第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和6年度(2024年)上期
問33 (電力 問11)

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問題

第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和6年度(2024年)上期 問33(電力 問11) (訂正依頼・報告はこちら)

送配電方式として広く採用されている交流三相方式に関する記述として、誤っているものを次のうちから一つ選べ。
  • 電源側をY結線としたうえで、中性線を施設して三相4線式とすると、線間電圧と相電圧の両方を容易に取り出して利用できるようになる。
  • 同一材料の電線を使用して、同じ線間電圧で同じ電力を同じ距離に、同じ損失で送電する場合に必要な電線の総重量は、三相3線式でも単相2線式と同等である。
  • 回転磁界が容易に得られるため、動力源として三相誘導電動機の活用に便利である。
  • 三相回路が平衡している場合、三相交流全体の瞬時電力は時間に無関係な一定値となり、単相交流の場合のように脈動しないという利点がある。
  • 発電機では、同じ出力ならば、単相の場合に比べるとより小形に設計できて効率がよい。

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この過去問の解説 (3件)

01

交流三相方式に関する記述で、誤っているものを選択する問題です。

選択肢1. 電源側をY結線としたうえで、中性線を施設して三相4線式とすると、線間電圧と相電圧の両方を容易に取り出して利用できるようになる。

問題文の通りです。

選択肢2. 同一材料の電線を使用して、同じ線間電圧で同じ電力を同じ距離に、同じ損失で送電する場合に必要な電線の総重量は、三相3線式でも単相2線式と同等である。

電線の総重量を求めるにあたり、

 

・線路電流

・線路抵抗、

・単相2線式と三相3線式の電線の断面積の関係

 

についても考える必要があります。

 

◆線路電流

単相2線式:P=VI2cosθより、I2=P/Vcosθ

三相3線式:P=√3VI3cosθより、I3=P/√3Vcosθ=I2/√3

 

◆線路抵抗

単相2線式:PL=2r2I22より、r2=PL/2I22

三相3線式:PL=3r3I32より、r3=PL/3I32=PL/3(I2/√3)2=PL/I22=2r2

 

◆単相2線式と三相3線式の電線の断面積の関係

電線の抵抗と断面積・長さの関係は、R=ρ(l/S)で求められます。

問題文では単相2線式と三相3線式は同じ材質で同じ長さとされているので、以下の式が成り立ちます。

 

S2/S3=r3/r2

S2/S3=2r2/r2

S2/S3=2

S2=2S3

 

単相2線式の電線の断面積は、三相3線式の2倍になることが分かりました。

 

◆単相2線式と三相3線式の電線の総重量の関係

電線の総重量は、断面積✕長さで求められます。

したがって、以下の関係式が成り立ちます。

 

W2/W3=2S2l/3S3

=2✕2S3l/3S3

=4/3

 

