大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問47 (日本史B(第3問) 問2)
問題文
先生:私たちの暮らす日本は、四方を海に囲まれています。昔の人は、海の向こうに極楽浄土を見たり、龍宮城の物語を想像したりしてきました。
ひろみ:海には様々なイメージが与えられ、海と深い関わりを持つ独特の文化が育まれてきたのですね。
先生:中世になると、a 各地に港町ができて、海上交通がより発達します。海上交通が発達すれば、b 国内外の流通が活発になって技術革新や各地の特産物が生まれ、それらを扱う様々な職能を持つ職人が登場します。例えば、四国で生産された藍が京都へ運ばれ、染め物に使われるようになりました。
ひろみ:c 朝鮮からは、木版印刷の大蔵経ももたらされたのですよね。印刷技術が発達して、情報の伝播は飛躍的に高まったのでしょうね。
先生:よく知っていますね。このような流通を活発化させたのが、倭寇のような海をまたいで活動する人たちです。やがてはヨーロッパ人まで交流に加わることで、地球規模の海のネットワークに広がっていきます。
ひろみ:そうですか。倭寇は、ただの海賊だと思っていました。歴史上重要な役割を担っていたのですね。
先生:そうです。さらに、戦国の争乱は列島各地で人・物・文化の移動を加速させました。鉄砲などの新しい軍事技術を普及させ、アジアやヨーロッパから出版文化がもたらされます。ただ、こうした海をめぐる動きについては、まだまだ謎が多いのです。最近、海底の発掘調査が進んでいるみたいで、今後はd 考古遺跡からもいろんなことが明らかになるかもしれませんね。
下線部aに関連して、海上交通の動向に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて、古いものから年代順に正しく配列したものを、後のうちから一つ選べ。
Ⅰ 毛利輝元に従う海上勢力が、大坂(石山)本願寺に兵糧を搬入した。
Ⅱ 重源は東大寺再建のため、瀬戸内海を通じて周防国の材木を輸送した。
Ⅲ 平忠盛は海賊鎮圧などの功績を経て、貴族としても活躍していった。
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問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問47(日本史B(第3問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
先生:私たちの暮らす日本は、四方を海に囲まれています。昔の人は、海の向こうに極楽浄土を見たり、龍宮城の物語を想像したりしてきました。
ひろみ:海には様々なイメージが与えられ、海と深い関わりを持つ独特の文化が育まれてきたのですね。
先生:中世になると、a 各地に港町ができて、海上交通がより発達します。海上交通が発達すれば、b 国内外の流通が活発になって技術革新や各地の特産物が生まれ、それらを扱う様々な職能を持つ職人が登場します。例えば、四国で生産された藍が京都へ運ばれ、染め物に使われるようになりました。
ひろみ:c 朝鮮からは、木版印刷の大蔵経ももたらされたのですよね。印刷技術が発達して、情報の伝播は飛躍的に高まったのでしょうね。
先生:よく知っていますね。このような流通を活発化させたのが、倭寇のような海をまたいで活動する人たちです。やがてはヨーロッパ人まで交流に加わることで、地球規模の海のネットワークに広がっていきます。
ひろみ:そうですか。倭寇は、ただの海賊だと思っていました。歴史上重要な役割を担っていたのですね。
先生:そうです。さらに、戦国の争乱は列島各地で人・物・文化の移動を加速させました。鉄砲などの新しい軍事技術を普及させ、アジアやヨーロッパから出版文化がもたらされます。ただ、こうした海をめぐる動きについては、まだまだ謎が多いのです。最近、海底の発掘調査が進んでいるみたいで、今後はd 考古遺跡からもいろんなことが明らかになるかもしれませんね。
下線部aに関連して、海上交通の動向に関して述べた次の文Ⅰ~Ⅲについて、古いものから年代順に正しく配列したものを、後のうちから一つ選べ。
Ⅰ 毛利輝元に従う海上勢力が、大坂(石山)本願寺に兵糧を搬入した。
Ⅱ 重源は東大寺再建のため、瀬戸内海を通じて周防国の材木を輸送した。
Ⅲ 平忠盛は海賊鎮圧などの功績を経て、貴族としても活躍していった。
- Ⅰ ― Ⅱ ― Ⅲ
- Ⅰ ― Ⅲ ― Ⅱ
- Ⅱ ― Ⅰ ― Ⅲ
- Ⅱ ― Ⅲ ― Ⅰ
- Ⅲ ― Ⅰ ― Ⅱ
- Ⅲ ― Ⅱ ― Ⅰ
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この過去問の解説 (1件)
01
中世の日本では、海を使った交通がとても重要になりました。
ここでは、海上交通の歴史に関する3つの出来事を説明します。
Ⅰ 毛利輝元に従う海上勢力が、大坂(石山)本願寺に兵糧を搬入した。
毛利輝元(もうりてるもと)は、戦国時代末(16世紀後半)の武将です。
織田信長に抵抗する本願寺を支援するため、海上勢力を使って食糧などを運びました。
Ⅱ 重源は東大寺再建のため、瀬戸内海を通じて周防国の材木を輸送した。
重源(ちょうげん)は、平安時代末から鎌倉時代初め(12世紀末〜13世紀初め)の僧侶です。
源平合戦で焼けた東大寺を再建するため、瀬戸内海の海上交通を使って材木を奈良まで運びました。
Ⅲ 平忠盛は海賊鎮圧などの功績を経て、貴族としても活躍していった。
平忠盛(たいらのただもり)は、平安時代後期(12世紀前半)に活躍した人物です。
海賊を鎮圧して瀬戸内海の安全を守り、その功績が認められて貴族になりました。
以上から、正しい順序は
Ⅲ ― Ⅱ ― Ⅰ
となります。
誤りです。
誤りです。
誤りです。
誤りです。
誤りです。
正しいです。
中世の海上交通は、平安時代から戦国時代まで時代ごとに変化しながら、日本の歴史に大きな影響を与えました。
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