第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和6年度(2024年)上期
問31 (電力 問9)
問題文
各種過電圧に対する電力系統の絶縁設計の考え方に関する記述として、誤っているものを次のうちから一つ選べ。
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問題
第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和6年度(2024年)上期 問31(電力 問9) (訂正依頼・報告はこちら)
各種過電圧に対する電力系統の絶縁設計の考え方に関する記述として、誤っているものを次のうちから一つ選べ。
- 絶縁協調とは、送電線路や発変電所に設置される電力設備等の絶縁について、安全性と経済性のとれた絶縁設計を行うために、外部過電圧そのものの大きさを低減することである。
- 避雷器は、過電圧の波高値がある値を超えた場合、特性要素に電流が流れることにより過電圧値を制限して電力設備の絶縁を保護し、かつ、続流を短時間のうちに遮断して原状に自復する機能を持った装置である。
- 架空送電線路の絶縁は、外部過電圧に対しては、必ずしも十分に耐えるように設計されるとは限らない。
- 送電線路の絶縁及び発変電所に設置される電力設備等の絶縁は、いずれも原則として、内部過電圧に対しては十分に耐えるように設計される。
- 発変電所に設置される電力設備等の絶縁は、外部過電圧に対しては、避雷器によって保護されることを前提に設計される。その保護レベルは、避雷器の制限電圧に基づいて決まる。
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この過去問の解説 (3件)
01
電力系統に現れる過電圧の原因と対策に関する記述で、誤っているものを選択する問題です。
絶縁協調とは、高電圧系統全体として安全かつ経済的に絶縁設計を行うことです。
外部過電圧に耐えたり、外部過電圧を低減するような設計は経済的負担が大きくなるため、この選択肢の記述が誤りとなります。
避雷器は過電圧を制限して、電気機器や設備を保護します。
避雷器は過電圧を処理した後、すぐに高抵抗に戻るので続流は流れません。
問題文の通りです。
問題文の通りです。
問題文の通りです。
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02
過電圧に対する電力系統の絶縁設計では、安全性と経済性が考慮されています。
誤りのある記述です。
絶縁協調とは、過電圧の大きさを低減することと、過電圧に対する設備の耐性を高めることによって、絶縁レベルを最適化する考え方です。外部過電圧そのものを低減することだけではありません。
正しい記述です。
避雷器は、一定値以上の過電圧を制限し、電力設備を保護する装置です。
正しい記述です。
過電圧の大きさを完全に予測することが不可能であり、過度に高い絶縁耐力を持たせることは経済的に非現実的です。
正しい記述です。
内部過電圧は、ある程度制御可能です。電力設備の絶縁耐力を適切に設計することによって、事故を防止することができます。
正しい記述です。
発変電所の電力設備は、外部過電圧(雷サージ)に対して、避雷器によって保護されることを前提に絶縁が設計されます。避雷器の制限電圧は、設備の絶縁耐力を決定する重要な要素です。
過電圧の種類と発生原因、絶縁協調の考え方、避雷器の役割と機能を正しく理解しておきましょう。
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03
送配電系統に現れる異常電圧に関する知識問題となります。
異常電圧の種類は主に二つあり、落雷などの誘導雷で発生する雷サージ電圧(外部過電圧)と電線路の開閉操作等にサージ電圧(アーク)、地絡事故発生に伴う電位上昇などの二つに分類されます。
各それぞれの選択肢から誤った記述を選択する問題となります。
理想の絶縁協調とは予測されるすべての過電圧に対して耐えられるものとなりますが、コスト面などを考慮すると現実的に厳しくなります。そこで避雷器を設置することにより、制限電圧を設け機器の絶縁強度をそれ以上にすることで、経済的、合理的に機器配置絶縁設計を実施できます。
ただ外部過電圧自体をコントロールすることは不可なのでこの記述は誤りです。
記述文中の「過電圧の波高値がある値を超えた場合、特性要素に電流が流れること」とありますがこれは電圧が低い間は電流が流れず、ある電圧を超えると急激に電流が流れる非直線特性の事を言い避雷器の大きな特徴の一つです。また避雷器に電流が流れ始めたらただちに動作し大地に放電することにより電位上昇を抑制します。この時に流れる電流を続流と呼び、この続流が流れ続けると大地との地絡状態となってしまうため、短時間のうちに遮断して自復する機能を持っています。
よってこの記述は適切です。
外部過電圧は自然現象となるため予測以上の電圧が発生することも考えられます。なので設計時に経済的なコストを考慮するとある程度までの電圧は抑制できますが、すべての外部過電圧までは耐えられないのでこの記述は適切です。
内部過電圧は主に電線路の開閉操作等に伴う開閉サージ電圧と地絡事故時等に発生する短時間交流過電圧となるので、機器の設計段階で計算値としてある程度の予測は可能となります。さらに機器選定に関しては予測計算値よりもさらに大きめな機器で選定されるので内部過電圧に対しては十分に耐えるように設計されていると言えます。よってこの記述は適切です。
この記述は適切です。ちなみに発変電所に用いられる避雷器は主に酸化亜鉛(ZnO)形ギャップレス避雷器が使用されています。
専門用語が羅列していて難しく考えてしまいがちですが、熟読すると単純なことを述べている文章もあるので、その判別ができるよう日々の学習で養っていただければ幸いです。
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