大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問18 (世界史B(第3問) 問6)
問題文
中国における書籍分類の歴史について、大学生と教授が話をしている。
内藤:18世紀の中国で編纂(へんさん)された( オ )の「四」という数字はどういう意味ですか。高校では用語として覚えただけで、深く考えませんでした。
教授:( オ )に収められた書籍が、四つに分類されているためです。これを四部分類と言い、経部・史部・子部・集部からなります。
内藤:なるほど、例えば儒学の経典なら経部に、歴史書なら史部に分類されているという具合でしょうか。
教授:そのとおりです。史部について少し具体的に見てみましょう。資料1は、7世紀に編纂された『隋書』経籍志(けいせきし)という書籍目録からの抜粋です。
資料1 『隋書』経籍志で史部に掲載されている書籍の一部
『史記』
『漢書』
『後漢書』
『三国志』
内藤:挙げられたのはいずれも、紀伝体の歴史書ですね。
教授:よく知っていますね。このうち、『漢書』は1世紀にできた歴史書ですが、その中にも芸文志(げいもんし)という書籍目録があります。そこから、儒学の経典を主に収める分類である六芸略(りくげいりゃく)の書籍を抜粋したのが資料2です。
資料2 『漢書』芸文志で六芸略に掲載されている書籍の一部
『易経』
『尚書(書経)』
『春秋』
『太史公』
内藤:高校で習った五経が含まれていますね。最後の太史公は、人名ですか。
教授:これは司馬遷のことで、ここでは彼が編纂した『史記』を指します。
内藤:『史記』は資料1では史部なのに、資料2では違いますね。分類の名前も違います。もしかして1世紀にはまだ四部分類がなかったのですか。
教授:そのとおりです。当時は史部という分類自体、存在しませんでした。この分類が独立し、定着していくのは、歴史書の数が増加した3世紀から6世紀にかけてのことです。
内藤:でも、歴史書の数が増えただけで分類方法まで変わるものでしょうか。『史記』が経典と同じ分類なのも不思議ですし、ちょっと図書館で調べてみます。
文章中の空欄(オ)に入れる語と、(オ)を編纂した王朝について述べた文との組合せとして正しいものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問18(世界史B(第3問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
中国における書籍分類の歴史について、大学生と教授が話をしている。
内藤:18世紀の中国で編纂(へんさん)された( オ )の「四」という数字はどういう意味ですか。高校では用語として覚えただけで、深く考えませんでした。
教授:( オ )に収められた書籍が、四つに分類されているためです。これを四部分類と言い、経部・史部・子部・集部からなります。
内藤:なるほど、例えば儒学の経典なら経部に、歴史書なら史部に分類されているという具合でしょうか。
教授:そのとおりです。史部について少し具体的に見てみましょう。資料1は、7世紀に編纂された『隋書』経籍志(けいせきし)という書籍目録からの抜粋です。
資料1 『隋書』経籍志で史部に掲載されている書籍の一部
『史記』
『漢書』
『後漢書』
『三国志』
内藤:挙げられたのはいずれも、紀伝体の歴史書ですね。
教授:よく知っていますね。このうち、『漢書』は1世紀にできた歴史書ですが、その中にも芸文志(げいもんし)という書籍目録があります。そこから、儒学の経典を主に収める分類である六芸略(りくげいりゃく)の書籍を抜粋したのが資料2です。
資料2 『漢書』芸文志で六芸略に掲載されている書籍の一部
『易経』
『尚書(書経)』
『春秋』
『太史公』
内藤:高校で習った五経が含まれていますね。最後の太史公は、人名ですか。
教授:これは司馬遷のことで、ここでは彼が編纂した『史記』を指します。
内藤:『史記』は資料1では史部なのに、資料2では違いますね。分類の名前も違います。もしかして1世紀にはまだ四部分類がなかったのですか。
教授:そのとおりです。当時は史部という分類自体、存在しませんでした。この分類が独立し、定着していくのは、歴史書の数が増加した3世紀から6世紀にかけてのことです。
内藤:でも、歴史書の数が増えただけで分類方法まで変わるものでしょうか。『史記』が経典と同じ分類なのも不思議ですし、ちょっと図書館で調べてみます。
文章中の空欄(オ)に入れる語と、(オ)を編纂した王朝について述べた文との組合せとして正しいものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
- 『四書大全』 ― 皇帝に権力を集中させるため、中書省を廃止した。
- 『四書大全』 ― 漢人男性に辮髪を強制した。
- 『四庫全書』 ― 皇帝に権力を集中させるため、中書省を廃止した。
- 『四庫全書』 ― 漢人男性に辮髪を強制した。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (1件)
01
組合せとして正しいものは、
「『四庫全書』 ― 漢人男性に辮髪を強制した。」
です。
『四庫全書』は、1781年に清の乾隆帝の勅命によって完成した、約7万9070巻に及ぶ、中国最大の叢書で、経・史・子・集の4つの部に分けられます。
また『四庫全書』を編纂した清朝は、服従の証として、漢人男性に辮髪(女真族の伝統的な髪型)を強要しました。
誤りです。
『四書大全』は明の永楽帝の勅命によって1415年に刊行された四書の注釈書であり、18世紀の清代の書物ではありません。
誤りです。
誤りです。
『四庫全書』は18世紀の清代の書物ですが、中書省を廃止したのは明の太祖・洪武帝です。
正解です。
『四庫全書』は18世紀の書物で、これを編纂した清は、漢人男性に辮髪を強要しました。
1415年に明の永楽帝の命によって刊行された四書の注釈書である『四書大全』と、1781年に清の乾隆帝の命によって完成した中国最大の叢書である『四庫全書』を、それぞれ混同しないようにしましょう。
また、明の太祖・洪武帝による中書省の廃止や、1644年に北京に入城した清による漢人男性への辮髪の強要など、王朝交代による政策の変化や新たな習慣の導入も把握しておきましょう。
参考になった数0
この解説の修正を提案する
前の問題(問17)へ
令和5年度(2023年度)本試験 問題一覧
次の問題(問19)へ