大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問7 (世界史B(第2問) 問1)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問7(世界史B(第2問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

世界史上において、君主の地位は様々な形で継承された。それについて述べた次の文章を読み、後の問いに答えよ。

あるクラスで、フランス王家についての授業が行われている。

先生:次の図を見てください。何か読み取れることはありますか。
小林:中央に二つの図柄があります。左の図柄は、中世のヨーロッパについて勉強した際に出てきたクレシーの戦いの図版で見たことがあります。
後藤:ユリの図柄ですよね。フランス軍も、それに敵対したイングランド軍も、ともにこの図柄の入った旗を掲げていました。
先生:この図はアンリ4世から始まる王朝で使用されるようになる紋章ですが、紋章は家系のつながりや統合を表しています。次の家系図を見てください。ルイ9世の血筋は、一方はクレシーの戦いに関わったフィリップ6世に、一方はアンリ4世につながります。アンリ3世が死去し家系が断絶すると、アンリ4世が王となり、新しい王朝が始まります。ユリの図柄は、アンリ4世が以前の王朝とつながっていることを明確に表しています。
後藤:では、右の図柄は何ですか。
先生:金の鎖の図柄で、アンリ4世の母方の家系で使用されていた図柄です。アンリ4世は即位前に母から別の国の王位を継承していました。アンリ4世の母はa ユグノーだったのですが、アンリ4世自身もユグノーであり、国内における宗教対立では、王家と対立する勢力の首領でした。
小林:アンリ4世は、ナントの王令を出した王だと習いました。この王令が出された背景には、アンリ4世の立場が関係していたんですね。
先生:こうした紋章は、当時王や貴族だけでなく都市なども独自のものを持っていました。宰相マザランが死去した後、親政を始めた( ア )は、こうした紋章を国家財政の問題を解決する手段として使います。当時、( イ )。こうした状況のもと( ア )は『紋章集成』を作成し、そこへの紋章の登録を義務化した上で、登録料を徴収しました。しかし、登録は思ったようには進まず、あまり成果を得られなかったようです。

文章と家系図を参考にしつつ、図について述べた文として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 右の図柄は、クレシーの戦いにおける旗の図柄と同じである。
  • 左の図柄は、アンリ4世がカペー朝とつながりがあることを表している。
  • フランス王家とイングランド王家との統合を表している。
  • アンリ4世が父からナバラ王位を継承したことを表している。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も適当な選択肢は、

「左の図柄は、アンリ4世がカペー朝とつながりがあることを表している。」 です。


中央左のユリ(フルール・ド・リス)は、フランスの歴代王家が受け継いできた伝統的な紋章です。

アンリ4世はブルボン家出身ですが、家系図に示されるとおりルイ9世を祖先に持ちます。

このユリ紋を用いることで、ブルボン家が旧カペー系(ヴァロワ朝)と連続していると示し、王位継承の正統性を強調しました。

選択肢1. 右の図柄は、クレシーの戦いにおける旗の図柄と同じである。

右の金の鎖の図柄はナバラ王国の紋章です。

クレシーで用いられたユリとは異なります。

選択肢2. 左の図柄は、アンリ4世がカペー朝とつながりがあることを表している。

ユリ紋はカペー家以来のフランス王家の象徴です。

ルイ9世から続く血縁を示し、ブルボン家による王位継承の正当性を裏づけます。

選択肢3. フランス王家とイングランド王家との統合を表している。

鎖とユリの組み合わせは、フランス(ユリ)とナバラ(鎖)の統合を示すもので、イングランドは関係しません。

選択肢4. アンリ4世が父からナバラ王位を継承したことを表している。

ナバラ王位は母ジャンヌ=ダルブレ(1572年までナバラ女王)から継承しました。

父ではありません。

まとめ

ユリの紋章はフランス王家の伝統、金の鎖はナバラ王家の伝統です。

アンリ4世は母からナバラ王位を、血縁を通じてカペー系の王位継承権を受け継ぎました。

左のユリ紋はそのカペー系との血統的連続を示し、新しいブルボン朝が旧王朝の正統な後継者であることを国民に印象づける役割を果たしました。

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