大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問63 (倫理(第4問) 問9)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問63(倫理(第4問) 問9) (訂正依頼・報告はこちら)

以下は、高校生Fが倫理の授業で行った次の発表と、それを受けて高校生Gと交わした議論である。続く会話は、発表と議論の後にF,G,先生が交わしたものである。発表と議論も踏まえて、会話中のa~cに入る記述の組合せとして最も適当なものを、次ページの回答選択肢のうちから一つ選べ。

発表「高齢者の孤立」
少子化と高齢化と過疎化が進み、一人暮らしの高齢者が増えています。行政や施設だけでなくa 社会全体で支える必要があります。私は、孤立する人を出さないことが重要だと思います。「ひきこもり」はb 若者の問題に留(とど)まらず、中高年の間でも増加しています。衛生・健康・金銭の管理ができず、支援を拒否して孤立する人もいます。自宅で一人きりで亡くなり、何日も発見されない人は、年間で約万人も出ています。孤立する人を放置するのは、c 人間の尊厳を顧みない冷たい社会ではないでしょうか。生産人口の減少とともに福祉を担う人も不足しています。介護ロボットやd 情報通信技術を活用した独居高齢者の見守りの仕方も開発しなければなりません。私は将来、そのような研究をしたいと考えています。

G:発表を聞いて孤立の深刻さが分かりました。でも支援を拒否する人の中には、一人でいることが好きな人もいるんじゃないでしょうか。倫理の教科書にも、e 孤高に思考せよと言う思想家が出ていたような気がしますね。
F:そうでしたか。具体的な名前は、今思い浮かびませんけど…。支援を拒否する人についてですが、中には遠慮する人や強がりを言う人もいます。一人でいたいという人もf 人間関係で問題を抱えている可能性があると思うんです。
G:そう決めつけるのはどうでしょうか。私の祖父はg 自然豊かな山村でほぼ自給自足で暮らしていて、一緒に住もうって言うと一人の方が気兼ねしないと言います。h 年配の人たちの一人暮らしの意味も色々だと思うんです。
F:でも、地域社会の人口が減少していて、体を壊したら孤立無援という人もいるでしょう。誰もが健康で文化的な生活を送れるようにしないと。
G:もし私が高齢者だったら、そんなの余計なお世話だと思うでしょうね。

先生:二人の議論を聞いていて、孤立と孤独を区別できそうだと思いました。孤立は自ら望まずに集団から取り残されることですが、孤独は自ら望んで社会から一歩ひいた観点で物事を観想することだと。
F:なるほど!私が防ぎたいと思ったのは( a )だということですね。それが( b )も否定しているとGさんは受け取ったのでしょうか。
G:そう思いました。多分、私は青年期の( b )が思考の深まりと成長につながると習ったのを、高齢者に重ねていたのかもしれません。実際、年長者は豊富な人生経験や知恵を持っていると思うんです。でも、ちょっとしたきっかけで( a )に変わるのかもしれませんね。
F:例えば怪我(けが)をして出歩かなくなって体力が落ちたり、人と話さないので認知能力が低下したり…。特に独居高齢者には、話を聴きに行くなどして継続的に見守ることが必要だと思います。
G:ただ、それが監視になってしまうと、自立した人間として生きているという気持ちを尊重しない一方的な支援になると思うんですよ。
F:そうですね。でも、独居生活が困難なのに放置するのは、人間としての尊厳を損なうことになりますよね。いざというときのために見守ってもらっていると思うからこそ、安心して一人でいられるのでは?
G:なるほど、地域の信頼できる人が時々訪問する程度の、付かず離れずの継続的な見守りなら、監視にならないですね。
F:私は、発表では高齢者を一人にしないことばかり考えていましたけど、Gさんと話して、( c )ことが大切だと分かりました。支援が必要かどうかを見極めるためにも、孤立と孤独の区別は役立ちそうですね。
先生:今までの倫理の授業で出てきた、孤独に真理を探究する思想家と、孤立する他者への慈愛を説く思想家の両方が参考になりますね。
  • a 孤独
    b 孤立
    c 高齢者が周囲の人々と信頼関係を築き、一人でいたいという意思も尊重されながら、安心して自立的に生活できる環境が整っている
  • a 孤独
    b 孤立
    c 一人でいたいという高齢者の意思を尊重するが、それが遠慮や強がりではないかを見極めつつ、心身の状態が悪化したら支援する
  • a 孤独
    b 孤立
    c 高齢者が自分なりの生き方を尊重された上で、自分ではどうしようもない状況に陥ってしまったときには、支援が得られるような環境がある
  • a 孤立
    b 孤独
    c 一人で生活している高齢者が困っているとは限らないし、手助けが必要かどうかは周囲の人より本人の方が分かるので、本人の意向に任せる
  • a 孤立
    b 孤独
    c 高齢者の話に時々耳を傾け、信頼関係を築き、一人でいたいという意思を尊重しながら、独居生活が尊厳を損なう状態になったら支援する
  • a 孤立
    b 孤独
    c 一人で生きようとしている高齢者の尊厳を保つため、地域の人々による訪問をやめて、気付かれないように見守りのための機器を設置する

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