大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問46 (日本史B(第3問) 問1)
問題文
先生:私たちの暮らす日本は、四方を海に囲まれています。昔の人は、海の向こうに極楽浄土を見たり、龍宮城の物語を想像したりしてきました。
ひろみ:海には様々なイメージが与えられ、海と深い関わりを持つ独特の文化が育まれてきたのですね。
先生:中世になると、a 各地に港町ができて、海上交通がより発達します。海上交通が発達すれば、b 国内外の流通が活発になって技術革新や各地の特産物が生まれ、それらを扱う様々な職能を持つ職人が登場します。例えば、四国で生産された藍が京都へ運ばれ、染め物に使われるようになりました。
ひろみ:c 朝鮮からは、木版印刷の大蔵経ももたらされたのですよね。印刷技術が発達して、情報の伝播は飛躍的に高まったのでしょうね。
先生:よく知っていますね。このような流通を活発化させたのが、倭寇のような海をまたいで活動する人たちです。やがてはヨーロッパ人まで交流に加わることで、地球規模の海のネットワークに広がっていきます。
ひろみ:そうですか。倭寇は、ただの海賊だと思っていました。歴史上重要な役割を担っていたのですね。
先生:そうです。さらに、戦国の争乱は列島各地で人・物・文化の移動を加速させました。鉄砲などの新しい軍事技術を普及させ、アジアやヨーロッパから出版文化がもたらされます。ただ、こうした海をめぐる動きについては、まだまだ謎が多いのです。最近、海底の発掘調査が進んでいるみたいで、今後はd 考古遺跡からもいろんなことが明らかになるかもしれませんね。
中世の海と人々との関わりについて述べた文として誤っているものを、次のうちから一つ選べ。
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問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問46(日本史B(第3問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)
先生:私たちの暮らす日本は、四方を海に囲まれています。昔の人は、海の向こうに極楽浄土を見たり、龍宮城の物語を想像したりしてきました。
ひろみ:海には様々なイメージが与えられ、海と深い関わりを持つ独特の文化が育まれてきたのですね。
先生:中世になると、a 各地に港町ができて、海上交通がより発達します。海上交通が発達すれば、b 国内外の流通が活発になって技術革新や各地の特産物が生まれ、それらを扱う様々な職能を持つ職人が登場します。例えば、四国で生産された藍が京都へ運ばれ、染め物に使われるようになりました。
ひろみ:c 朝鮮からは、木版印刷の大蔵経ももたらされたのですよね。印刷技術が発達して、情報の伝播は飛躍的に高まったのでしょうね。
先生:よく知っていますね。このような流通を活発化させたのが、倭寇のような海をまたいで活動する人たちです。やがてはヨーロッパ人まで交流に加わることで、地球規模の海のネットワークに広がっていきます。
ひろみ:そうですか。倭寇は、ただの海賊だと思っていました。歴史上重要な役割を担っていたのですね。
先生:そうです。さらに、戦国の争乱は列島各地で人・物・文化の移動を加速させました。鉄砲などの新しい軍事技術を普及させ、アジアやヨーロッパから出版文化がもたらされます。ただ、こうした海をめぐる動きについては、まだまだ謎が多いのです。最近、海底の発掘調査が進んでいるみたいで、今後はd 考古遺跡からもいろんなことが明らかになるかもしれませんね。
中世の海と人々との関わりについて述べた文として誤っているものを、次のうちから一つ選べ。
- アジアやヨーロッパ諸国との交易が、新しい製品や技術をもたらした。
- 戦争が新しい道具・技術の開発や導入を促した。
- 大量の物資を遠隔地に運搬・輸送するための方法や技術が改良された。
- 倭寇は国家権力による保護を得て、アジアを自由に移動した。
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題は、中世の交通や貿易について時代ごとの問題を明らかにしながら解くものです。
答えは「倭寇は国家権力による保護を得て、アジアを自由に移動した」です。
今回は間違った内容を選択するので、回答する際に注意しましょう。
選択肢をそれぞれ解説します。
16世紀頃、中国とは中継貿易を行っていました。1543年ポルトガル人が種子島に漂着したことを皮切りに南蛮貿易が始まります。
南蛮貿易では、中国の生糸や鉄砲と日本の銀で交易しました。また、この交易によって、キリスト教の布教が始まりました。
よって、この文章は正しいため、選択肢として間違っています。
16世紀後半の戦国時代では、鉄砲を用いて戦い、騎馬戦など従来の戦い方に新しい道具を導入した時期です。
よって、この文章は正しいため、選択肢として間違っています。
水上交通では、17世紀前半に菱垣廻船、18世紀前半に樽廻船が大阪・江戸間で運航していました。
それに伴い、大量の物資を運ぶための海路も整備され、各地で港町が発展していきました。
よって、この文章は正しいため、選択肢として間違っています。
倭寇とは、対馬や壱岐などを中心に依拠している海賊集団のことです。
1588年、豊臣秀吉は海賊取締令を出して、倭寇の行動を禁止しました。つまり、倭寇は政府から恐れられていた存在であると分かります。
よって、この文章は間違っているため、選択肢として正しいです。
この問題では、中世での海外と日本の交友関係を理解しておく必要がありました。戦国時代から江戸時代は、交易状態が大きく変化する時代ですので、しっかり流れを掴んでおきましょう。
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02
中世の日本では、海を通じて人々が様々な交流を行いました。
選択肢の中から誤っている文を確認してみましょう。
中世には、アジアやヨーロッパの国々との交流が盛んになり、鉄砲や印刷技術などの新しい製品や技術が日本にもたらされました。
この文は適切です。
戦国時代になると、各地で戦争が起こり、鉄砲など新しい武器や技術が導入され、普及しました。
この文は適切です。
中世の日本では、港町が発達して、遠く離れた場所にも大量の物資を効率的に運べるような方法や技術が生まれました。
この文は適切です。
倭寇とは、海賊として知られています。
国家の保護の下に活動していたわけではなく、むしろ国からは取り締まりの対象でした。
この文は誤っています。
中世の日本における海との関わりは、技術や文化を大きく発展させる一方で、倭寇のような問題も引き起こしました。
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03
時代ごとに、大きな技術革新は起こります。ここでは海に注目した問題ですが、陸に注目した問題もありますので、それぞれをまとめておきましょう。
正しいです。
中世の日本は主にアジア(中国・朝鮮など)との交流が盛んで、活版印刷の他にも銅銭や絹織物、陶磁器がもたらされました。中世後期の戦国時代になると、スペインやポルトガルといったヨーロッパの国々から鉄砲や時計などの技術が持ち込まれました。
正しいです。
特に戦国時代に用いられた鉄砲、山城から平山城、平城へと姿を変える築城技術などはこれまでと大きく異なる変化を遂げました。
正しいです。
決まった航路を持つ廻船の登場により、物流は盛んになりました。また、海図の活用や風を読む技術などの航海技術も改良されました。
誤りです。
国家権力に保護されるというより、むしろ取り締まりの対象でした。特に室町幕府では正式な貿易と区別するために勘合貿易の制度を設けました。一部の倭寇が密貿易や通商のために大名から保護を得ていたことはありますので、国家権力と混合しないよう注意しましょう。
どの時代にも言えることですが、技術革新はどの分野においても起こっています。倭寇に関しては前期倭寇と後期倭寇で性質が異なります。前期は略奪を中心とした活動だったため、国家から保護されることはあり得ません。
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