大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問27 (現代社会(第5問) 問1)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問27(現代社会(第5問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

現代社会の授業で先生から、「これまでの授業で学習したことのなかで特に関心をもったことをテーマに取り上げ、さらに深めてレポートを作成してください」と話があった。民主主義に興味をもったムトウさんは、「民主主義とは何か」についてさらに深く探究し、レポートを作成することにした。次の問いに答えよ。

ムトウさんは、はじめに民主主義の政治体制と民主主義ではない政治体制の違いは何かを調べようと思い、学校の図書室に行き、アメリカの政治学者ダールの書籍を見つけた。ダールは「自由化(公的異議申立て)」と「包括性(参加)」という二つの次元の方向性を考えた。自由化(公的異議申立て)とは、政府に対する公然たる批判がどれだけ許容されているか、また政治をめぐる競争がどれだけ存在するかを指標とする次元である。包括性(参加)とは、選挙に参加する権利や公職に就く権利がどれだけ多くの人々に認められているかを指標とする次元である。その上で次の図を示し、自由化(公的異議申立て)の程度がより高まり、かつ、包括性(参加)がより高い体制が民主化した体制であると論じていた。
そこでムトウさんは、ダールの議論を基にして民主化の具体的な事例を考えることにした。後の事例ア〜ウは、それぞれ図中のⅠ・Ⅱのいずれの移行をより推し進めていくと考えられるか。その組合せとして最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。

ア  新聞への検閲制度が廃止された。
イ  男子制限選挙から男女普通選挙に移行した。
ウ  一党制から多党制に移行した。
問題文の画像
  • Ⅰ ― ア、イ、ウ  Ⅱ ― 考えられるものはない
  • Ⅰ ― ア、イ  Ⅱ ― ウ
  • Ⅰ ― ア、ウ  Ⅱ ― イ
  • Ⅰ ― イ、ウ  Ⅱ ― ア
  • Ⅰ ― ア  Ⅱ ― イ、ウ
  • Ⅰ ― イ  Ⅱ ― ア、ウ
  • Ⅰ ― ウ  Ⅱ ― ア、イ
  • Ⅰ ― 考えられるものはない  Ⅱ ― ア、イ、ウ

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は「Ⅰーア、ウ Ⅱーイ」

以下、解説になります。

 

Ⅰについて、新聞への検閲制度が廃止されると、表現行為や内容の自由度が高まるため自由化に寄与します。また、一党制から多党制になることは、被選挙人が党へ所属する可能性を拡張させるため、これに伴って選挙や公職の自由度が高まります。

Ⅱについて、男子制限選挙から男女普通選挙に移行することは、女性も選挙に参加できる点で包括性を有しています。

選択肢1. Ⅰ ― ア、イ、ウ  Ⅱ ― 考えられるものはない

イの選挙人の拡張は、自由化を高めるものではありません。

前述の通り、包括性を高めるのは、男女普通選挙への移行です。

選択肢2. Ⅰ ― ア、イ  Ⅱ ― ウ

イの選挙人の拡張は、自由化を高めるものではありません。

前述の通り、包括性を高めるのは、男女普通選挙への移行です。

選択肢3. Ⅰ ― ア、ウ  Ⅱ ― イ

正解の肢はこちらです。

前述の通り、ア及びウが自由化に寄与し、イが包括性を有しています。

選択肢4. Ⅰ ― イ、ウ  Ⅱ ― ア

イの選挙人の拡張は、自由化を高めるものではありません。

また、検閲制度の廃止は、包括性を高めません。

選択肢5. Ⅰ ― ア  Ⅱ ― イ、ウ

前述の通り、ウは、包括性ではなく自由化を実現するものです。

選択肢6. Ⅰ ― イ  Ⅱ ― ア、ウ

前述の通り、自由化と結びつくのはア及びウです。

また、包括性を高めるのは、イです。

選択肢7. Ⅰ ― ウ  Ⅱ ― ア、イ

アは、検閲制度の廃止によって自由化を促進するものです。

選択肢8. Ⅰ ― 考えられるものはない  Ⅱ ― ア、イ、ウ

前述の通り、ア及びウが、自由化の程度を高める内容です。

まとめ

民主化に関する議論は、多角的な知識や知見が求められます。

普段から法律や憲法を読む癖をつけておきましょう。

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02

この問題では、アメリカの政治学者ダールの政治学に基づいて民主主義の理解力が問われています。

ダールによる民主主義の必須の構成要素は、

野党による公的異議申し立てを認める「自由化」と選挙への幅広い参加を認める「包括性」の二つです。


 

