2級電気工事施工管理技士 過去問
令和5年度(2023年)後期
問25 (2 問13)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

2級 電気工事施工管理技術検定試験 令和5年度(2023年)後期 問25(2 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

据置鉛蓄電池に関する記述として、不適当なものはどれか。
  • 電解液には、希硫酸を用いる。
  • 放電により、水素ガスが発生する。
  • 回復充電とは、停電により放電した非常用蓄電池の容量回復のために行う充電のことをいう。
  • 制御弁式鉛蓄電池は、電解液を補水する必要がない。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

鉛蓄電池とは鉛と希硫酸の電解液をもつ充電することにより繰り返し使える産業業の電池です。

選択肢1. 電解液には、希硫酸を用いる。

正となります。電解液には希硫酸を用います。

選択肢2. 放電により、水素ガスが発生する。

誤りとなります。水素ガスが発生するのは『充電中』となります。

選択肢3. 回復充電とは、停電により放電した非常用蓄電池の容量回復のために行う充電のことをいう。

正となります。記述の通りです。

選択肢4. 制御弁式鉛蓄電池は、電解液を補水する必要がない。

正となります。ベント形鉛蓄電池と比較して、制御弁式鉛蓄電池は電解液が少なく、自己放電が少ないため電解液を補水する必要がありません。

まとめ

鉛蓄電池の仕組みについて、簡単に4つのポイントを暗記しましょう。①電解液は希硫酸②充電により水素ガス③回復充電は停電により放電した蓄電池の容量回復④制御弁式蓄電池は電解液を補水しない

参考になった数22

02

鉛蓄電池は、電解液を用いて正極と負極間を放電させて電気エネルギーを放出します。

正極・負極は化学反応を起こし、起電力が低下するため再度充電して、化学エネルギーを蓄えて起電力を保ちます。

ベント形鉛蓄電池は、据置鉛蓄電池で、防まつ構造によって酸霧が出ないようにした蓄電池です。

選択肢1. 電解液には、希硫酸を用いる。

電解液に希硫酸(H2SO4)、正極に二酸化鉛(PbO2)、負極に鉛(Pb)を使って、放電・充電を行います。

選択肢2. 放電により、水素ガスが発生する。

放電充電では、次の化学反応が起こります。水素は発生しますが水素電子が移動して化学反応が進むため、水素ガスは発生しません。

PbO2+2H2SO4+Pb →PbSO4+2H2O+PbSO4

           ←

正極  電解液  負極  正極  電解液 負極

選択肢3. 回復充電とは、停電により放電した非常用蓄電池の容量回復のために行う充電のことをいう。

放電し容量がない蓄電池に、電力を供給して充電する、これを繰り返すことで、蓄電池として機能します。

選択肢4. 制御弁式鉛蓄電池は、電解液を補水する必要がない。

制御弁式鉛蓄電池は、全く補水を必要としない密閉構造の鉛蓄電池です。

充電中に正極から発生する水素ガスを負極物質と反応させ、負極を完全充電状態としないことで水素ガスの発生を抑制して水の電気分解での水分現象を抑制しています。

そのために密閉構造が可能です。

参考になった数7

03

鉛蓄電池は 電極に鉛を使用している二次電池(充電可能な電池、蓄電池)の総称です。正極に二酸化鉛(PbO₂)、負極に鉛(Pb)、電解液に希硫酸(H₂SO₄)を使用しています。

選択肢1. 電解液には、希硫酸を用いる。

正しいです。

 

電極(正極:PbO₂、負極:Pb)と電解液(H₂SO₄)との間で起こる酸化と還元の化学反応によって電流が流れます。

●放電時

  負極:Pb + H₂SO₄

      ⇒ PbSO₄ + 2H⁺ + 2e⁻(Pbが酸化して電子が放出される)

  正極:PbO₂ + H₂SO₄ + 2H⁺ + 2e⁻

      ⇒ PbSO₄ + 2H₂O(PbO₂が電子を受け取ってPbSO₄に還元される)

 

充電時は放電と逆の反応が起こる

  負極:PbSO₄  ⇒ Pb + SO₄²⁻ + 2H⁺ + 2e⁻ ⇒ Pb + H₂SO₄

  正極:PbSO₄ + 2H₂O ⇒ PbO₂ + H₂SO₄ + H₂
 

選択肢2. 放電により、水素ガスが発生する。

誤りです。

 

放電によって水素ガスは発生しません。
充電時は水が電気分解されるため 水素ガスと酸素ガスが発生します。特に過充電の際にガスの発生が増加します。

選択肢3. 回復充電とは、停電により放電した非常用蓄電池の容量回復のために行う充電のことをいう。

正しいです。

 

非常用電源は早急に回復充電を行い 次の非常事態に備える必要があります。

選択肢4. 制御弁式鉛蓄電池は、電解液を補水する必要がない。

正しいです。

 

鉛蓄電池にはベント式と 制御弁式があります。
ベント式:開放型、充電時に発生するガスを放出するための通気口がある、補水が必要
制御弁式:密閉型、ガスは内部で再結合する、メンテナンスフリー

まとめ

蓄電池は 電力設備の非常用電源として設置されており 鉛蓄電池が広く使われています。
蓄電池の化学式を眺めると 充電時に正極でH₂Oが電気分解されている事が分かり、ガスの発生や補水の必要性について 理解が深まると思います。

参考になった数1