大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)本試験
問59 (倫理(第4問) 問5)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)本試験 問59(倫理(第4問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生JとKが倫理の授業の予習をしているときに交わした次の会話を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのJとKは各々全て同じ人物である。

J:うーん、次回の授業で扱うa 未来世代に対する責任ってよく分からないなあ。
K:後の世代のためによいことをしなければいけない、というのは当然じゃない?
J:その人たちに何がよいのかなんて、今の私たちに分かる?私にはb ネットがない生活なんて耐えられないけど、この気持ちは昔の人には分からなかったでしょ。未来の人はまた違うことを望むはずで、それは予想できないよね。
K:変わらないこともあるよ。誰だって衣食住や自由が必要だし、c 子どもは大人に守ってもらわないと。それに安全なd 環境や社会がなければ不安だよ。
J:でも、私個人のe 行動が、未来の人の生活に影響することなんてあるのかな。
K:一人ひとりの廃棄で川や海にプラスチックが溜(た)まり、電気やガスの使い過ぎでf 温暖化も進んだ、と授業で習ったね。個人の行動も未来に影響はするよ。
J:なるほど。だけど、そもそも私たちに未来世代に対する責任があるのかなあ。この責任を負う相手には、遠いg 将来の人だって含まれるかもしれないわけでしょ。そんな赤の他人になぜ何かをしてあげなければいけないのかな?
K:そういう人を思いやるのは難しいけど、それって何もしないことの言い訳になる?遠い未来に生まれるとしても私たちと同じ人間なんだから、h 道徳的に考えると、その人たちの利害も私たちのものと同様に重要なんじゃないの。
J:うーん、まだ存在もしていない人の利害よりも、いま現に生きている人の利害の方が大事な気もする。それに、同世代の人に何かよいことをするならお返しをしてもらえる可能性があるけど、未来世代の人からは何も返してもらえないよ。一方的な自己犠牲をしなきゃいけないの?
K:それは本当に一方的な自己犠牲なのかな。違うと思うよ。私たちが有限な人生を生きることの意味や幸福って、誰かが私たちの遺産を引き継いで幸せに生きていってくれるっていう期待にかかっているんじゃないの。
J:i 後を継ぐ人がいないとしても、自分らしく生きられるのなら、それで十分だと思うけど。まだ納得できないから、明日、授業を受けてからまた話そう。

下線部eに関連して、不当な支配に対する行動をめぐるガンディーの思想の説明として最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
  • 不当な支配に対しては、真理を把持し、全ての生命を尊重し平和を愛して暴力に依(よ)らずに抵抗すべきである。
  • 不当な支配に対しては、生命に対する愛に基づく不殺生の立場を貫き、一切の抵抗を断念すべきである。
  • 不当な支配に対しては、身体的な欲望のままに振る舞うことを旨とするブラフマチャリヤーを実践して抗(あらが)うべきである。
  • 不当な支配に対しては、暴力に屈せずに抵抗する立場を徹底して、武力闘争も辞さずに正義を実現すべきである。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題ではガンディーについてのみ聞いてきています。

ガンディー非暴力・不服従という非暴力主義の姿勢で、

インドを独立に導いたとポイントを押さえていれば簡単に解ける問題となっています。

選択肢1. 不当な支配に対しては、真理を把持し、全ての生命を尊重し平和を愛して暴力に依(よ)らずに抵抗すべきである。

適切。

 

ガンディーはインド独立の父といわれ、

サティヤーグラハ(真理把持)の姿勢により、

真理のみに忠実な抵抗活動を行いました。

選択肢2. 不当な支配に対しては、生命に対する愛に基づく不殺生の立場を貫き、一切の抵抗を断念すべきである。

不適切。

 

一切の抵抗を断念すべき」が間違いです。

選択肢3. 不当な支配に対しては、身体的な欲望のままに振る舞うことを旨とするブラフマチャリヤーを実践して抗(あらが)うべきである。

不適切。

 

ブラフマチャリヤー」が間違いです。

ブラフマチャリヤーはインドの宗教における概念で、

ブラフマー(絶対者、究極の真理)に沿った生き方で禁欲主義です。

ガンディーは非暴力主義です。

 

選択肢4. 不当な支配に対しては、暴力に屈せずに抵抗する立場を徹底して、武力闘争も辞さずに正義を実現すべきである。

不適切。

 

武力闘争も辞さず」が間違いです。

 

 

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02

ガンディーは『非暴力・不服従』を唱え、イギリスからの支配に対して暴力では抵抗せず、且つ、服従しないことを提唱しました。

選択肢1. 不当な支配に対しては、真理を把持し、全ての生命を尊重し平和を愛して暴力に依(よ)らずに抵抗すべきである。

適切

 

「真理を把持し、全ての生命を尊重し平和を愛して暴力に依(よ)らずに抵抗すべき」は

『非暴力・不服従』の思想に適っています。

選択肢2. 不当な支配に対しては、生命に対する愛に基づく不殺生の立場を貫き、一切の抵抗を断念すべきである。

不適切

 

「生命に対する愛に基づく不殺生の立場を貫き」までは正しいが、

「一切の抵抗を断念すべき」の箇所が『非暴力・不服従』に反します。

選択肢3. 不当な支配に対しては、身体的な欲望のままに振る舞うことを旨とするブラフマチャリヤーを実践して抗(あらが)うべきである。

不適切

 

ブラフマチャリヤーとは「身体的な欲望のままに振る舞うこと」ではなく、

ブラフマーというヒンドゥー教の創造神に沿った生き方であり、「禁欲」を意味します。

選択肢4. 不当な支配に対しては、暴力に屈せずに抵抗する立場を徹底して、武力闘争も辞さずに正義を実現すべきである。

不適切

 

「暴力に屈せずに抵抗する立場を徹底して、武力闘争も辞さずに正義を実現すべき」という箇所が

『非暴力・不服従』の思想に反します。

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