第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和6年度(2024年)上期
問51 (機械 問9)

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問題

第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和6年度(2024年)上期 問51(機械 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

単相変圧器の一次側に電流計、電圧計及び電力計を接続して、二次側を短絡し、一次側に定格周波数の電圧を供給し、電流計が40Aを示すよう一次側の電圧を調整したところ、電圧計は80V、電力計は1200Wを示した。この変圧器の一次側からみた漏れリアクタンス[Ω]の値として、最も近いものを次のうちから一つ選べ。
ただし、電流計、電圧計及び電力計は理想的な計器であるものとする。
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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、単相変圧器の一次側から見た漏れリアクタンスを求めるものです。

以下に計算手順を示します。

 

問題文の整理をします。

与えられた値:

一次側電流 I1=40 A

一次側電圧 V1=80 V

一次側の消費電力 P=1200W

 

求める値:

一次側の漏れリアクタンス X [Ω]

 

1. インピーダンスの計算

一次側全体のインピーダンス Zはオームの法則を使って求められます。

Z=V1/I1

Z=80/40=2.0Ω

 

2. 力率の計算

力率 cos⁡ϕは、電力 P、電圧 V1​、電流 I1から次のように求められます。

cos⁡ϕ=P/V1I1

cos⁡ϕ=1200/80・40=0.375

 

3. インピーダンスの成分分解

インピーダンス Zは実数成分(抵抗成分 R)と虚数成分(漏れリアクタンス X)に分けられます。実数成分 R は次のように求めます。

R=Z・cos⁡ϕ

R=2.0・0.375=0.75Ω

 

漏れリアクタンス Xは次のピタゴラスの定理から求めます。

Z2=R2+X2

X2=Z2–R2

X=√Z2–R2

 

4.計算します。

X=√2.02–0.752

X=√4.0–0.5625=√3.4375≈1.85Ω

 

計算結果に最も近い値は「1.85」です。

選択肢1. 1.28

この選択肢は誤りです。

選択肢2. 1.85

この選択肢は正しいです。

選択肢3. 2

この選択肢は誤りです。

選択肢4. 2.36

この選択肢は誤りです。

選択肢5. 2.57

この選択肢は誤りです。

まとめ

一次側のインピーダンスは、電圧と電流の比で求められます。

漏れリアクタンスは、全インピーダンスから抵抗成分を除いた虚数成分です。

力率を用いてインピーダンスを成分分解する手順を理解しておくことが重要です。

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02

この問題は、変圧器の短絡試験に関するものです。

 

二次側を短絡しているため、変圧器はほぼ短絡インピーダンスのみによって電流が制限されています。

このときの電力P1は、変圧器の巻線抵抗R1によって消費される電力損失にほぼ等しくなります。

よって、一次側の巻線抵抗R1は、P1=I12R1から求められます。

 R1=P1/I12=1200[W]/(40[A])2=0.75[Ω]

 

次に、一次側からみた短絡インピーダンスZ1の絶対値|Z1|は、オームの法則V1=I1|Z1|から求められます。

 |Z1|=V1/I1=80[V]/40[A]=2[Ω]

 

短絡インピーダンスZ1は、巻線抵抗R1と漏れリアクタンスX1の複素数和で表され、その絶対値は、

 |Z1|=√(R12 + X12)


したがって、漏れリアクタンスX1は、
 X1=√(|Z1|2ーR12)=√{(2[Ω])2ー (0.75[Ω])2}=√3.4375=1.85[Ω]

まとめ

短絡試験では二次側を短絡し、主に変圧器の巻線抵抗と漏れリアクタンスを評価します。
測定された電力は主に電力損失を表し、電圧と電流から短絡インピーダンスを算出できます。
これらの関係を理解し、変圧器の等価回路パラメータを求められるようにしておきましょう。

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