大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問6 (世界史B(第1問) 問6)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問6(世界史B(第1問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

世界史上の学者や知識人について述べた次の文章を読み、後の問いに答えよ。

次の資料は、9世紀にイラン北東部の都市ニーシャープールで生きた、ハサン=ブン=イーサーという人物の伝記記事の概略である。

資料
ハサン=ブン=イーサーは、c キリスト教を信仰する裕福な旧家の出身であったが、イスラーム教に改宗した。そして、イスラーム諸学の知識を求めて旅をし、各地の師に会って学んだ。彼は、信心深く敬虔(けいけん)で、学識の確かな者であった。ニーシャープールの法学者やハディース学者は、彼を高く評価してきた。
彼は、ヒジュラ暦239年シャウワール月(西暦854年3月頃)に、「預言者ムハンマドが、『ナルド(注)で遊ぶ者は、神と神の使徒(預言者)に背いている』と言った」というハディースを講じた。彼のハディースの講義には、1万2千人が出席した。
彼はヒジュラ暦240年(西暦855年頃)に死去した。
(注)ナルドーボードゲームの一種。

資料から、ハサン=ブン=イーサーが( イ )として活躍し、特に( ウ )の分野で評価されたことが読み取れる。

ハサン=ブン=イーサーが生きた時代のイランでは、彼のように、イスラーム教に改宗する人が増加し、イスラーム教徒が人口の多数派を形成するようになっていった。その背景として、アッバース朝の下で起こった出来事の影響が考えられる。その出来事について述べた文として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
  • バーブ教徒の反乱が鎮圧された。
  • ダレイオス1世によって、ペルセポリスの建設が始められた。
  • アフガーニーによって、パン=イスラーム主義が唱えられた。
  • アラブ人の特権が廃止され、イスラーム教徒平等の原則が確立された。

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題は、ハサン=ブン=イーサーが生きた9世紀のイランにおいて、なぜイスラーム教への改宗が広がったのか、その背景にあるアッバース朝の政策を問うものです。

それぞれの選択肢が該当時代と関係しているかを見ながら、正しいものを判断していきます。

選択肢1. バーブ教徒の反乱が鎮圧された。

これは誤りです。
バーブ教徒の反乱は19世紀のカージャール朝時代のイランで起こった出来事です。
ハサン=ブン=イーサーの生きた9世紀とは時代が大きく異なります

選択肢2. ダレイオス1世によって、ペルセポリスの建設が始められた。

これは誤りです。
ダレイオス1世はアケメネス朝(紀元前6〜4世紀)の王であり、ペルセポリスもこの時代の遺構です。
イスラームの時代よりもはるか以前の古代ペルシアの話です。

選択肢3. アフガーニーによって、パン=イスラーム主義が唱えられた。

これは誤りです。
アフガーニーは19世紀後半の思想家で、欧米列強の侵略に対抗するためにイスラーム世界の統一(パン=イスラーム主義)を主張しました。
この考えが現れるのはハサン=ブン=イーサーの約1000年後の話です。

選択肢4. アラブ人の特権が廃止され、イスラーム教徒平等の原則が確立された。

これは正しい記述です。
アッバース朝(750年〜)は、前のウマイヤ朝で強かったアラブ人中心の支配体制を改め、アラブ人以外のムスリム(非アラブの改宗者)にも平等な待遇を与える政策を取りました。
この結果、イランを含む非アラブ地域でもイスラーム教に改宗する人が増え、信仰が広がっていきました
ハサン=ブン=イーサーの改宗も、このような社会的背景のもとで起こったと考えられます。

まとめ

アッバース朝の時代には、非アラブの人々もイスラーム社会の中で地位を得やすくなり、改宗が進みました。

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