大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問48 (倫理(第3問) 問2)
問題文
しかし、近代の思想家はこうした人間の知性を手放しで礼賛したわけではない。b モラリストの中には、自然における人間の位置付けを謙虚に見つめ直す思想家もいた。他方、c 人間の自然状態の考察から出発して国家や社会を論じる思想家も現れた。こうした思想家たちの姿勢を参考に、人間の賢さの意味を問い直す必要がある。
下線部bに関連して、次の資料は、モラリストであるモンテーニュが、人間と自然との関係について述べたものである。彼の思想、および資料の内容の説明として最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
資料
ここでは……理性という自分の武器だけで武装した人間のことを考えよう。……人間は、自分が他の被造物をはるかに優越していると思っているが、その優越性の根拠がどこにあるのか、自分自身の理性の力で示してもらいたいものだ。天空の驚くべき運行や、……果てなき大海の恐ろしい運動が、人間に役立つために作られて幾世紀も続いているなどと一体誰が彼に思い込ませたのだろう。この哀れで貧相な被造物は、自分自身すら支配できず、あらゆる事物の攻撃にさらされながら、しかも宇宙の主人であり女王であると自負しているが、これ以上に滑稽なことが考えられるだろうか。宇宙は、その一部分すら人間の認識力の範囲内にはなく、ましてや人間に宇宙を支配する力などあるはずがない。(『エセー』より)
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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問48(倫理(第3問) 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
しかし、近代の思想家はこうした人間の知性を手放しで礼賛したわけではない。b モラリストの中には、自然における人間の位置付けを謙虚に見つめ直す思想家もいた。他方、c 人間の自然状態の考察から出発して国家や社会を論じる思想家も現れた。こうした思想家たちの姿勢を参考に、人間の賢さの意味を問い直す必要がある。
下線部bに関連して、次の資料は、モラリストであるモンテーニュが、人間と自然との関係について述べたものである。彼の思想、および資料の内容の説明として最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。
資料
ここでは……理性という自分の武器だけで武装した人間のことを考えよう。……人間は、自分が他の被造物をはるかに優越していると思っているが、その優越性の根拠がどこにあるのか、自分自身の理性の力で示してもらいたいものだ。天空の驚くべき運行や、……果てなき大海の恐ろしい運動が、人間に役立つために作られて幾世紀も続いているなどと一体誰が彼に思い込ませたのだろう。この哀れで貧相な被造物は、自分自身すら支配できず、あらゆる事物の攻撃にさらされながら、しかも宇宙の主人であり女王であると自負しているが、これ以上に滑稽なことが考えられるだろうか。宇宙は、その一部分すら人間の認識力の範囲内にはなく、ましてや人間に宇宙を支配する力などあるはずがない。(『エセー』より)
- 何よりも自己の価値観を信じるべきだと説いたモンテーニュは、この資料において、人間は宇宙や自然の現象に翻弄される存在でありながら、自身ではこの事実を受け入れようとしない、と述べている。
- 人間の経験を超えた真理を追求すべきだと説いたモンテーニュは、この資料において、人間は自らを統御する力を持っており、宇宙におけるあらゆる事物を認識できると考えている、と述べている。
- 自己の絶対視を戒め、謙虚さが大切だと説いたモンテーニュは、この資料において、人間は宇宙の中で特別な役割を授けられていながら、他の被造物に対する己の優越性を否定している、と述べている。
- 独断や偏見を批判し、それらが野蛮さの原因であると説いたモンテーニュは、この資料において、人間は自らの姿をありのままに見つめようとせず、自身を宇宙の支配者だと思い込んでいる、と述べている。
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