大学入学共通テスト(地理歴史) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問65 (日本史B(第6問) 問7)

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問題

大学入学共通テスト(地理歴史)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問65(日本史B(第6問) 問7) (訂正依頼・報告はこちら)

日本の漁業と対外関係について述べた次の文章を読み、後の問いに答えよ。(資料は、一部省略したり、書き改めたりしたところもある。)

アジア太平洋戦争(太平洋戦争)での敗戦により、日本は連合国の占領下に置かれた。日本は( ア )に調印して独立を回復すると、近隣諸国との国交樹立に際して漁業協定を締結した。例えば、独立回復と同年に中華民国との間で日華平和条約が締結されたほか、佐藤栄作内閣期には( イ )が締結されるなどしたが、そこでは必ず漁業協定について交渉することが取り決められたのである。また、e 工業部門の成長がもたらす公害の影響を沿岸漁業が受けたことも、漁業の遠洋化を促した。このように、f 日本の魚介類の自給は、近隣諸国との関係やそれと表裏一体である漁場確保の状態に左右されてきたのである。

下線部fに関連して、1950年以降の魚介類の国民一人当たり消費量と、1960年以降の魚介類の自給率(金額を基準に算出)を示した次のグラフ2に関して述べた文章として最も適当なものを、後の選択肢のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 1950年代後半に、一人当たり消費量が50kgを超えた。背景には、この時期に生じた朝鮮特需による所得の上昇がある。
  • 1960~70年代には、一人当たり消費量が増えても、自給率は100%前後を維持できていた。背景には、この時期に続いていた第一次産業従事者の増加による漁獲量の増加がある。
  • 1980年代半ば以降、自給率は低下した。背景には、急速な円高による魚介類の輸入の容易化がある。
  • 1990年代に、一人当たり消費量は減少した。背景には、この時期にインスタント食品が登場し食生活が多様化したことがある。

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この過去問の解説 (1件)

01

最も適当なのは、

「1980年代半ば以降、自給率は低下した。背景には、急速な円高による魚介類の輸入の容易化がある。」 です。

 

グラフでは1985年ごろを境に自給率が急落しており、この時期はプラザ合意後の円高によって水産物輸入が増加した時期と一致します。

選択肢1. 1950年代後半に、一人当たり消費量が50kgを超えた。背景には、この時期に生じた朝鮮特需による所得の上昇がある。

確かにグラフは50 kgを上回りますが、消費増を朝鮮特需だけに帰すのはやや単純化で、適切さに欠けます。

選択肢2. 1960~70年代には、一人当たり消費量が増えても、自給率は100%前後を維持できていた。背景には、この時期に続いていた第一次産業従事者の増加による漁獲量の増加がある。

自給率は概ね100%前後で合っていますが、1960~70年代はむしろ第一次産業従事者が減少期であり、理由説明が誤りです。

選択肢3. 1980年代半ば以降、自給率は低下した。背景には、急速な円高による魚介類の輸入の容易化がある。

プラザ合意(1985年)後の急激な円高を受け、輸入魚介類が増大し自給率が低下したという因果関係がグラフとよく対応します。

内容も史実と一致します。

選択肢4. 1990年代に、一人当たり消費量は減少した。背景には、この時期にインスタント食品が登場し食生活が多様化したことがある。

消費減自体は事実ですが、インスタント食品は1950~60年代に普及しており、理由づけが時期的に不適当です。

まとめ

1980年代半ばからの円高は、水産物を含む輸入品の価格を下げ、日本の魚介類自給率を大きく押し下げました。

グラフでも自給率の急落が明瞭であり、背景説明まで正確に示している選択肢が最も妥当です。

 

 

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