大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問38 (倫理(第1問) 問8)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問38(倫理(第1問) 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生AとBが交わした次の会話を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのAとBは各々全て同じ人物である。

A:浮かない顔をしているね。
B:うーん。実は、友達とあることについて話していたら、言い争いになったんだよね。向こうは「自分の考えの方が正しい、a 真理なんだ」って言い張っていて、嫌になっちゃったよ。
A:それでどうしたの?
B:ただ黙ってやり過ごしたよ。議論にもb 礼儀やマナーが必要だし、あれだけ強く言われると、相手にするのが面倒くさくなっちゃった。
A:それはダメでしょ。とにかく、c 異なった見方や考えを持った相手に対しては、議論に勝って、自分の正しさを示さないと。
B:そうかな?黙って受け流した方がいいと思うけど…。その方が相手を傷つけることもなくてd 人間の生き方としてふさわしいと思うし、こっちも不快な思いをしなくて済むしね。

次のAとBの会話を読み、会話中の( a )の前後の文脈を踏まえて、( a )に入る文として最も適当なものを、後のうちから一つ選べ。なお、記述内容自体は正しいものとなっている。

B:ここ数日のやり取りで、少し成長した気がするよ。私は最初、面倒なことを背負い込んだり不快な思いをしたりするのが嫌で、自分を守るために議論を避けたんだけど…。『自省録』の言葉は響いたなあ。
A:私は最初、議論はとにかく相手を言い負かして、勝つためにやるものだと思ってた。でも、そうした仕方で議論することの危険性もあるんだね。だから、あえて議論で争わないっていう思想を唱えた人もいたんだね。
B:議論すること自体がダメではなく、議論の姿勢や目的が大事なのかな。
A:うん。議論をしてはじめて真理へと至る道が開けてくるとも考えられるよね。倫理の配付資料にも似た話が書いてあったね。「( a )」って。
B:そうだね。議論してくれる相手と向き合って、互いの言い分を理解し合おうとすることが、自分の考えを深めて磨く機会にもなり得るんだね。
A:自分が対立に直面したときは、その都度しっかりと考えないとね!
  • 新約聖書の「マルコによる福音書」によると、イエスは、十字架にかけられる前に行われた裁判で、自分を告発する証言者に対して弁明するように求められたとき、黙り続けて、答えることはなかった
  • 『伝習録』によると、王陽明は、良知の理解をめぐって対立した弟子たちに対して、議論によって互いの主張に耳を傾け、相互の見解を補い合うことで、正しい理解へと至ることができると諭(さと)した
  • ナーガールジュナ(竜樹)は、『ヴァイダルヤ論』で、論争の前提となっている言葉自体が存在するものではないから、論争に基づいて解脱に到達することはあり得ないという考え方を示した
  • ゴルギアスは、『あらぬについて』で、あらゆる物事について、実際にありはしないし、あっても理解できないし、理解できたとしても言葉で伝えられないと論じ、議論によって得られる真理に疑いのまなざしを向けた

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