大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問90 (地理B(第5問) 問1)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問90(地理B(第5問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

長野県飯田(いいだ)市の高校に通うリュウさんたちは、飯田市の地域調査を行った。この地域調査に関する次の問いに答えよ。

リュウさんたちは、飯田市の自然環境を理解するために、飯田市を南北に流れる天竜川(てんりゅうがわ)の流域全体に関する特徴を図書館やインターネットで調べ、次の図1~3を入手した。これらの図をもとにしたリュウさんたちによる会話文中の下線部①~④のうちから、誤りを含むものを一つ選べ。

リュウ 「天竜川流域を示した図1を見ると、天竜川は、諏訪(すわ)湖を出た後に南下し、太平洋にそそいでいるよ。飯田市よりも上流の天竜川の左岸と右岸の流域面積を比較すると、左岸の方が広くなっているね」
ウタ 「図1の天竜峡(てんりゅうきょう)よりも上流では河川に沿って市街地や農地が広がっているけれど、天竜峡から船明(ふなぎら)ダム湖にかけては、より山がちになっているね」
ミドリ 「天竜川の本流と支流の河床の標高と、河口からの距離との関係を示した図2を見ると、天竜川に合流している支流の勾配は、天竜川の本流よりも緩やかなことがわかるね」
リュウ 「天竜川の流量はどうなっているのだろう。図3の飯田市の雨温図から、天竜川の水量は冬よりも夏の方が多くなると考えられるね」
ウタ 「こうした河川の特徴を活かして、飯田市から河口部まで木材を運搬していたそうだよ」
ミドリ 「天竜川の流域全体から、飯田市の自然環境の特徴が理解できるね」
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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、長野県飯田市を流れる天竜川の地形や自然環境の理解をもとに、図1〜3(河川流域図・縦断図・雨温図)と会話文を照らし合わせ、誤りを含む発言(①〜④)を特定する問題です。


 

選択肢1. ①

図1を見ると、飯田市よりも上流(諏訪湖~伊那地域)の天竜川の左岸側(東側)に広がる流域が広く、支流も多く見られます。地形的にも中央アルプス側に比べ、南アルプス側(東側)はより標高差のある広がりを見せています。適切です。

 

選択肢2. ②

1を見ると、天竜峡以南では谷が狭くなり、山がちで集落も少なくなる地形になっています。これは「天竜奥三河国定公園」に含まれるエリアであり、V字谷の険しい地形が特徴です。適切です。

選択肢3. ③

図2(縦断図)を見ると、支流は本流に合流する直前に急激に落ち込む形(河床の傾きが急)になっています。これは、支流が山地から短距離で一気に流れ込むためで、支流の方が本流よりも勾配が急であることを示しています。不適切です。


 

選択肢4. ④

図3の飯田市の雨温図を見ると、夏(6〜9月)に降水量が多く、冬は少ないことがわかります。日本の内陸盆地にありがちな夏季多雨・冬季乾燥の特徴であり、天竜川の流量もこれに連動すると考えるのは妥当です。適切です。

まとめ

覚えておくべきポイント:

・山地河川では、支流の方が急勾配になりやすいです。

・本流は長い距離を流れるため、全体的には勾配が緩やかです。

・雨温図からは、降水量の季節変化を読み取って、流量や災害のリスクを考察することができます。


 


 

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02

誤りを含むのは③です。
 

図2を見ると、天竜川本流に比べて支流は短い距離で標高が大きく変化しており、勾配が急です。

したがって「支流の勾配は本流よりも緩やか」という発言は事実と反対になります。

選択肢1. ①

飯田市より上流では、川の左側(東側)に南アルプスの高く広い山地が広がっています。

右側(西側)は中央アルプスの急斜面が迫り、集水面積は比較的小さくなります。

左岸の方が広いという指摘は妥当です。

選択肢2. ②

図1を見ると、天竜峡から船明ダム湖までの区間は峡谷が連続し、谷底が細く山がちです。

上流の伊那盆地や飯田盆地に比べて平地が少なく、市街地や農地も限られます。

発言は正しいです。

選択肢3. ③

図2では、本流がゆるやかに下る一方、支流は短い距離で高標高から合流点まで駆け下りています。

これは支流の方が勾配が急であることを示します。

発言は事実と逆で誤りです。

選択肢4. ④

図3の雨温図から、飯田市は6~9月に降水量が多く、気温も高いです。

雪解けによる増水が目立つ河川ではありませんので、夏に水量が増え、冬に減る傾向と考えてよいでしょう。

発言は妥当です。

まとめ

天竜川流域は、上流に広がる盆地と下流の峡谷とで地形が大きく変わり、支流は急峻な山地から流れ込むため本流より急勾配になります。

図表を読み取る際は、線の傾き=勾配降水量=水量の目安といった基本に注目すると、誤った判断を避けやすくなります。

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