大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問92 (地理B(第5問) 問3)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問92(地理B(第5問) 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

長野県飯田(いいだ)市の高校に通うリュウさんたちは、飯田市の地域調査を行った。この地域調査に関する次の問いに答えよ。

リュウさんたちは、地理院地図の機能を活用して作成した次の図を見ながら現地調査を行い、地形の特徴を確認した。リュウさんたちが話し合った会話文中の下線部①~④のうちから、誤りを含むものを一つ選べ。

リュウ 「市街地には、天竜川の支流である松川(まつかわ)が西から東に流れているよ。飯田駅や飯田市役所は松川の北側にあるね。崖Aは松川の流れに沿っているけど、崖Bは松川の流れにほぼ直交するから、崖Bは、松川による侵食でつくられたものではないと思うよ」
ウタ 「飯田城跡は、段丘の末端付近に立地しているね」
ミドリ 「JR飯田線には大きく曲がっている箇所があるね。駅がある場所の標高は、鼎(かなえ)駅の方が飯田駅よりも高いね」
リュウ 「中央自動車道は、松川がつくった氾濫原と段丘面を横切って建設されているね」
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この過去問の解説 (2件)

01

リュウさんたちは、長野県飯田市の地形について、地理院地図を活用しながら現地調査を行いました。会話文には、地形に関する理解をもとにした発言が含まれており、その中に事実と異なる誤りが1つだけ含まれています。図や標高、地形的な知識をもとに、誤りのある発言を特定することが求められます。

選択肢1. ①

崖Aは松川に沿っていますが、崖Bは流れに対して直交しているため、松川の侵食が原因ではないと考えるのは妥当です。
したがって、正しい内容です。

選択肢2. ②

飯田城跡は実際に段丘の縁辺部(末端)に立地しており、周囲の視界が開けやすく、守りやすい場所です。中世の城の立地としても理にかなっています。したがって、正しい内容です。

選択肢3. ③

実際には、飯田駅の方が標高が高く、鼎駅はそれよりも低い位置にあります。そのため、この発言は誤りです。

選択肢4. ④

中央自動車道は実際に、飯田市周辺で段丘や河川地形を横断するように敷かれており、複数の地形を横切っているのは事実です。したがって、正しい内容です。

まとめ

覚えておくポイント

段丘の末端や縁辺部には、城や寺などが多く立地していることがあります。河川の侵食による崖は、川に沿ってできるのが一般的です。

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02

誤りを含むのは③です。


JR飯田線は北から南へ下り坂になっているため、鼎駅は飯田駅より低い位置にあります。

したがって「鼎駅の方が高い」という発言は逆になっています。

選択肢1. ①

崖Aは松川に沿って北‐南西方向に伸び、松川が削ってできた谷壁と考えられます。

一方、崖Bは北東‐南西方向に走り、松川の流れに直交します。

形の向きが合わないので、崖Bは松川ではなく天竜川の旧河道や段丘縁、あるいは断層など別の要因でできたと見るのが自然です。

発言は妥当です。

選択肢2. ②

飯田城跡は松川右岸の崖上にあり、段丘面の縁辺部に位置します。

段丘の端は比高があり、天然の要害となるため城郭によく利用されます。

この発言も正しいです。

選択肢3. ③

JR飯田線は天竜川に沿って南へ下ります。

実際の標高は、飯田駅が約490 m、鼎駅が約450 mで、南にある鼎駅の方が低いです。

発言は事実と逆で誤りを含みます。

選択肢4. ④

地図を見ると、中央自動車道は松川を渡り、北側の段丘面から南側の低地へと斜めに横切っています。

平坦な氾濫原と段丘面の双方を経ているので、この説明は成り立ちます。

まとめ

飯田市は、松川が刻んだ谷と複数の段丘面が組み合わさる地形で、市街地や交通施設は段丘上と谷底に分かれて配置されています。

地図を読むときは、川の向きと崖の方向が一致するかどうか、鉄道や道路の高度変化などを手掛かりにすると、形成過程や標高の違いが分かりやすくなります。

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