大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問11 (世界史B(第2問) 問2)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問11(世界史B(第2問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

ある出来事の当事者の発言や観察者による記録は、歴史を考える際の重要な資料となる。こうした資料について述べた次の文章を読み、後の問いに答えよ。

次の資料は、ウィンストン=チャーチルの『偉大な同時代人たち』の一部である。(引用文には、省略したり、改めたりしたところがある。)

資料
スペインが世界大戦で厳正な中立を守ったことは、驚くようなことでなかった。スペインと連合国との間の歴史的障壁は、乗り越えられないものであったからだ。ナポレオンの侵略がもたらした悲惨な苦難の記憶は、スペイン人の心にわだかまったままである。この苦難から100年経(た)った今も( ア )とスペインとの間に共感は芽生えようがない。( イ )にジブラルタルを奪われたことは、もはやスペイン人を激高させることは少ないものの、いまだにその意識に大きな影響をもたらしている。しかし、スペイン人が最も嫌悪している国はアメリカ合衆国である。スペインの最後の植民地がアメリカ合衆国に奪われたことは、誇り高き民族の胸を抉(えぐ)って、激痛を走らせた。

前の文章中の空欄(ア)と(イ)に入れる国の名の組合せとして正しいものを、次のうちから一つ選べ。

次の図中に示したa~dのうち、前の文章中の「スペインの最後の植民地」に含まれる地域として最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。
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  • a
  • b
  • c
  • d

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題では、スペインがアメリカ合衆国との関係で失った「最後の植民地」がどこかを、地図から判断することが求められています。
資料には、スペインがアメリカに植民地を奪われたことへの強い感情が語られており、その地域がどれにあたるかを見極める必要があります。

 

 

 

【歴史的背景の確認】

スペインが「最後の植民地」を失ったのは、1898年の米西戦争です。
この戦争によって、スペインは以下の地域をアメリカに割譲・放棄しました。

・キューバ(独立)

・プエルトリコ(アメリカに割譲)

・グアム(アメリカに割譲)

・フィリピン(アメリカに売却)

これらの地域は、いずれもスペインが帝国時代に長く支配していた植民地です。

選択肢1. a

aはアルジェリア(北アフリカ)です。

1830年にフランスが侵攻し、アルジェリアを支配下に置きました。

以降、長い植民地時代を経て、1962年に独立しました。

一部地中海沿岸の都市にかつてスペインの影響はありましたが、アルジェリアは基本的にフランスの植民地です。

選択肢2. b

bはタイ(東南アジア)です。

19世紀から20世紀初頭にかけて、英仏など列強が東南アジアで植民地化を進める中、タイは王室の外交努力によって唯一植民地化されなかった東南アジアの国です。

歴史的にスペインの支配は及んでいません。

選択肢3. c

cはフィリピン(東南アジア)です。

1521年にマゼランが来航し、1565年以降スペインが本格支配します。

300年以上支配された後、1898年の米西戦争によってアメリカが占領します。

その後、1901年に正式にアメリカ領となり、1946年に独立しました。

米西戦争の結果として、スペインが手放した植民地の一つです。

「スペインの最後の植民地」に該当します。

選択肢4. d

dはペルー(南アメリカ)です。

スペインが16世紀にインカ帝国を征服して支配します。

19世紀前半(1821年)に独立運動によってスペインから独立しました。

スペイン支配の歴史は深いですが、すでに米西戦争の約70年前に独立していたため、ここで言う「最後の植民地」とは関係ありません。

 

まとめ

米西戦争によってスペインがアメリカに譲渡・売却した地域のうち、選択肢に含まれているのはフィリピンです。
したがって、「c」が最も適当です。

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