大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問19 (世界史B(第3問) 問7)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問19(世界史B(第3問) 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

世界史を学ぶ際には、単に歴史知識を獲得するだけではなく、それに対する疑問や議論を通じて歴史への理解を深めることが重要である。そのような授業や対話の様子について描写した次の文章を読み、後の問いに答えよ。

中国における書籍分類の歴史について、大学生と教授が話をしている。

内藤:18世紀の中国で編纂(へんさん)された( オ )の「四」という数字はどういう意味ですか。高校では用語として覚えただけで、深く考えませんでした。
教授:( オ )に収められた書籍が、四つに分類されているためです。これを四部分類と言い、経部・史部・子部・集部からなります。
内藤:なるほど、例えば儒学の経典なら経部に、歴史書なら史部に分類されているという具合でしょうか。
教授:そのとおりです。史部について少し具体的に見てみましょう。資料1は、7世紀に編纂された『隋書』経籍志(けいせきし)という書籍目録からの抜粋です。

資料1 『隋書』経籍志で史部に掲載されている書籍の一部
『史記』
『漢書』
『後漢書』
『三国志』

内藤:挙げられたのはいずれも、紀伝体の歴史書ですね。
教授:よく知っていますね。このうち、『漢書』は1世紀にできた歴史書ですが、その中にも芸文志(げいもんし)という書籍目録があります。そこから、儒学の経典を主に収める分類である六芸略(りくげいりゃく)の書籍を抜粋したのが資料2です。

資料2 『漢書』芸文志で六芸略に掲載されている書籍の一部
『易経』
『尚書(書経)』
『春秋』
『太史公』

内藤:高校で習った五経が含まれていますね。最後の太史公は、人名ですか。
教授:これは司馬遷のことで、ここでは彼が編纂した『史記』を指します。
内藤:『史記』は資料1では史部なのに、資料2では違いますね。分類の名前も違います。もしかして1世紀にはまだ四部分類がなかったのですか。
教授:そのとおりです。当時は史部という分類自体、存在しませんでした。この分類が独立し、定着していくのは、歴史書の数が増加した3世紀から6世紀にかけてのことです。
内藤:でも、歴史書の数が増えただけで分類方法まで変わるものでしょうか。『史記』が経典と同じ分類なのも不思議ですし、ちょっと図書館で調べてみます。

次の書籍あ・いが『漢書』芸文志の六芸略に掲載されているかどうかについて述べた文として最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

あ  『詩経』
い  『資治通鑑』
  • あ のみ掲載されている。
  • い のみ掲載されている。
  • 両方とも掲載されている。
  • 両方とも掲載されていない。

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この過去問の解説 (1件)

01

正しい選択肢は、

「あ 『詩経』のみ掲載されている。」 です。


『漢書』芸文志の六芸略は、前漢までに成立していた儒学経典を中心に収録しており、後世に編まれた書物は含まれていません。

 

 

【各選択肢】

『詩経』
五経の一つであり、前漢以前から儒者が経典として尊んでいました。

芸文志が分類した六芸略は、まさにこれらの古典を整理したものなので、『詩経』は当然ここに収められています。

 

『資治通鑑』
北宋の司馬光が11世紀に完成させた編年体の大歴史書です。

『漢書』より千年以上後に成立したため、1世紀の書籍目録である芸文志には掲載されていません。

選択肢1. あ のみ掲載されている。

正しい選択肢です。

選択肢2. い のみ掲載されている。

誤りです。

選択肢3. 両方とも掲載されている。

誤りです。

選択肢4. 両方とも掲載されていない。

誤りです。

まとめ

六芸略は「経書とその注解」を網羅する古典中心の目録です。

前漢成立以前の『詩経』は対象内ですが、宋代の『資治通鑑』は時代的に対象外です。

そのため、掲載されているのは『詩経』だけとなります。

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