以上のことから、単相2線式の方が三相3線式より総重量が重くなることが分かりました。

選択肢3. 回転磁界が容易に得られるため、動力源として三相誘導電動機の活用に便利である。

問題文の通りです。

選択肢4. 三相回路が平衡している場合、三相交流全体の瞬時電力は時間に無関係な一定値となり、単相交流の場合のように脈動しないという利点がある。

問題文の通りです。

選択肢5. 発電機では、同じ出力ならば、単相の場合に比べるとより小形に設計できて効率がよい。

問題文の通りです。

まとめ

黄色のマーカー部分は、置換する時に間違えやすい部分です。

参考になった数5

02

この問題は、交流三相方式の特性、利点と欠点を問うものです。

選択肢1. 電源側をY結線としたうえで、中性線を施設して三相4線式とすると、線間電圧と相電圧の両方を容易に取り出して利用できるようになる。

正しい記述です。

電源側をY結線とし、中性線を施設して三相4線式とすると、線間電圧と相電圧の両方を利用できます。Y結線の場合、線間電圧は相電圧の√3倍です。

選択肢2. 同一材料の電線を使用して、同じ線間電圧で同じ電力を同じ距離に、同じ損失で送電する場合に必要な電線の総重量は、三相3線式でも単相2線式と同等である。

誤りのある記述です。

この場合に必要な電線の総重量は、三相3線式の方が単相2線式よりも小さくなります。

選択肢3. 回転磁界が容易に得られるため、動力源として三相誘導電動機の活用に便利である。

正しい記述です。

交流三相方式では、回転磁界が容易に得られるため、動力源として三相誘導電動機の活用に便利です。

選択肢4. 三相回路が平衡している場合、三相交流全体の瞬時電力は時間に無関係な一定値となり、単相交流の場合のように脈動しないという利点がある。

正しい記述です。

これによって、機械への振動や騒音を低減できます。

選択肢5. 発電機では、同じ出力ならば、単相の場合に比べるとより小形に設計できて効率がよい。

正しい記述です。

三相発電機は単相発電機よりも小型で軽量であり、出力密度が高くなっています。

まとめ

交流三相方式における線間電圧、相電圧、電力を理解し、三相回路の計算方法を習得しておきましょう。
 

参考になった数2

03

この問題は交流三相方式に関する記述で誤った記述を選択する問題となります。

ポイントは三相式と単相式を比較したときの利点や違いを認識しているかになります。

各それぞれの選択肢を見ていきましょう。

選択肢1. 電源側をY結線としたうえで、中性線を施設して三相4線式とすると、線間電圧と相電圧の両方を容易に取り出して利用できるようになる。

三相4線式とは4本の電線で三相交流を供給する方式で変圧器の結線方法はΔーY結線となります。二次側のY結線の中性点は接地されており、そこから大地間と電線との相電圧を取り出す事ができ、当然ながら線間電圧も容易に取り出すことができます。このような配電方式を電灯・動力共用方式と言います。よってこの記述は正しいです。

選択肢2. 同一材料の電線を使用して、同じ線間電圧で同じ電力を同じ距離に、同じ損失で送電する場合に必要な電線の総重量は、三相3線式でも単相2線式と同等である。

同じ条件で三相3線式と単相2線式を比較した時、電線の総重量は同等とはなりません

それぞれの電力損失を比較すると次のようになります。

 

・単相2線式の電力損失Pl=2I2R[W]

・三相3線式の電力損失Pl=I2R[W]

 

上記の関係から三相3線式の抵抗Rは単相2線式の2倍、すなわち2Rとなります。

続いて電線の断面積A[㎡]をρl/Rの式を用いて比較します。

 

・単相2線式の断面積A=ρl/R[㎡]

・三相3線式の断面積A=ρl/2R[㎡]

 

次に重量を「条数×比重×断面積×電線のこう長」の式を用いて比較します。

 

・単相2線式の重量=2×σ×l×ρl/R=2σρl2/R[㎏]

・三相3線式の重量=3×σ×l×ρl/2R=3σρl2/2R[㎏]

 

以上の結果より、総重量は単相2線式の方が大きくなります。

よってこの記述は誤りです。

 

 

選択肢3. 回転磁界が容易に得られるため、動力源として三相誘導電動機の活用に便利である。

回転磁界はコイルに交流電流を流すことで発生させますが、その交流電流に120度位相がずれた三相電源が活用されています。なのでこの記述は正しいです。

選択肢4. 三相回路が平衡している場合、三相交流全体の瞬時電力は時間に無関係な一定値となり、単相交流の場合のように脈動しないという利点がある。

記述通り三相回路が平衡していると三相交流全体の瞬時電力は一定値となり脈動しません。なのでこの記述は正しいです。

選択肢5. 発電機では、同じ出力ならば、単相の場合に比べるとより小形に設計できて効率がよい。

同じ出力ならば三相交流の方が電流値が小さくなり小形に設計できて効率が良くなります。なのでこの記述は正しいです。

まとめ

単相と三相の配電方式の比較は過去にも頻出しています。暗記するのも大切ですが計算で求めるようになればなお良いので是非チャレンジしてみてください。

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