第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和6年度(2024年)上期
問52 (機械 問10)

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問題

第三種 電気主任技術者試験 令和6年度(2024年)上期 問52(機械 問10) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章は、単相半波ダイオード整流回路に関する記述である。

抵抗とリアクトルとを直列接続した負荷に電力を供給する単相半波ダイオード整流回路を図1に示す。スイッチSを開いて運転したときに、負荷力率に応じて負荷電圧edの波形は図2の( ア )となり、負荷電流idの波形は図2の( イ )となった。次にスイッチSを閉じ、環流ダイオードを接続して運転したときには、負荷電圧edの波形は図2の( ウ )となり、負荷電流の流れる期間は、スイッチSを開いて運転したときよりも( エ )。

上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • ア:波形2  イ:波形4  ウ:波形3  エ:長くなる
  • ア:波形1  イ:波形5  ウ:波形3  エ:短くなる
  • ア:波形1  イ:波形5  ウ:波形2  エ:長くなる
  • ア:波形1  イ:波形4  ウ:波形2  エ:長くなる
  • ア:波形2  イ:波形5  ウ:波形3  エ:短くなる

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この過去問の解説 (3件)

01

単相半波整流回路に関する穴埋め問題です。

選択肢3. ア:波形1  イ:波形5  ウ:波形2  エ:長くなる

(ア)波形1

vsが0になった瞬間からリアクトルに蓄えられたエネルギーが放出されるため、vsが負になっても一定時間は負荷電圧が発生します。

 

(イ)波形5

vsが0になった瞬間からリアクトルに蓄えられたエネルギーが放出されるため、vsが負になっても一定時間は負荷電流が発生します。

 

(ウ)波形2

スイッチSを閉じ、環流ダイオードを接続して運転した場合は、リアクトルに蓄えられたエネルギーが放出されても還流ダイオードで遮断器されます。

そのため、vsの負の部分をカットした半波整流波形となります。

 

(エ)長くなる

スイッチSを閉じ、環流ダイオードを接続して運転した場合、vsの負の電圧が加わらない分だけ負荷電流が流れる時間は長くなります。

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02

パワーエレクトロ二クス分野に関する問題です。

 

図1の回路はダイオードを1個用いた整流回路であり、これを単相半波整流回路と呼びます。

ダイオードは1方向にしか電流が流せない特性で交流電圧が正の場合は順方向電圧が加わり、負の場合は逆方向電圧となります。この特性を用いた単相半波整流回路は交流電圧を直流電圧に変換させる事ができます。また負荷に抵抗Rを接続することによって正弦波交流電圧の正の半波のみを整流する回路となります。

図1の回路では負荷側に抵抗Rと直列にリアクトルLが接続されているのがこの問題の一つのポイントとなります。

 

まずは空白箇所( ア )から見ていきます。

スイッチSが開いている時の負荷電圧edは抵抗RとリアクトルLからなる正弦波の波形となりますが、リアクトルは電流の変化を妨げる動きがあり、正の電圧から負の電圧へ切替った際にすぐに0Vとはならず負の電圧がゆるやかに流れ電源電圧vsと等しくなるとダイオードの整流作用で0Vとなります。よって( ア )は波形1となります。

 

次に( イ )の負荷電流idの波形も負荷電圧edと同様に、リアクトルの影響から電源電圧vsが負の電圧になったとしても電流を流そうとする働きがあるため、すぐに0Vにはなりません。よってvsの波形よりも負荷電流idの波形が遅れている波形5が適切となります。

 

次にスイッチSを閉じ、環流ダイオードを接続した時の負荷電圧edの波形を考えていきます。

スイッチSを閉じる前の負荷電圧edは電源電圧vsが負の電圧になったとしても同じように負の電圧が流れるので直流平均電圧が減少してしまいます。それらを防ぐために、還流ダイオード(フリーホイーリングダイオード)を並列に接続します。

還流ダイオードは電源電圧が正の電圧の場合、逆方向電圧となるので電流が流れず開放状態となり閉回路となります。負の電圧になった場合は還流ダイオードは導通し、電流は負荷に還ってくので負荷電圧edには負の電圧は流れません。よって( ウ )の波形は波形2となります。

 

また、電源電圧vsが負の電圧になったとしても還流ダイオードからみると順方向電流となるため負荷電流idの流れる期間はスイッチSが開いている時よりも長くなります。よって( エ )は長くなるとなります。

選択肢3. ア:波形1  イ:波形5  ウ:波形2  エ:長くなる

こちらが適切な解答となります。

まとめ

理論科目で出題される過度現象と平行して学習すると理解度がよく深まると思います。

参考になった数0

03

この問題は、単相半波ダイオード整流回路において、リアクトルが含まれる場合の電圧と電流の波形に関するものです。

空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せは以下のとおりです。

ア:波形1  イ:波形5  ウ:波形2  エ:長くなる

 

スイッチSを開いて運転したとき:

整流ダイオードのみが動作します。負荷にリアクトルが含まれるため、電源電圧vSが負になっても電流は急には変化せず、エネルギーが蓄積されているので、少しの間は負荷電流idが流れます。電流が流れ切ると、負荷電圧edが0になります。

よって、負荷電圧edの波形は図2の(ア:波形1です。

負荷電流idは電源電圧vSが負になっても少しの間は流れて、その後、0になります。

よって、負荷電流idの波形は図2の(イ:波形5)です。

 

スイッチSを閉じて運転したとき:

電源電圧vSが負になると、環流ダイオードに電流が流れて負荷電圧edが0になります。

よって、負荷電圧edの波形は図2の(ウ波形2です。

負荷電流idは環流ダイオードと負荷との閉回路で微電流になるので、負荷電流idの流れる期間は長くなります(エ:長くなる)。

まとめ

環流ダイオードがある場合とない場合の負荷電圧と負荷電流の変化を理解しておきましょう。

参考になった数0