大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問62 (日本史B(第6問) 問4)
問題文
四方を海に囲まれた日本では、漁業が発展し、魚介類(甲殻類も含む)が盛んに消費されてきた。近海の漁獲量だけでは消費を支えられなくなった明治以降、日本の漁場は拡大した。その過程でロシア沿海に着目した日本は、a 日露戦争の勝利を受けてロシアと漁業協約を締結して漁場を確保した。
b 既存の塩干しや新たに登場した缶詰などの保存技術に支えられて日本の漁場が拡大するなか、1920~1930年代に漁業紛争が発生した。北太平洋ではc アメリカと漁場を巡って外交問題が生じた。また、d 東シナ海・黄海でも、中国との間で、漁場を巡る紛争が頻発した。
下線部dに関連して、次の史料2に関して述べた後の文a~dについて、正しいものの組合せを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
史料2 支那東海(注1)黄海漁業協議会(日本側の会議)の議事録
・元来彼等漁民は国際観念薄きが故に、領海に屢々(しばしば)接近し之(こ)れが為(た)め事端(注2)を惹起(じゃっき)するも其(そ)の後に対策を講ずれば良いと云(い)う考えを抱く者少からざれば、彼等に充分の注意を与うる事必要にして、仮令(たとい)公海なりと雖(いえど)も道徳観念に基づき相互に漁具を破壊するが如(ごと)き事なき様に致し度(た)し。
・本年度軍艦及農林省監視船の行動予定に付き説明したる上、本年は支那(注3)側に於ても日本の出漁船に対し何等かの対策を講ずべき情報あれば、当業者に警告し事端を発生せしめざる様充分注意致し度し。
(『昭和三年四月開催支那東海黄海漁業協議会議事要録』)
(注1)支那東海:東シナ海のこと。
(注2)事端:事件の発端。
(注3)支那:当時用いられた中国の呼称。
a この会議が開かれた1920年代には山東出兵が行われ、中国側との武力衝突が起きた。
b この会議が開かれた1920年代には辛亥革命が起こり、中国との関係が悪化した。
c この会議では、中国領海に接近して紛争が起こっても事後対応で構わないと考える漁業者に対して、注意を与えなければならないとされた。
d この会議では、中国が日本の出漁船に対策を講じるような場合は、艦船を派遣して中国に警告するとされた。
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問題
大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問62(日本史B(第6問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
四方を海に囲まれた日本では、漁業が発展し、魚介類(甲殻類も含む)が盛んに消費されてきた。近海の漁獲量だけでは消費を支えられなくなった明治以降、日本の漁場は拡大した。その過程でロシア沿海に着目した日本は、a 日露戦争の勝利を受けてロシアと漁業協約を締結して漁場を確保した。
b 既存の塩干しや新たに登場した缶詰などの保存技術に支えられて日本の漁場が拡大するなか、1920~1930年代に漁業紛争が発生した。北太平洋ではc アメリカと漁場を巡って外交問題が生じた。また、d 東シナ海・黄海でも、中国との間で、漁場を巡る紛争が頻発した。
下線部dに関連して、次の史料2に関して述べた後の文a~dについて、正しいものの組合せを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
史料2 支那東海(注1)黄海漁業協議会(日本側の会議)の議事録
・元来彼等漁民は国際観念薄きが故に、領海に屢々(しばしば)接近し之(こ)れが為(た)め事端(注2)を惹起(じゃっき)するも其(そ)の後に対策を講ずれば良いと云(い)う考えを抱く者少からざれば、彼等に充分の注意を与うる事必要にして、仮令(たとい)公海なりと雖(いえど)も道徳観念に基づき相互に漁具を破壊するが如(ごと)き事なき様に致し度(た)し。
・本年度軍艦及農林省監視船の行動予定に付き説明したる上、本年は支那(注3)側に於ても日本の出漁船に対し何等かの対策を講ずべき情報あれば、当業者に警告し事端を発生せしめざる様充分注意致し度し。
(『昭和三年四月開催支那東海黄海漁業協議会議事要録』)
(注1)支那東海:東シナ海のこと。
(注2)事端:事件の発端。
(注3)支那:当時用いられた中国の呼称。
a この会議が開かれた1920年代には山東出兵が行われ、中国側との武力衝突が起きた。
b この会議が開かれた1920年代には辛亥革命が起こり、中国との関係が悪化した。
c この会議では、中国領海に接近して紛争が起こっても事後対応で構わないと考える漁業者に対して、注意を与えなければならないとされた。
d この会議では、中国が日本の出漁船に対策を講じるような場合は、艦船を派遣して中国に警告するとされた。
- a・c
- a・d
- b・c
- b・d
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