大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問35 (倫理(第1問) 問5)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問35(倫理(第1問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

以下を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのAと先生は各々全て同じ人物である。

次の会話は、Aと先生が交わしたものである。

A:先生、先日話題になった「賢明な友」というのは、e を探求して洞察力を備えている友ということでしょうか?
先生:そういうことになるでしょうね。
A:でも、私が悩んでいるのはそういう高尚な話ではなく、日常的な友達とのf 人間関係についてです。
先生:具体的にはどのような悩みですか?
A:時々、自分が友達の役に立っているのか、友達を楽しませることができているのか、不安になるんです。
先生:ひょっとして、Aさんは、友達関係を型にはめて考えてしまい、その考えにがんじがらめになっていませんか?
A:言われてみれば、そうかもしれません。
先生:g 友達の役に立つことや、友達を楽しませることは、どういう意味を持つのでしょうか?それに、会って実際に過ごせる相手だけが友達なのでしょうか?
A:友達って、会って同じ時間を過ごす相手なんじゃないんですか?
先生:例えば、h 相手と離れていても、時代を隔てていても、友達としてのつながりを感じることができるという考え方もありますよ。

下線部eに関連して、様々な宗教や思想家における知についての考え方の説明として最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
  • ブッダは、真理を捉える知を無明と称し、無明を修得することで、苦しみから逃れられると考えた。
  • イスラームでは、神は全てを知っているが、人々の未来を宿命として定めてはいないと考えられている。
  • パウロは、律法という外的なものによってではなく、自らに内在する善を知り、その善に基づく行いを重ねることによってのみ救われると考えた。
  • エピクロスは、あらゆる現象は原子の働きに基づくという知が、人間を、迷信や死への恐怖から解放し得ると考えた。

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この過去問の解説 (2件)

01

正解は「エピクロスは、あらゆる現象は原子の働きに基づくという知が、人間を、迷信や死への恐怖から解放し得ると考えた」です。

以下、解説になります。

選択肢1. ブッダは、真理を捉える知を無明と称し、無明を修得することで、苦しみから逃れられると考えた。

ブッダは、生きることが苦しみであるため欲望を捨てれば苦しみから解放されると説きました。

選択肢2. イスラームでは、神は全てを知っているが、人々の未来を宿命として定めてはいないと考えられている。

神がすべてを知っているという真義は、イスラームではなくキリスト教です。

選択肢3. パウロは、律法という外的なものによってではなく、自らに内在する善を知り、その善に基づく行いを重ねることによってのみ救われると考えた。

パウロは、律法本来の意味や目的を明らかにしようと努めたため、自己に内在する善により救われるとは考えていません。

選択肢4. エピクロスは、あらゆる現象は原子の働きに基づくという知が、人間を、迷信や死への恐怖から解放し得ると考えた。

正解は、この肢です。

エピクロスは、原子に基づく英知が、人間に内在する偏見や恐怖心から解放されると考えています。

まとめ

宗教に関する人物や思想を問う問題は、頻出される分野です。この機会に、網羅的に覚えておくとよいでしょう。

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02

この問題を解くためには、以下の前提となる知識が必要です。

ブッダ

無明とは、煩悩の根本であり、真理を理解しない無知な状態あるいは苦しみの原因とされます。ブッダは、この無明を断ち切ることで悟りを開くことができるとします。

イスラム

イスラムの信仰者は、信仰の告白、礼拝、喜捨、断食、巡礼からなる基本行為および定められた行動規範を守ることを義務とされており、神への服従を日々の行動に表すこととされています。

パウロの思想は、律法の行いではなく、キリストへの信仰こそが神の恩寵を得る唯一の道だと説きます。

エピクロスは、精神よりも物質に存在の根拠を求めた哲学者であるが、人はどう生きるべきかを説いた点で自然科学者と異なります。


 

選択肢1. ブッダは、真理を捉える知を無明と称し、無明を修得することで、苦しみから逃れられると考えた。

ブッダによれば、

無明とは、煩悩の根本であり、真理を理解しない無知な状態あるいは苦しみの原因とされます。ブッダは、この無明を断ち切ることで悟りを開くことができるとしています。

従って、不正解です。

選択肢2. イスラームでは、神は全てを知っているが、人々の未来を宿命として定めてはいないと考えられている。

イスラム教には、天地に存するあらゆる出来事は全てアッラーによって既に定められている、とする「キスマト」という概念があります。

従って、不正解です。


 

選択肢3. パウロは、律法という外的なものによってではなく、自らに内在する善を知り、その善に基づく行いを重ねることによってのみ救われると考えた。

パウロの思想は、律法の行いではなく、キリストへの信仰こそが神の恩寵を得る唯一の道だと説きます。

しかし、律法すなわち礼拝その他の外的な行為を否定するものではなく、それらを通して深い信仰を獲得するものとも説いています。

従って、不正解です。

 


 

選択肢4. エピクロスは、あらゆる現象は原子の働きに基づくという知が、人間を、迷信や死への恐怖から解放し得ると考えた。

エピクロスは、精神よりも物質に存在の根拠を求めた哲学者であるが、人はどう生きるべきかを説いた点で自然科学者と異なります。

彼は、世界は全て、分割できない最小単位の原子からなり、人間は無駄に欲望を満たすためにやみくもに行動する必要はなく、

精神的な平静を保つことに幸福を見出すべきものと説きました。

従って、正解です。


 

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