1級電気工事施工管理技士の過去問
令和2年度(2020年)
午前 イ 問9

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問題

1級 電気工事施工管理技術検定試験 令和2年度(2020年) 午前 イ 問9 (訂正依頼・報告はこちら)

図のような揚水式発電の、揚水時に必要な電力量〔MW・h〕として、正しいものはどれか。
ただし、条件は次のとおりとする。なお、水の揚程は一定とし、損失水頭はないものとする。
水の揚程   Hp:240m
揚水量    V:3.6×106m3
ポンプの効率 ηp:0.80
電動機の効率 ηm:0.98
問題文の画像
  • 1,900MW・h
  • 2,400MW・h
  • 3,000MW・h
  • 4,500MW・h

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この過去問の解説 (3件)

01

揚水式発電とは、夜間や休日などの軽負荷時の余剰電力を利用して水を汲み上げておき、重負荷時に発電に利用する方式の水力発電のことです。

揚水に必要な1秒あたりの電力量:P(kW)は以下の式で求めることができます。

P(kW)= 9.8(m/s2)× 水の揚程(m)× 1秒あたりの揚水重量(kg)
     ÷ 全体の効率
【9.8(m/s2)は重力加速度】

この問題では、全体の揚水量Vが 3.6 × 10^6(㎥)と与えられており、これを1時間で揚水すると仮定すれば1秒あたりの揚水量は(1時間は3600秒なので)3.6 × 10^6 ÷ 3600=1000(㎥)となります。

水の重量は1㎥あたり1000(kg)なので、1秒あたりの揚水重量は
1 × 10^6(kg)となります。

全体の効率は、ポンプと電動機の効率を乗算して求めることができるため
0.8 × 0.98=0.784となります。

これらを計算式に当てはめると
P(kW)= 9.8 × 240 ×(1 × 10^6)÷ 0.784 = 3 × 10^9(kW)となります。

先程の仮定より、この状態が1時間続くので、そのまま単位をkWhにすることができます。

よって、3000MW・hが答えとなります。

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02

揚水時に必要な電力量は以下の式で求めます。

 

P=9.8Q(H+h)/np×nm

 

P=電力量(KW)

9.8=重力加速度(m/S2)

Q=流量(㎥/s) 揚程量が一定ならばV(揚水量)=Q

H=揚程高さ・落差(m)

h=損失水頭(m)

np=ポンプ効率

nm=電動機の効率

 

計算においては、単位を一定に揃える必要が有ります。

流量の㎥/sを基準に、水1㎥=1kgとなり、電力量はkが単位となります。

Sというのは、秒という意味です。

 

問題文の数字をいれると

P=9.8×3.6×10の6乗×240/0.8×0.98

P=8,467,200,000/0.784

P=10,800,000,000となりますが、単位が秒で計算している為、1時間に直すと

1時間=3600秒の為

10,800,000,000/3600=3,000,000KW

1000KW=1MWとなり

3000MW・hが答えとなります。

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03

揚水量を下部貯水池から、上部貯水池まで引き上げるには、揚水量の位置エネルギーに等しい電動機の出力よって、ポンプ水車を回すことが必要です。

よって、揚水量の位置エネルギーを、電力量に換算すれば、揚水時に必要な電力量〔MW・h〕が求められます。

揚水量の位置エネルギー Q は、揚水の重量(M)×揚程(HP)で計算でき、以下のようになります。g が重力加速度で、9.8 m/s2 です。

Q = M g HP

水の比重は1として、1 m3 = 1000 kg ですので、M = V×1000 [kg] です。

位置エネルギーは、単位が、J/s になり、電気エネルギーに変換すれば、

J/s = W/s

発電電動機のエネルギー表示を、MW・H とするには、106×W/s÷(60×60) = MW・H となりますので、

J/s 単位との関係は、106×J/s /(60×60) = MW・H です。

ポンプ車で上部まで引き上げる効率は、1/ηm 、電動機で上部まで引き上げる効率は、1/ηp となります。(効率は引き上げる方向になるため逆数になります)

揚水量の位置エネルギー [J/s]を、電気エネルギー [MW・h]に変換します。

Q = M g HP =V × g × HP

= 3.6×109 [kg] × 9.8 [m/s2]× 240 [m] [J/s]

= 3.6×103 × 9.8 × 240 ÷ (60×60×0.98×0.8) [MWh]

= 3 × 103 [MWh]

3000 [MW・h]

選択肢1. 1,900MW・h

×

誤りです。計算と異なります。

選択肢2. 2,400MW・h

×

誤りです。計算と異なります。

選択肢3. 3,000MW・h

正解です。計算は、解説の通りです。

選択肢4. 4,500MW・h

×

誤りです。計算と異なります。

参考になった数5