大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問10 (世界史B(第2問) 問1)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問10(世界史B(第2問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

ある出来事の当事者の発言や観察者による記録は、歴史を考える際の重要な資料となる。こうした資料について述べた次の文章を読み、後の問いに答えよ。

次の資料は、ウィンストン=チャーチルの『偉大な同時代人たち』の一部である。(引用文には、省略したり、改めたりしたところがある。)

資料
スペインが世界大戦で厳正な中立を守ったことは、驚くようなことでなかった。スペインと連合国との間の歴史的障壁は、乗り越えられないものであったからだ。ナポレオンの侵略がもたらした悲惨な苦難の記憶は、スペイン人の心にわだかまったままである。この苦難から100年経(た)った今も( ア )とスペインとの間に共感は芽生えようがない。( イ )にジブラルタルを奪われたことは、もはやスペイン人を激高させることは少ないものの、いまだにその意識に大きな影響をもたらしている。しかし、スペイン人が最も嫌悪している国はアメリカ合衆国である。スペインの最後の植民地がアメリカ合衆国に奪われたことは、誇り高き民族の胸を抉(えぐ)って、激痛を走らせた。

前の文章中の空欄(ア)と(イ)に入れる国の名の組合せとして正しいものを、次のうちから一つ選べ。
  • ア ― オランダ  イ ― イギリス
  • ア ― オランダ  イ ― イタリア
  • ア ― フランス  イ ― イギリス
  • ア ― フランス  イ ― イタリア

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題は、チャーチルの記述からスペインが特定の国々に対して抱いていた歴史的な感情の背景を読み取り、空欄(ア)と(イ)に当てはまる国を判断する問題です。

資料に出てくる出来事の歴史的背景を確認することで、正しい組合せを選ぶことができます。

 

 

【資料の要点と背景】

1. 「ナポレオンの侵略」によってスペインが苦しんだ → 空欄(ア)に対応

2. 「ジブラルタルを奪われた」という出来事 → 空欄(イ)に対応

3. アメリカには最後の植民地を奪われた → 米西戦争(1898年)のこと

 

 

 

空欄(ア)

・ナポレオンはフランスの皇帝です。

・1808年、ナポレオンはスペインに侵入し、兄ジョゼフを王に据えるなどしてスペイン支配を強行しました。

・このとき、スペインでは独立を目指すゲリラ戦が展開され、多くの犠牲が出ました。

 

したがって、ナポレオン=フランスとなり、スペイン人が100年たってもわだかまりを持っていた相手(ア)はフランスです。

 

 

空欄(イ)

・ジブラルタルは、スペインの南端に位置する要衝です。

・1704年のスペイン継承戦争中、イギリスがジブラルタルを占領しました。

・1713年のユトレヒト条約により、イギリスに正式に割譲されました。

・以後、ジブラルタルはイギリスの海軍基地となり、スペインにとっては屈辱の象徴でした。

 

したがって、(イ)に入る国はイギリスです。

選択肢1. ア ― オランダ  イ ― イギリス

誤りです。

選択肢2. ア ― オランダ  イ ― イタリア

誤りです。

選択肢3. ア ― フランス  イ ― イギリス

正しいです。

選択肢4. ア ― フランス  イ ― イタリア

誤りです。

まとめ

ナポレオンによる侵略の記憶はフランスとの関係に影響し、ジブラルタルを奪ったイギリスへの不信感も根強く残りました。

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