大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問62 (倫理(第4問) 問8)
問題文
発表「高齢者の孤立」
少子化と高齢化と過疎化が進み、一人暮らしの高齢者が増えています。行政や施設だけでなくa 社会全体で支える必要があります。私は、孤立する人を出さないことが重要だと思います。「ひきこもり」はb 若者の問題に留(とど)まらず、中高年の間でも増加しています。衛生・健康・金銭の管理ができず、支援を拒否して孤立する人もいます。自宅で一人きりで亡くなり、何日も発見されない人は、年間で約万人も出ています。孤立する人を放置するのは、c 人間の尊厳を顧みない冷たい社会ではないでしょうか。生産人口の減少とともに福祉を担う人も不足しています。介護ロボットやd 情報通信技術を活用した独居高齢者の見守りの仕方も開発しなければなりません。私は将来、そのような研究をしたいと考えています。
G:発表を聞いて孤立の深刻さが分かりました。でも支援を拒否する人の中には、一人でいることが好きな人もいるんじゃないでしょうか。倫理の教科書にも、e 孤高に思考せよと言う思想家が出ていたような気がしますね。
F:そうでしたか。具体的な名前は、今思い浮かびませんけど…。支援を拒否する人についてですが、中には遠慮する人や強がりを言う人もいます。一人でいたいという人もf 人間関係で問題を抱えている可能性があると思うんです。
G:そう決めつけるのはどうでしょうか。私の祖父はg 自然豊かな山村でほぼ自給自足で暮らしていて、一緒に住もうって言うと一人の方が気兼ねしないと言います。h 年配の人たちの一人暮らしの意味も色々だと思うんです。
F:でも、地域社会の人口が減少していて、体を壊したら孤立無援という人もいるでしょう。誰もが健康で文化的な生活を送れるようにしないと。
G:もし私が高齢者だったら、そんなの余計なお世話だと思うでしょうね。
下線部hに関連して、次の図1・図2は授業で配付されたものであり、60歳以上の人を対象に調査を行った結果の一部である。図1は一人暮らし、図2はそれ以外の回答者が、現在どの程度生きがいを感じているか(「生きがい感」と略す)という質問に回答した人数とその内訳を示す。次ページの会話は、この結果についてFとGが交わしたものである。図1・図2および会話の文脈も踏まえて、会話中のa・bに入る記述の組合せとして最も適当なものを、次ページの回答選択肢のうちから一つ選べ。
F:一人暮らしの人は生きがい感が低いと思っていたけど、図1・図2を見ると、( a )んだね。一人暮らしの人でもそうでない人でも生きがいを感じているという人が多いんだな。一人暮らししやすい社会の仕組みになっているのかもしれないし、もしかして一人の方がストレスなく生きられる人も一定数いるのかもしれないな。
G:その国ではそうかもしれないけど、( b )んだね。誰かと暮らしている人の方が生きがいを感じているという結果だから、支え合って生きる方が良いと考えるような文化的価値観があるのかもしれないね。

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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問62(倫理(第4問) 問8) (訂正依頼・報告はこちら)
発表「高齢者の孤立」
少子化と高齢化と過疎化が進み、一人暮らしの高齢者が増えています。行政や施設だけでなくa 社会全体で支える必要があります。私は、孤立する人を出さないことが重要だと思います。「ひきこもり」はb 若者の問題に留(とど)まらず、中高年の間でも増加しています。衛生・健康・金銭の管理ができず、支援を拒否して孤立する人もいます。自宅で一人きりで亡くなり、何日も発見されない人は、年間で約万人も出ています。孤立する人を放置するのは、c 人間の尊厳を顧みない冷たい社会ではないでしょうか。生産人口の減少とともに福祉を担う人も不足しています。介護ロボットやd 情報通信技術を活用した独居高齢者の見守りの仕方も開発しなければなりません。私は将来、そのような研究をしたいと考えています。
G:発表を聞いて孤立の深刻さが分かりました。でも支援を拒否する人の中には、一人でいることが好きな人もいるんじゃないでしょうか。倫理の教科書にも、e 孤高に思考せよと言う思想家が出ていたような気がしますね。
F:そうでしたか。具体的な名前は、今思い浮かびませんけど…。支援を拒否する人についてですが、中には遠慮する人や強がりを言う人もいます。一人でいたいという人もf 人間関係で問題を抱えている可能性があると思うんです。
G:そう決めつけるのはどうでしょうか。私の祖父はg 自然豊かな山村でほぼ自給自足で暮らしていて、一緒に住もうって言うと一人の方が気兼ねしないと言います。h 年配の人たちの一人暮らしの意味も色々だと思うんです。
F:でも、地域社会の人口が減少していて、体を壊したら孤立無援という人もいるでしょう。誰もが健康で文化的な生活を送れるようにしないと。
G:もし私が高齢者だったら、そんなの余計なお世話だと思うでしょうね。
下線部hに関連して、次の図1・図2は授業で配付されたものであり、60歳以上の人を対象に調査を行った結果の一部である。図1は一人暮らし、図2はそれ以外の回答者が、現在どの程度生きがいを感じているか(「生きがい感」と略す)という質問に回答した人数とその内訳を示す。次ページの会話は、この結果についてFとGが交わしたものである。図1・図2および会話の文脈も踏まえて、会話中のa・bに入る記述の組合せとして最も適当なものを、次ページの回答選択肢のうちから一つ選べ。
F:一人暮らしの人は生きがい感が低いと思っていたけど、図1・図2を見ると、( a )んだね。一人暮らしの人でもそうでない人でも生きがいを感じているという人が多いんだな。一人暮らししやすい社会の仕組みになっているのかもしれないし、もしかして一人の方がストレスなく生きられる人も一定数いるのかもしれないな。
G:その国ではそうかもしれないけど、( b )んだね。誰かと暮らしている人の方が生きがいを感じているという結果だから、支え合って生きる方が良いと考えるような文化的価値観があるのかもしれないね。

- a アメリカの方が日本よりも回答者全体における一人暮らしの割合が高いし、アメリカでは生きがいを「大変感じている」と回答した一人暮らしの人の割合も5割を超えている
b 日本では、生きがいを「あまり感じていない」と「まったく感じていない」の回答を合わせた割合は一人暮らしでは約1割ある - a 日本の一人暮らし以外の回答者は、生きがいを「あまり感じていない」と「まったく感じていない」の回答を合わせても約1割しかないけど、一人暮らしの回答者だと合わせて約3割もある
b アメリカでは、一人暮らしでも生きがいを「大変感じている」と回答した人数は日本より多い - a アメリカでは、回答者全体における一人暮らしの割合が日本よりも高いし、アメリカの回答者は一人暮らしでもそうでなくても約8割以上が生きがいを大変または多少は感じていると回答している
b 日本では、生きがいを大変または多少は感じている人が一人暮らし以外の回答者では約7割なのに、一人暮らしの回答者では約5割に下がる - a 日本では、生きがいを大変または多少は感じている人の割合が、一人暮らし以外の回答者では約7割なのに、一人暮らしの回答者では約4割に低下する上、「あまり感じていない」人の割合も4分の1くらいある
b アメリカでは、一人暮らしでも生きがいを「大変感じている」と回答した人の割合が5割を超えている
正解!素晴らしいです
残念...
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