大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和4年度(2022年度)追・再試験
問90 (政治・経済(第3問) 問8)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和4年度(2022年度)追・再試験 問90(政治・経済(第3問) 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

ある学校の「政治・経済」の授業では、「現代社会における政策課題」をテーマにして探究活動が行われており、最後には発表会が予定されている。まず、生徒たちは、グループに分かれて現代社会における政策課題を「国内経済の課題」「国内政治の課題」「国際社会の課題」に分けて検討した。次のメモは、各グループから出された課題を項目ごとにまとめたものである。これに関連して、後の問いに答えよ。

Ⅰ 国内経済の課題
a 市場の失敗への対応…市場メカニズムを機能しやすくする
b 財政の機能の強化…暮らしやすい社会を実現する
c 地方自治体間の財政格差の是正…国民の生活水準を維持する
d 消費者保護の推進…消費者主権を確立する
Ⅱ 国内政治の課題
・国と地方自治体との関係の見直し…適切な役割分担を実現する
e 政治の課題への対応…人々が政治に求める課題は変化する
f 選挙の仕組みの改善…代表を選び民意を政治に反映させる
・人権保障の推進…新しい人権の保障を推進する
Ⅲ 国際社会の課題
・自由貿易の推進…自由貿易を通して世界経済を発展させる
g 条約の国内実施…条約を実効的に国内実施する
h 国際裁判の進展…国際社会において裁判手続を拡充する
・国際平和の維持…集団安全保障体制を強化する

下線部hに関連して、生徒Wは、発表会で「国際社会における国際裁判の意義」について発表することとし、その準備のため、生徒Xと次の会話をしている。後のA~Dのうち、会話文中の空欄(ア)に当てはまる記述として正しいものが二つある。その二つの記述の組合せとして最も適当なものを、回答選択肢のうちから一つ選べ。

W:最近では、国家間の紛争を国際裁判所で解決する可能性が注目されてるけど、裁判による紛争の解決って、国際社会で本当に意味があるのかな。主権国家からなる国際社会では、国際裁判の意義はあまりない気がするけど。国際社会で最も権威ある裁判所である国際司法裁判所であっても、判決内容を強制する仕組みを欠いているので、結局は実力行使が紛争解決の決め手になることが多いよね。
X:国際裁判の意義って、判決内容が強制的に実現されるか否かだけで考えていいのかな。強制する措置をとれないとしても、判決を下された国はそれに従わなければならないわけだよね?
W:国際司法裁判所の判決でも、国家がそれに従うのは、その方が国益にかなうと判断したからではないのかな。判決に従わない方が国益にかなうと判断すれば、判決を無視してしまうと思うよ。
X:それもまた、国際裁判の意義を判決内容が強制的に実現されるかどうかで測る見方だよね?たとえ判決が強制されえないとしても、国際裁判所が判決を下すこと自体に大きな意味があるんじゃないかな。たとえば、国際司法裁判所が判決を下せば、( ア )。
W:なるほど。判決に従わない国に対して判決内容を強制的に実現させることができるかどうかで国際裁判の意義を測るのは、狭い見方なのかな。法の違反に権力的に対処する中央政府が存在しない国際社会において、国際裁判の意義がどこにあるのか、発表に向けて考えてみることにするよ。

A  判決に従わない国に対して紛争当事国は、判決を自らの主張の正当性の拠り所として外交交渉等の場で紛争の解決を求めていくことができるよ
B  集団殺害や戦争犯罪について個人の刑事責任も判断されることになり、法の支配の拡充に貢献することにつながるよ
C  裁判所による解釈の蓄積によって国際法のルールの内容が明確にされ、法の支配を強めることにつながるよ
D  判決に従わない国に対しては、国連安全保障理事会が判決の内容を強制的に実現させることができるよ
  • AとB
  • AとC
  • AとD
  • BとC
  • BとD
  • CとD

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

この問題は、国際社会における国際裁判の意義についての理解を問うものです。

 

国際法上 全ての国には平等に主権が認められており、その主権に上下はありません。

国際社会における国家間の紛争を解決する手段には、古くから外交と戦争とがありましたが、紛争を平和的に解決するシステムとして、第一次世界対戦後に国際連盟、第二次世界対戦後に国際連合が設立され、それに伴い国際司法裁判所が設立されました。

この国際司法裁判所の判決には強制力がないことから、その意義についての議論もありますが、判例を積み重ねることによって国際法上のルールを築いていくという意義が認められます。


 

選択肢1. AとB

国際司法裁判所に個人は提訴できません。

Bは誤りです。

従って、不正解です。

選択肢2. AとC

選択肢AとCはいずれも妥当です。

従って、正解です。

選択肢3. AとD

国際司法裁判所の判決には強制力はありません。

Dの記述は誤りです。

従って、不正解です。

選択肢4. BとC

国際司法裁判所に個人は提訴できません。

Bは誤りです。

従って、不正解です。

選択肢5. BとD

国際司法裁判所に個人は提訴できません。

Bは誤りです。

また、国際司法裁判所の判決には強制力はありません。

Dの記述は誤りです。

従って、不正解です。

選択肢6. CとD

国際司法裁判所の判決には強制力はありません。

Dの記述は誤りです。

従って、不正解です。

参考になった数0