波+搬送波)が入力として入ります。

 

(イ)図2(c)

題意より、v1は搬送波となります。

 

(ウ)図2(a)

題意より、v2は信号波となります。

 

(エ)図2(b)

題意より、v3は変調波となります。

 

(オ)33

変調波のみが与えられている場合の変調度は、変調波の振幅の最大値と最小値から求めることができます。

振幅の最大値をa、振幅の最小値をsとすると、

 

(a-s)/(a+s)=(4-2)/(4+2)

≒0.33 →33[%]

 

この計算には注意が必要な部分があります。

図2(b)で与えられている値が、正の最大値から負の最大値までの全振幅であるということ。

 

振幅とは、中心値と最大値との差を意味しています。

この問題では0[V]が中心値となっているので、単純に2で割った値で計算をしています。

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02

前問からの続きとなります。

図1の回路は、ベース側の信号波の電圧v1、搬送波の電圧v2を合成し振幅変調を行った上で電圧v3として出力しています。

信号波v1は前問より周波数が高くなっているため、波形としては図2(c)が該当します。

搬送波v2の波形は逆に周波数が小さくなっているため図2(a)となります。さらにこの二つの波形を合成させたv3図2(b)のようになります。

 

最後に変調率を求めますが、変調率は振幅の最大値と最小値の以下の関係性から求めることが出来ます。

・変調率=(最大値-最小値/最大値+最小値)×100

 

ここで求める変調率は出力v3の波形である図2(b)から読み取り求めることができます。

最大値が8Vで最小値が4Vなので変調率は次のようになります。

 

・変調率=(8-4/8+4)×100≒33[%]

よって各空白箇所は次のようになります。

( ア )‥ベース、( イ )‥図2(c)、( ウ )‥図2(a)、( エ )‥図2(b)、( オ )‥33

以上となります。

選択肢5. ア:ベース   イ:図2(c)  ウ:図2(a)  エ:図2(b)  オ:33

こちらが適切な解答となります。

まとめ

少し特殊な問題ともいえますが、こちらも選択問題となっておりますので、興味がある方や得意な方は是非チャレンジしてみてください。

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03

この問題は、無線通信で行われるアナログ変調・復調に関するものです。

空白箇所(ア)〜(オ)に当てはまるものは以下のとおりです。

ア:ベース   イ:図2(c)  ウ:図2(a)  エ:図2(b)  オ:33

 

トランジスタとは

トランジスタは、図1の丸で囲まれた記号で、その中の3本の線(端子)がベース、コレクタ、エミッタです。

矢印が付いている端子がエミッタで、その反対側にある端子がコレクタです。

エミッタとコレクタの両方に接続している端子がベースです。

1. ベース:トランジスタの制御端子。ベースにわずかな電流・電圧を加えることによって、コレクタ・エミッタを流れる電流をコントロールします。

2. コレクタ:電流が流れ込んだり流れ出したりする端子の一つ。ベースによって制御されエミッタから供給される電荷を集めます(collect)。

3. エミッタ:電流が流れ込んだり流れ出したりする端子の一つ。電荷をベースに放出(emit)します。

 

(ア)問題文の「( ア )に信号波の電圧を加えて」という文脈から、アに当てはまるのはベースと判断できます。

 

図2の波形

(a) 他の波形に比べて周波数が低くなっています。無線通信では伝送したい音声・データの情報は、搬送波よりもかなり周波数が低くなっています。よって(a)は信号波であると考えられます。

 

(b) (a)に比べて周波数が非常に高くなっています。さらに包絡線の振幅が時間とともに変化しています。よって、(b)は振幅変調波(AM波)であると考えられます。

 

(c) (b)と同様に周波数が高くなっています。波形の振幅は時間によって変化していないので、情報を乗せる前の無変調状態の搬送波であると考えられます。

 

以上を踏まえてv1、v2、v3と波形の対応関係を考えます。

回路図を見ると、v1とv2は入力(トランジスタのベースに向かっている)で、v3は出力(トランジスタのコレクタ回路に接続している)と考えられます。

振幅変調回路では、信号波と搬送波が入力、振幅変調波が出力です。

よって、v3は出力である振幅変調波なので、図2(b)に対応しています。

 

残りのv1とv2は、それぞれ信号波と搬送波のいずれかです。

(ア)がベースで、(エ)が図2(b)であることから正解の選択肢は、

 ア:ベース   イ:図2(c)  ウ:図2(a)  エ:図2(b)  オ:33

に絞られます。

v1が搬送波(c)で、v2が信号波(a)であるのは、振幅変調回路の一般的な構成として適当です。

 

振幅変調の変調率

既に正解は33%であることがわかっていますが、変調率を振幅変調波(図2(b))の値から計算します。

最大振幅をVmax、最小振幅をVminとすると、変調率mは次の式で表されます。

 m=(VmaxーVmin)/(Vmax+Vmin)

ここにVmax=4、Vmin=2を代入して、

 m=(4ー2)/(4+2)=1/3

これを百分率で表すと、33%です。

まとめ

信号波、搬送波、変調波それぞれの役割と波形の特徴を把握しておきましょう。

変調波の波形から最大振幅と最小振幅を読み取って、変調率を算出できるようにしておきましょう。

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