大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問63 (日本史B(第6問) 問4)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問63(日本史B(第6問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

修学旅行をひかえたカヅキさんは、「旅」をキーワードに調べ学習をした。学習の過程で作成した次の資料を読んで、後の問いに答えよ。(資料は、一部省略したり、書き改めたりしたところもある。)

旅行の変化に関するメモ

〈戦前〉生きるための旅からレジャーの旅へ
・生きるための旅・・・d 炭鉱労働者、行商人、巡礼者
e 訪日客誘致を目的にジャパン・ツーリスト・ビューロー設立(1912年)

〈戦後〉レジャーの旅の拡大
f 博覧会などのイベント開催→旅行活性化=地域活性化が期待される
・海外旅行:海外渡航の自由化(1964年)→g アジアの新興国への旅行が増大

下線部dに関連して、次の表2と史料2に関して述べた後の文a~dについて、正しいものの組合せを、後の選択肢のうちから一つ選べ。

史料2 炭鉱における家族労働
亭主は一足先に入坑し切羽(きりは)(注1)に挑んでおる。女房は(家事の)あと始末をして、いとけない十才未満の倅(せがれ)に幼児をおわせ、四人分の弁当(中略)担(かた)げて(注2)ワレも滑らず、うしろも転ばぬ様に気を配りつつさがり行く。此(こ)の場合大人がおんぶすれば安全だが何分坑道が低く、幼児が頭を打ちつける、他人に幼児を預けると十銭(中略)いるから大変、よって学校は間欠(かんけつ)(注3)長欠になるわけであった。
(山本作兵衛「入坑(母子)」)

(注1)切羽:堀り進めている坑道の先端。切場(きりば)。
(注2)担げて:肩にのせて。かついで。
(注3)間欠:一定の期間休むこと。

a  表2によると、いずれの炭鉱においても労働者の3分の2以上が勤続年数3年未満であり、1年未満が最も多かった。
b  表2によると、他府県出身の労働者が多ければ多いほど、勤続年数が短くなる傾向があった。
c  史料2によると、炭鉱内に女性は入ることができず、炭坑労働者の妻は夫の弁当を男の子に届けさせなければならなかった。
d  史料2によると、子供の教育よりも家計を優先する炭鉱労働者がいたことが分かる。
問題文の画像
  • a・c
  • a・d
  • b・c
  • b・d

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

史料の読解と表の読解の組合せ問題です。

史料の読解は、cかdかの2択で表の読解は、aかbの2択の組合せになります。

それぞれ見ていきましょう。

aは、表2の右側の「勤続年数別比率(%)」の3年以上を見ると、最も多いF炭鉱で21%です。文中の3分の2は66.6%ですので、100%-66.6%=33.4%>3年以上です。

bは、表では「他府県出身の労働者」と「勤続年数別比率(%)」とは、直接の関係は見いだせません。単に並列しているだけです。

cは、史料に「大人がおんぶすれば安全」「他人に幼児を預ける」という表現がありますが、なぜ子どもが坑道に入るかは史料からは読み取れません。また、炭鉱内に女性は入ることができず」という表現はありません。いずれも憶測は可能ですが、正しいかどうかは、史料からは分かりません。

dは、「他人に幼児を預けると十銭(中略)いるから大変、よって学校は間欠(かんけつ)長欠になる」とありますので、学校に通わせていないことが分かります。また、10銭いるから大変とありますので、10銭を惜しんでおんぶしたということになります。なぜ、10銭を惜しんだかというと家計(自分の小遣いも含めて)を優先したということでしょう。

選択肢1. a・c

不適切です。

選択肢2. a・d

適切です。

選択肢3. b・c

不適切です。

選択肢4. b・d

不適切です。

まとめ

表の読解は、わりと容易いですが、史料の読解は難しいです。

特に、cもdも推測で、その推測が史料中から断定できるかが、ポイントになるでしょう。

参考になった数0