大学入学共通テスト(国語) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問28 (第4問(漢文) 問1)

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問題

大学入学共通テスト(国語)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問28(第4問(漢文) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

唐の王宮の中に雉(きじ)が集まってくるという事件が何度も続き、皇帝である太宗(たいそう)は何かの前触れではないかと怪しんで、臣下に意見を求めた。以下は、この時に臣下の褚遂良(ちょすいりょう)が出した意見と太宗の反応とに対する批評である。これを読んで、後の問いに答えよ。なお、設問の都合で本文を改め、返り点・送り仮名を省いたところがある。

(注1)秦文公 ―― 春秋時代の諸侯の一人で、秦の統治者。
(注2)陳倉 ―― 地名。現在の陝西(せんせい)省にあった。
(注3)南陽 ―― 地名。現在の河南省と湖北省の境界あたりにあった。
(注4)陛下本封秦 ―― 太宗は即位以前、秦王の位を与えられていた。唐の長安も春秋時代の秦の領地に含まれる。
(注5)上 ―― 太宗。
(注6)陳宝 ―― 童子が変身した雉を指す。
(注7)猶得白魚便自比武王 ―― 周の武王が船で川を渡っていると、白い魚が船中に飛び込んできた故事を踏まえる。その後、武王は殷(いん)を滅ぼして周王朝を開き、白魚は吉兆とされた。
(注8)諂妄 ―― こびへつらうこと。
(注9)愚瞽 ―― 判断を誤らせる。
(注10)史 ―― 史官。歴史書編集を担当する役人。
(注11)魏徴 ―― 太宗の臣下。
(注12)高宗鼎耳之祥 ―― 殷の高宗の祭りの時、鼎(かなえ)(三本足の器)の取っ手に雉がとまって鳴き、これを異変と考えた臣下が王をいさめた故事。後に見える「鼎雊」もこれと同じ。「雊」は雉が鳴くこと。

波線部ア「即」のここでの意味として最も適当なものを、次の選択肢のうちから一つ選べ。

ア  「即」
問題文の画像
  • かえって
  • そこではじめて
  • すぐに
  • そのときには
  • かりに

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この過去問の解説 (2件)

01

「即」の意味として適当なものを選ぶ問題です。
「即」は「即ち=すなわち」と読み、「すぐに」「つまり」という意味をもちます。


これを踏まえて、(ア)の前後の意味をとってみると、
「今雉を見て  これを宝とするのは、白魚のことを吉兆と捉えた周の武王のようだ」
というような意味になります。

では、選択肢の検討に移りましょう。
 

選択肢1. かえって

×かえって
当てはめてみましょう。
「今雉を見て かえって これを宝とするのは、白魚のことを吉兆と捉えた周の武王のようだ」
となり、意味がつながりません。

 

この選択肢は誤りです。

 

選択肢2. そこではじめて

×そこではじめて
「即」には「はじめて」という意味はありません。

 

この選択肢は誤りです。

選択肢3. すぐに

〇すぐに
当てはめてみましょう。
「今雉を見て すぐに これを宝とするのは、白魚のことを吉兆と捉えた周の武王のようだ」


となり、意味が自然に通ります。

この選択肢が正解です。

選択肢4. そのときには

×そのときには
「即」には「そのときには」という意味はありません。


この選択肢は誤りです。

 

選択肢5. かりに

×かりに

「即」には「かりに」という意味はありません。
 

この選択肢は誤りです。

まとめ

適切な意味を選べるよう、それぞれの字の持つ意味を復習しておきましょう。
字の意味だけで判断するのが難しい場合は、前後の内容を検討し、意味が自然に通るものを選びます。

 

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02

語句の意味に関する問題です。

「即」は、「即ち」と送り仮名をともなって「すなわち」と読みます。

漢文での「すなわち」は「即ち」「則ち」「乃ち」「便ち」など複数あり、それぞれ意味が異なるので、調べておきましょう。

 

「即ち」の意味は以下のとおりです。

すぐに

・とりもなおさず(つまり言い換えると

 

意味を知らない場合は、前後の文脈から推測しましょう。

「即」の前後を、注を参考にして現代語訳すると、以下のようになります。

今、雉を見て、「即」これを宝とするのは、白魚を吉兆とした周の武王のようだ。

この「即」の部分に選択肢を当てはめてみます。

選択肢1. かえって

現代では「かえって(却って)」と読むこともありますが、ここでは誤りです。

また、本文の「即」の部分に当てはめてみると、

「今、雉を見て、『かえって』これを宝とするのは、白魚を吉兆とした周の武王のようだ。」

となり、文脈がつながりません。

選択肢2. そこではじめて

「はじめて」という意味は含まないため、誤りです。

また、本文の「即」の部分に当てはめてみると、

「今、雉を見て、『はじめて』これを宝とするのは、白魚を吉兆とした周の武王のようだ。」

となり、文脈がつながりません。

選択肢3. すぐに

「即ち」の意味に適するため、これが適切なものです。

また、本文の「即」の部分に当てはめてみると、

「今、雉を見て、『すぐに』これを宝とするのは、白魚を吉兆とした周の武王のようだ。」

となり、文脈がつながります。

選択肢4. そのときには

「そのときには」という限定の意味は含まないため、誤りです。

また、本文の「即」の部分に当てはめてみると、

「今、雉を見て、『そのときには』これを宝とするのは、白魚を吉兆とした周の武王のようだ。」

となり、文脈がつながりません。

選択肢5. かりに

「かりに」という仮定の意味は含まないため、誤りです。

また、本文の「即」の部分に当てはめてみると、

「今、雉を見て、『かりに』これを宝とするのは、白魚を吉兆とした周の武王のようだ。」

となり、文脈がつながりません。

まとめ

「すなわち」は何通りかの漢字がある頻出の語です。

それぞれの意味を確認しておきましょう。

また、選択肢を該当部分に当てはめて、前後の文脈で判断することもあわせて行うと、より確実です。

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