大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)本試験
問64 (日本史B(第6問) 問5)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)本試験 問64(日本史B(第6問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

修学旅行をひかえたカヅキさんは、「旅」をキーワードに調べ学習をした。学習の過程で作成した次の資料を読んで、後の問いに答えよ。(資料は、一部省略したり、書き改めたりしたところもある。)

旅行の変化に関するメモ

〈戦前〉生きるための旅からレジャーの旅へ
・生きるための旅・・・d 炭鉱労働者、行商人、巡礼者
e 訪日客誘致を目的にジャパン・ツーリスト・ビューロー設立(1912年)

〈戦後〉レジャーの旅の拡大
f 博覧会などのイベント開催→旅行活性化=地域活性化が期待される
・海外旅行:海外渡航の自由化(1964年)→g アジアの新興国への旅行が増大

下線部eに関して、カヅキさんは、設立の事情を調査・考察した。その内容をまとめた文章として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。
  • 当時、外国人を日本各地に移住させる目的で、地方改良運動が行われていた。この成果を、訪日客の見聞を通して世界に知らせる意図があった。
  • 当時の欧米では、日露戦争による日本でのファシズムの高まりが懸念されていた。この懸念を、訪日客の見聞を通して払拭できるという期待があった。
  • 当時の日本は、産業革命のなかで生じた貿易赤字に苦しんでいた。この問題を、訪日客がもたらす外貨で緩和させる意図があった。
  • 当時、日本以外のアジアでは民族自決原則に基づく独立運動が活発化し、治安が悪化していた。そのため、訪日客が増大するという期待があった。

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この過去問の解説 (1件)

01

文中の「訪日客誘致を目的にジャパン・ツーリスト・ビューロー設立(1912年)」の1912年とは、明治45年のことです。

また、ジャパン・ツーリスト・ビューローは、国際観光事業者との連絡、日本の紹介などを目的として設立されました。国際親善と経済復興が背景としてあげられます。

選択肢をそれぞれ見ていきましょう。
 

選択肢1. 当時、外国人を日本各地に移住させる目的で、地方改良運動が行われていた。この成果を、訪日客の見聞を通して世界に知らせる意図があった。

当時の「地方改良運動」は、日露戦争により疲弊した地方の立て直しを目的としていました。

よって、不適切です。

選択肢2. 当時の欧米では、日露戦争による日本でのファシズムの高まりが懸念されていた。この懸念を、訪日客の見聞を通して払拭できるという期待があった。

当時の欧米では、日露戦争による日本でのファシズムの高まりが懸念されていたわけではありません。

よって、不適切です。

選択肢3. 当時の日本は、産業革命のなかで生じた貿易赤字に苦しんでいた。この問題を、訪日客がもたらす外貨で緩和させる意図があった。

ジャパン・ツーリスト・ビューローは、国際観光事業者との連絡、日本の紹介などを目的として設立されましたが、国際親善と経済復興を背景としていました。

よって、適切です。

選択肢4. 当時、日本以外のアジアでは民族自決原則に基づく独立運動が活発化し、治安が悪化していた。そのため、訪日客が増大するという期待があった。

当時、日本以外のアジアで民族自決原則に基づく独立運動は活発化していません。

そのため、不適切です。

まとめ

単に知識を問うだけでなく、設立の目的、背景を理解していなければなりません。

日露戦争後の日本の国際社会での位置付けなどを理解しておく必要もあり、概して難しい問題といえそうです。

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