大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問48 (日本史B(第3問) 問3)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問48(日本史B(第3問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

次の文章は、中世の海と人々との関わりの歴史について関心を持った高校生のひろみさんが、先生を訪ねたときの会話である。この文章を読み、後の問いに答えよ。(資料は、一部省略したり、書き改めたりしたところもある。)

先生:私たちの暮らす日本は、四方を海に囲まれています。昔の人は、海の向こうに極楽浄土を見たり、龍宮城の物語を想像したりしてきました。
ひろみ:海には様々なイメージが与えられ、海と深い関わりを持つ独特の文化が育まれてきたのですね。
先生:中世になると、a 各地に港町ができて、海上交通がより発達します。海上交通が発達すれば、b 国内外の流通が活発になって技術革新や各地の特産物が生まれ、それらを扱う様々な職能を持つ職人が登場します。例えば、四国で生産された藍が京都へ運ばれ、染め物に使われるようになりました。
ひろみ:c 朝鮮からは、木版印刷の大蔵経ももたらされたのですよね。印刷技術が発達して、情報の伝播は飛躍的に高まったのでしょうね。
先生:よく知っていますね。このような流通を活発化させたのが、倭寇のような海をまたいで活動する人たちです。やがてはヨーロッパ人まで交流に加わることで、地球規模の海のネットワークに広がっていきます。
ひろみ:そうですか。倭寇は、ただの海賊だと思っていました。歴史上重要な役割を担っていたのですね。
先生:そうです。さらに、戦国の争乱は列島各地で人・物・文化の移動を加速させました。鉄砲などの新しい軍事技術を普及させ、アジアやヨーロッパから出版文化がもたらされます。ただ、こうした海をめぐる動きについては、まだまだ謎が多いのです。最近、海底の発掘調査が進んでいるみたいで、今後はd 考古遺跡からもいろんなことが明らかになるかもしれませんね。

下線部bに関連して、室町時代の運送業者を示した次の図に関して述べた後の文X・Yについて、その正誤の組合せとして正しいものを、後のうちから一つ選べ。

X 図に描かれたような運送業者は、馬の背に荷物を載せて陸路を往来し、ときには徳政を求めて蜂起した。
Y 図に描かれたような運送業者は、近江国の大津や坂本など水陸交通の要衝を活動拠点としていた。
問題文の画像
  • X ― 正  Y ― 正
  • X ― 正  Y ― 誤
  • X ― 誤  Y ― 正
  • X ― 誤  Y ― 誤

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、室町時代の交通状況や商人、運送業者に関する出来事を理解し、正誤を判別できるかを問うものです。

 

答えは、「X-正 Y-正」です。

 

室町時代の民衆の生活は、現代の生活様式に通じているものが多いです。その中で、運送業者は馬借・車借と呼ばれていました。彼らは、馬を使って遠隔地まで年貢を運んでいました。

 

 

X・Yについてそれぞれ説明していきます。

 

[X 図に描かれたような運送業者は、馬の背に荷物を載せて陸路を往来し、ときには徳政を求めて蜂起した]

 土一揆(徳政一揆)では、農民と困窮した武士が徳政を求めて一揆をおこしました。

 大規模な一揆として、1428年正長の徳政一揆1441年嘉吉(かきつ)の徳政一揆などがあります。

 一揆が大規模になったため、政府は徳政令を発布しました。

 

[Y 図に描かれたような運送業者は、近江国の大津や坂本など水陸交通の要衝を活動拠点としていた]

 交通路が発達すると、水陸交通の要地に関所が設けられました。馬借は、交通の要地である京都や大津などで関銭を徴収し、活動拠点としていました。

選択肢1. X ― 正  Y ― 正

どちらも合っているので、正しいです。

選択肢2. X ― 正  Y ― 誤

Yの選択肢が間違っているので誤りです。

選択肢3. X ― 誤  Y ― 正

Xの選択肢が間違っているので誤りです。

選択肢4. X ― 誤  Y ― 誤

どちらの選択肢も間違っているので、誤りです。

まとめ

この問題では、運送業者に繋がる政治情勢や当時の交通についてを理解しておく必要がありました。一揆における徳政問題は、室町時代以前から問題となっているので、時代をさかのぼって復習しておきましょう。

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02

室町時代には、海や陸を使った運送業者が活発に活動し、流通が発達しました。

 

 

それでは、問題文XとYを見ていきます。

X 図に描かれたような運送業者は、馬の背に荷物を載せて陸路を往来し、ときには徳政を求めて蜂起した。
図のような馬を使った運送業者は「馬借(ばしゃく)」と呼ばれ、荷物を運ぶ仕事をしていました。

また、借金の帳消し(徳政令)を求めて反乱を起こすこともありました。

この文は正しいです。

 

 

Y 図に描かれたような運送業者は、近江国の大津や坂本など水陸交通の要衝を活動拠点としていた。
馬借は、近江(滋賀県)の大津や坂本のような、水路と陸路の結び目にある重要な場所を拠点にして活動していました。

この文は正しいです。

 

 

したがって、XとYはどちらも正しいです。

選択肢1. X ― 正  Y ― 正

正しいです。

選択肢2. X ― 正  Y ― 誤

誤りです。

選択肢3. X ― 誤  Y ― 正

誤りです。

選択肢4. X ― 誤  Y ― 誤

誤りです。

まとめ

室町時代の運送業者は、陸路を馬で荷物を運ぶだけでなく、経済や社会の動きにも大きな影響を与えました。

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