大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問24 (世界史B(第4問) 問2)
問題文
次の資料は、イギリス人作家ジョージ=オーウェルがスペイン内戦に人民戦線側で従軍した体験に基づいて著し、内戦のさなかに出版した書物の一節である。
(引用文には、省略したり、改めたりしたところがある。)
資料
7月18日に戦闘が始まった時、ヨーロッパの反ファシストの人々は皆、希望に身震いしたことだろう。ついに、この地で民主主義がファシズムに対して、はっきりと立ち上がったからだ。この10年に満たない数年間、民主的といわれる国々は、ファシズムに負け続けるという歴史を歩んできた。例えば、a 日本人の望むままの行動が容認されてしまった。ヒトラーは権力の座に上りつめ、あらゆる党派の政敵の虐殺に手を付け始めた。そして、b 53ほどの国々が戦争の舞台裏で偽善的な言い合いをしている間に、ムッソリーニはアビシニア人を爆撃した。しかしスペインでは、穏健な左翼政府が転覆されかかった時、予想に違(たが)って、スペインの人々は立ち上がったのだ。それは潮の変わり目のように思えたし、恐らくはそうだった。
上の資料から窺(うかが)えるように、オーウェルは、ヒトラーやムッソリーニの政権と同様に、同じ時期の日本の政権をファシズム体制だとみなしていた。c 世界史の教科書には、これと同様の見方をするものと、日本の戦時体制とファシズムとを区別する立場から書かれているものとがある。どちらの見方にも、相応の根拠があると考えられる。
前の資料中で、ヒトラーが「虐殺」しようとした「あらゆる党派の政敵」と表現されている組織の一つと、下線部bに関連した出来事について述べた文との組合せとして正しいものを、次のうちから一つ選べ。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問24(世界史B(第4問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
次の資料は、イギリス人作家ジョージ=オーウェルがスペイン内戦に人民戦線側で従軍した体験に基づいて著し、内戦のさなかに出版した書物の一節である。
(引用文には、省略したり、改めたりしたところがある。)
資料
7月18日に戦闘が始まった時、ヨーロッパの反ファシストの人々は皆、希望に身震いしたことだろう。ついに、この地で民主主義がファシズムに対して、はっきりと立ち上がったからだ。この10年に満たない数年間、民主的といわれる国々は、ファシズムに負け続けるという歴史を歩んできた。例えば、a 日本人の望むままの行動が容認されてしまった。ヒトラーは権力の座に上りつめ、あらゆる党派の政敵の虐殺に手を付け始めた。そして、b 53ほどの国々が戦争の舞台裏で偽善的な言い合いをしている間に、ムッソリーニはアビシニア人を爆撃した。しかしスペインでは、穏健な左翼政府が転覆されかかった時、予想に違(たが)って、スペインの人々は立ち上がったのだ。それは潮の変わり目のように思えたし、恐らくはそうだった。
上の資料から窺(うかが)えるように、オーウェルは、ヒトラーやムッソリーニの政権と同様に、同じ時期の日本の政権をファシズム体制だとみなしていた。c 世界史の教科書には、これと同様の見方をするものと、日本の戦時体制とファシズムとを区別する立場から書かれているものとがある。どちらの見方にも、相応の根拠があると考えられる。
前の資料中で、ヒトラーが「虐殺」しようとした「あらゆる党派の政敵」と表現されている組織の一つと、下線部bに関連した出来事について述べた文との組合せとして正しいものを、次のうちから一つ選べ。
- 共産党 ― 国際連盟はイタリアの行為を非難したが、エチオピアに対する侵略を阻むことができなかった。
- 共産党 ― 九か国条約に基づいて、その締結国がイタリアを非難するにとどまり、エチオピアは植民地化された。
- 第1インターナショナル ― 不戦条約(ケロッグ=ブリアン条約)は、イタリアによるリビアの併合を阻むことができなかった。
- 第1インターナショナル ― 国際連盟はイタリアに対して経済制裁を加えるにとどまり、リビアの併合を阻むことができなかった。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (1件)
01
この問題は、ジョージ=オーウェルの記述に出てくる「ヒトラーの政敵」と「ムッソリーニによるアビシニア(エチオピア)侵攻」に関して、正しい組合せを選ぶ内容です。
両方の内容について正確な理解が求められます。
【前半:ヒトラーが弾圧した「党派の政敵」】
資料には「ヒトラーは、あらゆる党派の政敵の虐殺に手を付け始めた」とあります。
ナチスが特に敵視したのは、
・共産党(KPD)
・社会民主党(SPD)
・労働組合
これらはナチ党と対立する左翼系の政治勢力で、特に共産党は「共産主義の脅威」として激しく弾圧されました。
→ 「共産党」という選択肢は正しい政敵の一例です。
【後半:ムッソリーニが「アビシニア人を爆撃」した出来事】
これは1935年〜1936年のイタリアによるエチオピア侵攻(第二次エチオピア戦争)を指します。
国際連盟に加盟していたエチオピアは、加盟国イタリアの侵略を受けたにもかかわらず、国際連盟は十分な対応ができませんでした。
・国際連盟はイタリアの行為を非難し、経済制裁も決議した
・しかし、武力制裁を行うことはできず、エチオピアはイタリアにより併合された
九か国条約や不戦条約ではなく、この件は国際連盟の無力さの象徴として知られています。
→ この出来事に正しく触れているのは、 「国際連盟はイタリアの行為を非難したが、エチオピアに対する侵略を阻むことができなかった。」です。
正しいです。
誤りです。
誤りです。
誤りです。
ナチスが弾圧したのは共産党であり、エチオピア侵攻に対する国際連盟の対応は非難と経済制裁にとどまり、侵略阻止には至りませんでした。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問23)へ
令和4年度(2022年度)本試験 問題一覧
次の問題(問25)へ