大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問43 (倫理(第2問) 問5)
問題文
Ⅰ 高校生CとDは、縁をめぐって次の会話を交わした。
C:この前の倫理の授業、覚えてる?仏教の縁起の説明の中で、全てのものがつながり合って存在しているという話があったよね。
D:そうだね。ただ、日本で縁という場合には、人と人との出会いやつながりという意味で使われることが多いよね。
C:縁があるとかないとか、良縁とか悪縁とか、よく言われるね。日本人は、つながりや出会いという意味合いで、縁というものを考えてきたのかな。
D:そうかもしれないね。縁があっての出会いもあれば、縁が切れての別れもあるよね。昔の日本人は、そうした人の世のあり方にa 無常を感じていたと習ったのを覚えているよ。
C:人とのつながりといえば、私は、人間関係の理想的なあり方を説いたb 近世の思想の話が好きだな。人は、一人では生きられないでしょう。そういえば、今度の芸術鑑賞の授業では、c 親子の縁の話が出てくるそうだよ。
D:親子の縁かあ…。でも、d 近代になると、今度は個の自立、家からの独立が問われてくるわけだよね。気になってきたから、色々な文献を調べてみよう。
Ⅱ Ⅰの会話の数日後、CとDは授業の中で先生から次の不思議な絵を見せてもらい、それについて後の会話を交わした。
先生:この絵は一見、落書きのように見えますが、これは「南方曼荼羅」と呼ばれ、e 神社の統廃合に反対したことで知られる南方熊楠が描いた世界の姿です。彼は、この絵のように、「前後左右上下、いずれの方からも道理や筋道が行き渡り、そのことがこの宇宙を成している」と述べています。
C:熊楠は道理や筋道が縦横無尽に展開するさまを描いたわけだけど、この絵を見ていると、世界は無数の糸でつながっているような感じがします。
先生:熊楠は、古い社や境内の森林を破壊すれば、貴重な生態系が崩れるとともに、その地域に住む人々の信仰心が薄れて伝統文化が衰退し、地域やf 社会におけるつながりが失われると考えていました。
D:熊楠は、人と人とのつながりと共に、g 人と他の生き物や自然全体とのつながりに、広く目を向けていたのでしょうか。
C:なるほど。人は、社会だけでなく、自然ともつながっているのですね。そういう大きなつながりの中で、縁について考えていくと面白そうです。
下線部eに関連して、次のア・イは、古代・中世日本の神々をめぐる思想についての説明である。その正誤の組合せとして正しいものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
ア 古代の日本では、鳥や獣をはじめ、草、木、岩石などの事物にも神々が宿ると考えられており、祟(たた)りをもたらす神の排除を祭祀(さいし)の中心に置いた。
イ 日本の神々への信仰が仏教と結び付く中で、伊勢神道は神や道理に対する純粋な心情である正直の徳を説いて民衆の間に広がった。

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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問43(倫理(第2問) 問5) (訂正依頼・報告はこちら)
Ⅰ 高校生CとDは、縁をめぐって次の会話を交わした。
C:この前の倫理の授業、覚えてる?仏教の縁起の説明の中で、全てのものがつながり合って存在しているという話があったよね。
D:そうだね。ただ、日本で縁という場合には、人と人との出会いやつながりという意味で使われることが多いよね。
C:縁があるとかないとか、良縁とか悪縁とか、よく言われるね。日本人は、つながりや出会いという意味合いで、縁というものを考えてきたのかな。
D:そうかもしれないね。縁があっての出会いもあれば、縁が切れての別れもあるよね。昔の日本人は、そうした人の世のあり方にa 無常を感じていたと習ったのを覚えているよ。
C:人とのつながりといえば、私は、人間関係の理想的なあり方を説いたb 近世の思想の話が好きだな。人は、一人では生きられないでしょう。そういえば、今度の芸術鑑賞の授業では、c 親子の縁の話が出てくるそうだよ。
D:親子の縁かあ…。でも、d 近代になると、今度は個の自立、家からの独立が問われてくるわけだよね。気になってきたから、色々な文献を調べてみよう。
Ⅱ Ⅰの会話の数日後、CとDは授業の中で先生から次の不思議な絵を見せてもらい、それについて後の会話を交わした。
先生:この絵は一見、落書きのように見えますが、これは「南方曼荼羅」と呼ばれ、e 神社の統廃合に反対したことで知られる南方熊楠が描いた世界の姿です。彼は、この絵のように、「前後左右上下、いずれの方からも道理や筋道が行き渡り、そのことがこの宇宙を成している」と述べています。
C:熊楠は道理や筋道が縦横無尽に展開するさまを描いたわけだけど、この絵を見ていると、世界は無数の糸でつながっているような感じがします。
先生:熊楠は、古い社や境内の森林を破壊すれば、貴重な生態系が崩れるとともに、その地域に住む人々の信仰心が薄れて伝統文化が衰退し、地域やf 社会におけるつながりが失われると考えていました。
D:熊楠は、人と人とのつながりと共に、g 人と他の生き物や自然全体とのつながりに、広く目を向けていたのでしょうか。
C:なるほど。人は、社会だけでなく、自然ともつながっているのですね。そういう大きなつながりの中で、縁について考えていくと面白そうです。
下線部eに関連して、次のア・イは、古代・中世日本の神々をめぐる思想についての説明である。その正誤の組合せとして正しいものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
ア 古代の日本では、鳥や獣をはじめ、草、木、岩石などの事物にも神々が宿ると考えられており、祟(たた)りをもたらす神の排除を祭祀(さいし)の中心に置いた。
イ 日本の神々への信仰が仏教と結び付く中で、伊勢神道は神や道理に対する純粋な心情である正直の徳を説いて民衆の間に広がった。

- ア:正 イ:正
- ア:正 イ:誤
- ア:誤 イ:正
- ア:誤 イ:誤
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