大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問58 (倫理(第4問) 問4)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問58(倫理(第4問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生JとKが倫理の授業の予習をしているときに交わした次の会話を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのJとKは各々全て同じ人物である。

J:うーん、次回の授業で扱うa 未来世代に対する責任ってよく分からないなあ。
K:後の世代のためによいことをしなければいけない、というのは当然じゃない?
J:その人たちに何がよいのかなんて、今の私たちに分かる?私にはb ネットがない生活なんて耐えられないけど、この気持ちは昔の人には分からなかったでしょ。未来の人はまた違うことを望むはずで、それは予想できないよね。
K:変わらないこともあるよ。誰だって衣食住や自由が必要だし、c 子どもは大人に守ってもらわないと。それに安全なd 環境や社会がなければ不安だよ。
J:でも、私個人のe 行動が、未来の人の生活に影響することなんてあるのかな。
K:一人ひとりの廃棄で川や海にプラスチックが溜(た)まり、電気やガスの使い過ぎでf 温暖化も進んだ、と授業で習ったね。個人の行動も未来に影響はするよ。
J:なるほど。だけど、そもそも私たちに未来世代に対する責任があるのかなあ。この責任を負う相手には、遠いg 将来の人だって含まれるかもしれないわけでしょ。そんな赤の他人になぜ何かをしてあげなければいけないのかな?
K:そういう人を思いやるのは難しいけど、それって何もしないことの言い訳になる?遠い未来に生まれるとしても私たちと同じ人間なんだから、h 道徳的に考えると、その人たちの利害も私たちのものと同様に重要なんじゃないの。
J:うーん、まだ存在もしていない人の利害よりも、いま現に生きている人の利害の方が大事な気もする。それに、同世代の人に何かよいことをするならお返しをしてもらえる可能性があるけど、未来世代の人からは何も返してもらえないよ。一方的な自己犠牲をしなきゃいけないの?
K:それは本当に一方的な自己犠牲なのかな。違うと思うよ。私たちが有限な人生を生きることの意味や幸福って、誰かが私たちの遺産を引き継いで幸せに生きていってくれるっていう期待にかかっているんじゃないの。
J:i 後を継ぐ人がいないとしても、自分らしく生きられるのなら、それで十分だと思うけど。まだ納得できないから、明日、授業を受けてからまた話そう。

下線部dに関連して、次のア・イは、環境や世界と人間との関係について考えた思想家の説明であるが、それぞれ誰のことか。その組合せとして正しいものを、後のうちから一つ選べ。

ア  人間は身体を通じて世界を知覚し行動するのであり、その身体によって世界の中に織り込まれている、と考えた。
イ  人間は生態系の征服者ではなく一構成員であり、生態系という共同体を尊重し他の構成員に配慮して行動すべきである、と考えた。
  • ア:パース       イ:メルロ=ポンティ
  • ア:パース       イ:レオポルド
  • ア:メルロ=ポンティ  イ:パース
  • ア:メルロ=ポンティ  イ:レオポルド
  • ア:レオポルド     イ:パース
  • ア:レオポルド     イ:メルロ=ポンティ

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この過去問の解説 (2件)

01

哲学者が提唱している理論を実生活の中でどれだけ想像できるかが大切です。

クセの強い理論が多いので自分でツッコミを入れながら勉強してみると、

意外と覚えやすかったりします。ぜひ試してみてください。

 

パースプログマティズムを提唱しました。

物事の真理を「理論や信念」ではなく「行動の結果」で判断する哲学的思想です。

簡単に言えば、理論や信念よりも「実際に役立つかどうか」を重視します。

 

メルロ=ポンティ身体論を提唱しました。

身体は精神に従う単なる客体ではなく、主体的な側面も併せ持っているのだと考えました。

例えば、机の上にあるリンゴを認知するためには、

目や手など身体が主体的な役割を果たす必要があるのです。

 

レオポルド土地論理を提唱しました。人間中心主義から脱却し、自然全体への倫理的な責任を主張するもので、

人間と自然は平等な関係であるとしました。

選択肢1. ア:パース       イ:メルロ=ポンティ

不適切。

ア:パース ×

イ:メルロ=ポンティ ×

 

選択肢2. ア:パース       イ:レオポルド

不適切。

ア:パース ×

イ:レオポルド 〇

選択肢3. ア:メルロ=ポンティ  イ:パース

不適切。

ア:メルロ=ポンティ 〇

イ:パース ×

選択肢4. ア:メルロ=ポンティ  イ:レオポルド

適切。

ア:メルロ=ポンティ 〇

イ:レオポルド 〇

選択肢5. ア:レオポルド     イ:パース

不適切。

ア:レオポルド ×

イ:パース ×

選択肢6. ア:レオポルド     イ:メルロ=ポンティ

不適切。

ア:レオポルド ×

イ:メルロ=ポンティ ×

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02

メルロ・ポンティ「身体」に注目しました。「身体」のはたらきについて説き「人間は身体を通じて世界を知覚し行動するのであり、その身体によって世界の中に織り込まれている」と考えました。

 

レオポルド「土地論理」を提唱しました。土地論理とは「人間は生態系の征服者ではなく一構成員であり、生態系という共同体を尊重し他の構成員に配慮して行動すべき」とする考え方で、人間と自然は平等な関係であるとしました。

 

パース「プラグマティズム」を提唱しました。プラグマティズムは実用主義とも呼ばれ、物事の真理は「正しいのか正しくないのか」といった絶対的なものではなく、人々の生活に実際に「役立つのか役立たないのか」で判断されます。

選択肢1. ア:パース       イ:メルロ=ポンティ

不適切

 

パース:プラグマティズム

メルロ=ポンティ:身体

選択肢2. ア:パース       イ:レオポルド

不適切

 

パース:プラグマティズム

レオポルド:土地論理

選択肢3. ア:メルロ=ポンティ  イ:パース

不適切

 

メルロ=ポンティ:身体

パース:プラグマティズム

選択肢4. ア:メルロ=ポンティ  イ:レオポルド

適切

 

メルロ=ポンティ:身体

レオポルド:土地論理

選択肢5. ア:レオポルド     イ:パース

不適切

 

レオポルド:土地論理

パース:プラグマティズム

選択肢6. ア:レオポルド     イ:メルロ=ポンティ

不適切

 

レオポルド:土地論理

メルロ=ポンティ:身体

参考になった数0