大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問52 (倫理(第3問) 問6)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問52(倫理(第3問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)

以下を読み、後の問いに答えよ。なお、会話と問いのDと先生は各々全て同じ人物である。

次の会話は、授業後に、人間の思考と自然との関係をめぐり、高校生Dと先生が交わしたものである。

D:人間の賢さは理性的な思考能力によると考えられてきたのですよね。
先生:そうです。だから「理性的動物」というのが、古来の人間の定義でした。e 思想家たちは、理性とはどういうものか様々に論じてきました
D:でも、そうした思考能力を持った人間が、自然を自分勝手に利用し、荒らし回っていますね。それを賢さとは言いにくい感じがします。
先生:確かにそうですね。ただ、人間の思考と自然との関係について言えば、もっと別の考え方もあります。
D:それはどんなものでしょうか?
先生:例えば、文豪ゲーテは、自然はただ計量され、利用されるものではなく、本来、人間の思考と生きてつながっていると考えていました。
D:生きてつながっている、とはどういう意味でしょうか?
先生:思考する人間と眼前の自然とは、生命という根源を同じくするという考え方です。それを自覚すれば、自然は本来の生き生きとした姿で現れてくるとされます。自然を思考とは別にあるものと捉え、何かに利用しようとする態度とは、対照的だと思いませんか。
D:確かにそう思います。そう言えば、自然を利用しようとする技術のあり方を批判したハイデガーの思想を、授業で習ったことを思い出しました。
先生:よく覚えていましたね。f 人間の実存の問題から出発したハイデガーは、後年、自然はもとより人間自身をも利用可能なものとみなす近代の技術の考え方を批判しました。そして、思考する人間と自然との根源的な関係を探ろうとしました。そうしたハイデガーの問題意識は、確かに、ゲーテと通じていたと言えるかもしれません。
D:そうした思想家たちは、自然との豊かな関係を築くために、人間の思考はどうあるべきかを探求したということなのですね。
先生:そうですね。ここから、ぜひ、思考する人間の賢さの意味を考え直してみてください。

下線部eに関連して、Dはカントにおける理性の捉え方について次のレポートを作成した。カントの思想を踏まえて、レポート中の( a )~( c )に入る語句の組合せとして正しいものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。

レポート
カントは人間の理性の働きを、認識に関わる場面と、実践に関わる場面とに分けて吟味した。
人間は対象を認識するとき、( a )の形式を通して与えられたものを、( b )の枠組みによって秩序付ける。それによって、天体の運動など、あらゆる自然の出来事は、自然法則に従った、原因と結果の必然的な連鎖によって生じるものと認識される。理性はそうした認識の働きの全体を導くものとされる。
他方で、実践の場面において理性は、義務の命令として意志に直接に働きかけ、道徳法則に従った行為をさせる。理性を持つ人間の行為は、このようにして道徳法則に従う場合、( c )の現れとして理解されるのである。
  • a:悟性  b:感性  c:衝動
  • a:悟性  b:感性  c:自由
  • a:感性  b:悟性  c:衝動
  • a:感性  b:悟性  c:自由

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