大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問7 (世界史B(第1問) 問7)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問7(世界史B(第1問) 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

世界史上の学者や知識人について述べた次の文章を読み、後の問いに答えよ。

次の資料は、近代中国の学者である王国維が著した論文の一部である。(引用文には、省略したり、改めたりしたところがある。)

資料
およそ歴史を研究する際、ある民族の歴史を知るためには、別の民族によって書かれた記録に頼らないわけにはいかない。例えば、塞外(さいがい)(注)の民族である匈奴や鮮卑、西域の諸国については、中国の正史に記載があるほかには、信頼できる歴史記録はほとんどない。
その後、契丹と( エ )の文化が発展したが、彼ら独自の文字は既に使われなくなり、それぞれの民族について、漢語で編纂された『遼史』と『金史』があるほかには、やはり信頼できる歴史記録はほとんどない。
モンゴルについて言えば、今日でも広大な土地と独自の文字を有しているが、人々はd 宗教に夢中となり、学問を重視しなかったため、古い時代の史書の原本は元のままでは残っておらず、むしろ漢語やペルシア語の文献によって伝わっている。
(注)塞外一長城の外側。

モンゴルが学問を重視しなかったという説明は乱暴に過ぎるが、史料が様々な理由で失われうることは事実である。一方、残された史料の方も鵜呑(うの)みにしてよいとは限らない。王国維は上の文章に続けて、モンゴルについて記すある漢語史料の信頼性に問題があることを論じている。

前の資料中の空欄(エ)の民族の歴史について述べた文として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
  • 猛安・謀克という軍事・社会制度を用いた。
  • ソンツェン=ガンポが、統一国家を建てた。
  • テムジンが、クリルタイでハンとなった。
  • 冒頓単于の下で強大化した。

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題では、王国維の論文から空欄(エ)に入る民族がどれかを判断し、その民族の歴史について正しく述べている選択肢を選びます。
資料では「契丹と(エ)の文化が発展したが、それぞれの民族については『遼史』と『金史』しか信頼できる記録がない」と書かれています。

 

ここから、契丹=遼、(エ)=金と対応づけられる民族を読み取ることができます。

 

 

「契丹」と「金」の関係から空欄(エ)を確認

・契丹(きったん)は、遼を建てた民族です。

・一方、金(きん)は、女真(じょしん)族が建てた国家です。

よって、空欄(エ)に入るのは「女真」と考えられます。

選択肢1. 猛安・謀克という軍事・社会制度を用いた。

これは女真の制度に関する説明です。
金を建てた女真族は、猛安・謀克(もうあん・ぼうこく)という制度を使い、軍事と行政の両面を統括していました。
契丹の「部族制」に対応するような仕組みです。
 

選択肢2. ソンツェン=ガンポが、統一国家を建てた。

これはチベット民族の王の話です。
7世紀にチベット高原に吐蕃(とばん)という国家を建てた人物であり、女真や金とは無関係です。

選択肢3. テムジンが、クリルタイでハンとなった。

これはモンゴルの歴史に関する説明です。
テムジンは、1206年にクリルタイ(部族会議)でチンギス=ハンと称し、モンゴル帝国を建国しました。
女真とは別の民族です。

選択肢4. 冒頓単于の下で強大化した。

これは匈奴の歴史です。
冒頓単于(ぼくとつぜんう)は、紀元前3世紀ごろの匈奴の指導者です。
女真や金の時代よりずっと古い時代の話です。

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