大学入学共通テスト(国語) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問32 (第4問(漢文) 問6)

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問題

大学入学共通テスト(国語)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問32(第4問(漢文) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

清の学者・政治家阮元(げんげん)は、都にいたとき屋敷を借りて住んでいた。その屋敷には小さいながらも花木の生い茂る庭園があり、門外の喧噪(けんそう)から隔てられた別天地となっていた。以下は、阮元がこの庭園での出来事について、嘉慶(かけい)18年(1813)に詠じた【詩】とその【序文】である。これを読んで、後の問いに答えよ。なお、設問の都合で返り点・送り仮名・本文を省いたところがある。

(注1)董思翁 ――― 明代の文人・董其昌(とうきしょう)(1555 ― 1636)のこと。
(注2)辛未 ――― 清・嘉慶16年(1811)。
(注3)瓜爾佳 ――― 満州族名家の姓。
(注4)空匣 ――― 空の箱。
(注5)壬申 ――― 清・嘉慶17年(1812)。
(注6)従容 ――― ゆったりと。
(注7)花事 ――― 春に花をめでたり、見て歩いたりすること。
(注8)坐輿可許子猷過 ――― 子猷は東晋・王徽之(おうきし)の字(あざな)。竹好きの子猷は通りかかった家に良い竹があるのを見つけ、感嘆して朗詠し、輿(こし)に乗ったまま帰ろうとした。その家の主人は王子猷が立ち寄るのを待っていたので、引き留めて歓待し、意気投合したという故事を踏まえる。

空欄( X )に入る漢字と【詩】に関する説明として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
問題文の画像
  • 「座」が入り、起承転結で構成された七言絶句。
  • 「舞」が入り、形式の制約が少ない七言古詩。
  • 「歌」が入り、頷聯(がんれん)と頸聯(けいれん)がそれぞれ対句になった七言律詩。
  • 「少」が入り、第一句の「多」字と対になる七言絶句。
  • 「香」が入り、第一句末と偶数句末に押韻する七言律詩。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題を解答するポイントは以下の点です。
漢詩の詩形や押韻は正しいか。
 

選択肢1. 「座」が入り、起承転結で構成された七言絶句。

7文字×8句の七言律詩なので、不適当です。
 

選択肢2. 「舞」が入り、形式の制約が少ない七言古詩。

7文字×8句の七言律詩なので、不適当です。
古詩は長さに対して定まった形を持ちません。
 

選択肢3. 「歌」が入り、頷聯(がんれん)と頸聯(けいれん)がそれぞれ対句になった七言律詩。

詩形が一致しており、押韻も「〇a」で揃うので正答です。
 

選択肢4. 「少」が入り、第一句の「多」字と対になる七言絶句。

7文字×8句の七言律詩なので、不適当です。
 

選択肢5. 「香」が入り、第一句末と偶数句末に押韻する七言律詩。

詩形は一致しているが押韻が「kou」で揃わないので、不適当です。
 

まとめ

最初に提示したとおり、この問題を解答するポイントは以下の点です。
漢詩の詩形や押韻は正しいか。
詩形は主に、文字数によって五言/七言の2種類、句数によって絶句(4句)/律詩(8句)の2種類を組み合わせ、計4種類に分けられます。
今回は7文字×8句の七言律詩です。

 

また、押韻とは、第一句末+偶数句末が同一または類似の韻をもつ字を使用することです。
韻とは、漢字を音読みしたときの母音(aiueo)のことで、押韻すべきところは母音が一致します。

 

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02

最もふさわしい組合せは「歌」が入り、頷聯と頸聯がそれぞれ対句になった七言律詩です。
詩は八句五仄三平の七言律詩で、三・四句(頷聯)と五・六句(頸聯)が内容も構造も釣り合う対句となっています。欠けている語は、第一句末と第二句末で踏んでいる「歌」韻に合わせて補うのが自然です。

選択肢1. 「座」が入り、起承転結で構成された七言絶句。

絶句なら四句構成で対句義務もありませんが、原詩は八句あり、対句も確認できます。形式が合いません。

選択肢2. 「舞」が入り、形式の制約が少ない七言古詩。

古詩は対句や平仄規則がゆるやかですが、本文は平仄・対句が整った近体詩です。

選択肢3. 「歌」が入り、頷聯(がんれん)と頸聯(けいれん)がそれぞれ対句になった七言律詩。

第一・二・四・六・八句が「歌」部で押韻し、三・四句、五・六句が対句。近体詩の典型的な形を備えています。

 

選択肢4. 「少」が入り、第一句の「多」字と対になる七言絶句。

第一句に「多」があるから第二句に「少」を対置する、という説明ですが現行の詩句にそのような対句は見当たりません。また絶句ではないので不適当です。

 

選択肢5. 「香」が入り、第一句末と偶数句末に押韻する七言律詩。

詩の韻脚は「歌」部で統一されており、「香」部ではありません。韻が合わず内容とも対応しません。

まとめ

原詩は近体詩の「七言律詩」です。三・四句と五・六句が鮮明な対句を成し、韻脚は「歌」部です。したがって「歌」を入れた七言律詩との判断が最も論理的です。

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