大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問20 (現代社会(第3問) 問5)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問20(現代社会(第3問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生のモリタさんは、間もなく定年退職する現代社会の先生と放課後に話をした。次の問いに答えよ。

先生の話を受けてモリタさんが「貿易摩擦が色々な時期に、様々な国の間で起きてますよね。でも、貿易は当事国どうしにメリットがあるから行われているのですよね」と言ったところ、先生は「理論的には貿易は各国にとって良いと言われているけど、それには前提条件があって、その条件を踏まえることが必要だよ」と、貿易のモデルとその条件について教えてくれた。
以下は国の産業が半導体産業と繊維産業であるというモデルを設け、貿易が行われるとそれぞれの国の産業がどうなるのかということを考察したものである。次の表は各製品1単位の生産に必要な人員数である。またその後の条件は、貿易をする際のその他の諸条件を示している。この表の説明と貿易が起こることの説明として最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。

条件
・生産に必要な要素は労働力のみとし、同一国内では産業間の労働移動が可能なため賃金水準は同一となり、それぞれの製品の生産に投入された労働量の比率がそのまま価格比となる。
・国内での産業間の労働移動はできるが国境を越えた労働移動はできず、二国間における同一製品の価格比は必ずしも労働投入量の比率にはならない。
・両製品に対する需要の上限は考慮する必要のない状況で、産業間の適切な労働移動があれば失業は発生しない。
問題文の画像
  • A国内では半導体1万個と繊維製品1.5トンとの価格が等しくなる。
  • B国内では繊維製品1トンと半導体1.25万個との価格が等しくなる。
  • A国が繊維製品1トンをB国に輸出し、その対価として半導体を8,000個よりも多く輸入した場合、A国は貿易による利益を常に得られる。
  • B国が繊維製品1トンをA国に輸出し、その対価として半導体を8,000個よりも多く輸入した場合、B国は貿易による利益を常に得られる。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は、「B国が繊維製品1トンをA国に輸出し、その対価として半導体を8,000個よりも多く輸入した場合、B国は貿易による利益を常に得られる」です。

 

以下、解説になります。

選択肢1. A国内では半導体1万個と繊維製品1.5トンとの価格が等しくなる。

A国では、半導体1万個の生産に80名、繊維製品1トンを生産するのに120名を要します。この場合、半導体1万個と繊維製品1.5トンとの価格が等しくはなりません。

選択肢2. B国内では繊維製品1トンと半導体1.25万個との価格が等しくなる。

B国では、半導体1万個の生産に250名、繊維製品1トンに200名の労働力を要します。そのため、繊維製品1トンと半導体1.25万個との価格が等しくなることはないです。

選択肢3. A国が繊維製品1トンをB国に輸出し、その対価として半導体を8,000個よりも多く輸入した場合、A国は貿易による利益を常に得られる。

A国は、繊維製品についてB国に比して生産性が優れています。もっとも、半導体の場面ではB国が優位にたつため、A国が常に利益を受けられるわけではないです。

選択肢4. B国が繊維製品1トンをA国に輸出し、その対価として半導体を8,000個よりも多く輸入した場合、B国は貿易による利益を常に得られる。

正解は、この肢です。

上記の通り、B国は比較的に半導体の生産が優れているので、8,000個よりも多く輸入した場合には、常に利益が生じます。

まとめ

表を用いた問題は、比較や計算などで解答を導くことが多いです。

問題文を正確に読み、焦ることなく慎重に解答しましょう。

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02

この問題は、貿易経済学の基礎的な概念を学習する問題です。
貿易が経済に与える影響・効果について考察するときに、この問題のように貿易モデルという考え方をします。
実際の貿易の経済に与える影響は、複雑なため、このように簡易化したモデルを元に始めることが多いです。

この問題の設定は、

1 国の産業は半導体産業と繊維産業の二つである
2 生産に必要な要素は、労働力のみである
3 それぞれの製品の生産に投入された労働業の比率がそのまま価格比になる
4 両国間で国境を越えた労働移動はできない
5 両製品の需要の上限は考慮する必要はない

これらの仮説によれば、両製品の価格は、そのままそれぞれの製品の労働投入量に換算できることがわかります。

ここで、労働投入量の単位を、Lとしておきます。
A国の1万個の半導体の労働生産量、価値は80L、1トンの繊維製品の労働生産量、価値は120Lになり、
B国の場合はそれぞれ250L、200Lになります。
 

選択肢1. A国内では半導体1万個と繊維製品1.5トンとの価格が等しくなる。

A国内では半導体1万個と繊維製品1.5トンとの価格が等しくなるとありますが、 

半導体1万個は、80L、繊維製品1.5トンは、表によると180Lですので、等しくなりません。
従って、不正解です。

選択肢2. B国内では繊維製品1トンと半導体1.25万個との価格が等しくなる。

B国内では、繊維製品1トンと半導体1.25万個の価格が等しくなるとありますが、
B国内の繊維製品1トンの価格は、200L、半導体1.25万個の価格は、312.5Lになるので、不正解です。
 

選択肢3. A国が繊維製品1トンをB国に輸出し、その対価として半導体を8,000個よりも多く輸入した場合、A国は貿易による利益を常に得られる。

A国が繊維製品1トンをB国に輸出し、その対価を半導体8000個より多く輸入した場合、A国は貿易による利益を常に得られる。

とありますが、
A国の繊維製品1トンは、120L、これを対価に8000トンの半導体を輸入した場合、80×0.8=64Lの対価を得ることになります。
つまり、これでは輸出のための労働の対価に見合いません。対価に見合う輸入量は、1.5万個が必要です。
従って、不正解です。

選択肢4. B国が繊維製品1トンをA国に輸出し、その対価として半導体を8,000個よりも多く輸入した場合、B国は貿易による利益を常に得られる。

B国衙繊維製品1トンをA国に輸出し、その対価として半導体8000個よりも多く輸入した場合、A国は貿易による利益を常に得られる。とありますが、
B国の繊維製品1トンは、200L、これに対し8000個の半導体の対価は、250×0.8=200Lとなり、これが正解です。
 

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