大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問34 (倫理(第1問) 問4)
問題文
次の会話は、高校生Aとその担任の先生が面談で交わしたものである。
A:先生!最近、友達と会ったり、話したりするときに、友達にどのような態度を取ったらよいか気を遣うのが時々辛(つら)いと感じることがあって…。いっそのこと、一人で過ごした方が気が楽かも…。
先生:思い悩んでいますね。私も例に漏れませんが、誰もが悩むことです。ところで、友に対する思いは、歴史的には広い意味でa 愛という概念で捉えられてきました。
A:愛と言えば、先日の授業でb 古典や聖典の資料を読みましたよね。そのとき、愛の様々な種類やc キリスト教の隣人愛についても学びました。
先生:そうでしたね。
A:愛とまでは言えないかもしれませんが、私は友達のことを大切だとは思っています。でも、友達に関する悩みは尽きません。確か、「犀(さい)の角のようにただ一人歩め」と言って、友と過ごすよりも一人で過ごす方がよいと説くd 仏教の経典がありましたよね。
先生:うーん。しかし、その経典の記述って、そのように理解してよいのでしょうか?
下線部dに関連して、Aと先生は次の資料に基づいて後の会話を交わした。会話中の( a )・( b )に入る記述の組合せとして最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
資料
もし、……賢明な友を得るならば、一切の危難に打ち勝ち、こころ満ち足り、思慮深き者となる。その場合、その者と共に歩めばよい。もし、……賢明な友を得ないならば、……犀の角のようにただ一人歩め。(『スッタニパータ』より)
A:授業でこの資料を読んだとき、一人で過ごす方がよいと説いているように思ったのですが、改めて読むと、( a )が分かりました。
先生:ブッダの言葉として伝えられる『スッタニパータ』は、( b )を目指す部派仏教の出家修行者の生き方の指針にもなり得るものでした。現在の私たちが、自己の生き方の問題と、友との関わり方の問題を考える上でも参考になる資料ですね。
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問34(倫理(第1問) 問4) (訂正依頼・報告はこちら)
次の会話は、高校生Aとその担任の先生が面談で交わしたものである。
A:先生!最近、友達と会ったり、話したりするときに、友達にどのような態度を取ったらよいか気を遣うのが時々辛(つら)いと感じることがあって…。いっそのこと、一人で過ごした方が気が楽かも…。
先生:思い悩んでいますね。私も例に漏れませんが、誰もが悩むことです。ところで、友に対する思いは、歴史的には広い意味でa 愛という概念で捉えられてきました。
A:愛と言えば、先日の授業でb 古典や聖典の資料を読みましたよね。そのとき、愛の様々な種類やc キリスト教の隣人愛についても学びました。
先生:そうでしたね。
A:愛とまでは言えないかもしれませんが、私は友達のことを大切だとは思っています。でも、友達に関する悩みは尽きません。確か、「犀(さい)の角のようにただ一人歩め」と言って、友と過ごすよりも一人で過ごす方がよいと説くd 仏教の経典がありましたよね。
先生:うーん。しかし、その経典の記述って、そのように理解してよいのでしょうか?
下線部dに関連して、Aと先生は次の資料に基づいて後の会話を交わした。会話中の( a )・( b )に入る記述の組合せとして最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
資料
もし、……賢明な友を得るならば、一切の危難に打ち勝ち、こころ満ち足り、思慮深き者となる。その場合、その者と共に歩めばよい。もし、……賢明な友を得ないならば、……犀の角のようにただ一人歩め。(『スッタニパータ』より)
A:授業でこの資料を読んだとき、一人で過ごす方がよいと説いているように思ったのですが、改めて読むと、( a )が分かりました。
先生:ブッダの言葉として伝えられる『スッタニパータ』は、( b )を目指す部派仏教の出家修行者の生き方の指針にもなり得るものでした。現在の私たちが、自己の生き方の問題と、友との関わり方の問題を考える上でも参考になる資料ですね。
- a:もっぱら一人で生きることを勧めているわけではないこと b:阿羅漢を理想として自己の悟りの実現
- a:友と共に思慮深い者になることを勧めていること b:菩薩を理想として他者の悟りの実現
- a:危難に打ち勝てない場合には友を求めて生きることを勧めていること b:阿羅漢を理想として自己と他者の悟りの実現
- a:いつでも友を求めて生きることを勧めていること b:菩薩を理想として自己と他者の悟りの実現
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この過去問の解説 (2件)
01
正解は「a:もっぱら一人で生きることを勧めているわけではないこと b:阿羅漢を理想として自己の悟りの実現」です。
以下、解説になります。
正解は、この肢です。
aについて、ブッダは、賢明な友を持つことが有意義であることを述べています。
bについて、ブッダは、阿羅漢を目標とすることを推奨しています。
bについて、ブッダは、菩薩ではなく阿羅漢を理想としています。
aについて、ブッダは、友を求める際に「危難に打ち勝てない場合」と限定していません。
bについて、ブッダは、菩薩ではなく阿羅漢を理想としています。
資料問題では、知識量より読解力の方が重要になります。資料の内容を正確に理解しましょう。
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02
この問題に必要な前提知識は、以下の通りです。
スッタニパータ
初期仏教の最古の経典
菩薩
悟りを求める者又は人々の救済に尽力する慈悲深い存在 大乗の救済者
阿羅漢
悟りを得た者 小乗の聖者
これを踏まえたうえで、問題文の文脈を理解することで、解答を導き出せます。
スッタニパータは、初期仏教の最古の経典とされ、行者が目指すのは、阿羅漢です。
阿羅漢は、専ら自らの悟りを得た者として考えられています。
その上で、文脈を解釈すると
aもっぱら一人で生きることを勧めているわけではないこと
正解です。
b阿羅漢を理想として自己の悟りの実現
正解です。
従って、正解です。
スッタニパータは、初期仏教の最古の経典とされ、行者が目指すのは、阿羅漢です。
阿羅漢は、専ら自らの悟りを得た者として考えられています。
その上で、文脈を解釈すると
a友と共に思慮深い者になることを勧めていること
ではありません。
b菩薩を理想として他者の悟りの実現
ではありません。
従って、不正解です。
スッタニパータは、初期仏教の最古の経典とされ、行者が目指すのは、阿羅漢です。
阿羅漢は、専ら自らの悟りを得た者として考えられています。
その上で、文脈を解釈すると
a危難に打ち勝てない場合には友を求めて生きることを勧めていること
ではありません。
b阿羅漢を理想として自己と他者の悟りの実現
ではありません。
従って、不正解です。
スッタニパータは、初期仏教の最古の経典とされ、行者が目指すのは、阿羅漢です。
阿羅漢は、専ら自らの悟りを得た者として考えられています。
その上で、文脈を解釈すると
aいつでも友を求めて生きることを勧めていること
ではありません。
b菩薩を理想として自己と他者の悟りの実現
ではありません。
従って、不正解です。
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