選択肢1. Ⅰ ― ア、イ、ウ  Ⅱ ― 考えられるものはない

アは、検閲の廃止とあります。

検閲は、広く国民の政府への異議申し立てを禁止する制度ですから、これを禁止する事は「自由化」に該当します。

イは、男女普通選挙への移行とあります。

これは「包括性」に該当します。

ウは、多党制への移行とあります。

これは、野党による公的異議申し立てを目指す制度移行なので、「自由化」に該当します。

従って、不正解です。
 

選択肢2. Ⅰ ― ア、イ  Ⅱ ― ウ

アは、検閲の廃止とあります。

検閲は、広く国民の政府への異議申し立てを禁止する制度ですから、これを禁止する事は「自由化」に該当します。

イは、男女普通選挙への移行とあります。

これは「包括性」に該当します。

ウは、多党制への移行とあります。

これは、野党による公的異議申し立てを目指す制度移行なので、「自由化」に該当します。

従って、不正解です。
 

選択肢3. Ⅰ ― ア、ウ  Ⅱ ― イ

アは、検閲の廃止とあります。

検閲は、広く国民の政府への異議申し立てを禁止する制度ですから、これを禁止する事は「自由化」に該当します。

イは、男女普通選挙への移行とあります。

これは「包括性」に該当します。

ウは、多党制への移行とあります。

これは、野党による公的異議申し立てを目指す制度移行なので、「自由化」に該当します。

従って、正解です。
 

選択肢4. Ⅰ ― イ、ウ  Ⅱ ― ア

アは、検閲の廃止とあります。

検閲は、広く国民の政府への異議申し立てを禁止する制度ですから、これを禁止する事は「自由化」に該当します。

イは、男女普通選挙への移行とあります。

これは「包括性」に該当します。

ウは、多党制への移行とあります。

これは、野党による公的異議申し立てを目指す制度移行なので、「自由化」に該当します。

従って、不正解です。
 

選択肢5. Ⅰ ― ア  Ⅱ ― イ、ウ

アは、検閲の廃止とあります。

検閲は、広く国民の政府への異議申し立てを禁止する制度ですから、これを禁止する事は「自由化」に該当します。

イは、男女普通選挙への移行とあります。

これは「包括性」に該当します。

ウは、多党制への移行とあります。

これは、野党による公的異議申し立てを目指す制度移行なので、「自由化」に該当します。

従って、不正解です。
 

選択肢6. Ⅰ ― イ  Ⅱ ― ア、ウ

アは、検閲の廃止とあります。

検閲は、広く国民の政府への異議申し立てを禁止する制度ですから、これを禁止する事は「自由化」に該当します。

イは、男女普通選挙への移行とあります。

これは「包括性」に該当します。

ウは、多党制への移行とあります。

これは、野党による公的異議申し立てを目指す制度移行なので、「自由化」に該当します。

従って、不正解です。
 

選択肢7. Ⅰ ― ウ  Ⅱ ― ア、イ

アは、検閲の廃止とあります。

検閲は、広く国民の政府への異議申し立てを禁止する制度ですから、これを禁止する事は「自由化」に該当します。

イは、男女普通選挙への移行とあります。

これは「包括性」に該当します。

ウは、多党制への移行とあります。

これは、野党による公的異議申し立てを目指す制度移行なので、「自由化」に該当します。

従って、不正解です。
 

選択肢8. Ⅰ ― 考えられるものはない  Ⅱ ― ア、イ、ウ

アは、検閲の廃止とあります。

検閲は、広く国民の政府への異議申し立てを禁止する制度ですから、これを禁止する事は「自由化」に該当します。

イは、男女普通選挙への移行とあります。

これは「包括性」に該当します。

ウは、多党制への移行とあります。

これは、野党による公的異議申し立てを目指す制度移行なので、「自由化」に該当します。

従って、不正解です。
 

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