大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和5年度(2023年度)追・再試験
問93 (政治・経済(第4問) 問6)
問題文
生徒Xと生徒Yは、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の日本での実現」について探究を行い、クラスで発表することとなった。XとYは、調査発表計画を話し合い、その手順を次のようにノートにまとめた。これに関して、後の問いに答えよ。
雇用と労働をめぐる問題
探究のポイント
1.厳しい経済情勢の下での労働者の現状について調べる
2.働きがいのある人間らしい仕事の実現のための方策を考える
Ⅰ.課題の設定
〇ディーセント・ワークとは
◇さまざまな要素を包含
(例)生活に困らない収入の保障、a 仕事と家庭生活との両立、働く上での権利の確保など
〇実現にあたりどのような課題があり、どのような取組みがなされているか?
Ⅱ.情報の収集
〇国際機関の宣言や文書
◇ディーセント・ワークはILO(国際労働機関)が推進
◇国連のSDGs(持続可能な開発目標)でも言及
〇政府および民間組織の統計資料や報告書
◇日本の労働者のb 賃金、c 消費、働き方などの現状把握
Ⅲ.課題の探究
〇日本の労働者の現状の分析
◇Ⅱの情報に基づく分析
〇ディーセント・ワークの日本での実現のための企業や国の取組み
◇d 企業による労働環境の改善
◇e 国による法制度の整備
※必要に応じてⅡとⅢを繰り返す
Ⅳ.まとめと発表
〇f ディーセント・ワークの日本での実現に関する発表
◇日本の労働者の現状の紹介と、企業や国による取組みについての調査の報告
◇労働者の権利実現のための制度をさらに充実させていく方策の提案
下線部fについて、次の発表原稿は生徒Xと生徒Yがクラスで発表する内容の一部であり、後の図は発表で使用するものである。発表原稿中の空欄ア~ウに当てはまるものとして正しいものを、それぞれ図中のa~cから一つずつ選び、その組合せとして正しいものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
発表原稿
ここまでの発表では、日本の労働者の賃金や消費、働き方の現状を紹介してきました。そして、現状の改善のための政府や企業による取組みについて、私たちが調査したことを報告しました。国や企業の側による取組みだけでなく、労働者の側が自ら権利実現のために制度を活用することも重要です。
労働者の権利実現に従来から大きな役割を果たしてきた組織として、労働組合があります。図中の( ア )は、労働組合の組織率を表したものです。労働組合は、労働条件の改善や賃金の引上げなどを求めて企業と交渉を行い、交渉がまとまらないときにはストライキを行うこともあります。
こうした労働組合と企業との間に生じる労働争議は、集団的労働関係紛争とも呼ばれます。それに対して、労働者個々人と企業との間の紛争は、個別的労働関係紛争と呼ばれます。そのような紛争を解決する機関の一つとして裁判所があります。裁判所では、民事訴訟や労働審判によって、個別的労働関係紛争を扱っています。図中の( イ )は労働関係の民事訴訟の件数の推移、( ウ )は労働審判の件数の推移を表しています。とくに、リーマン・ショック後の時期に、これらの件数が急増しています。この理由としては、経済情勢の悪化だけでなく、労働者の権利意識の向上や職場の雇用形態の多様化が指摘されることがあります。
これら以外にも紛争解決のためのさまざまな制度が作られています。たとえば、行政の機関による相談や斡旋(あっせん)などの制度があります。
以上のような多様な制度をさらに利用しやすくしていくことが、ディーセント・ワークの実現につながるのではないかと思います。

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問題
大学入学共通テスト(公民)試験 令和5年度(2023年度)追・再試験 問93(政治・経済(第4問) 問6) (訂正依頼・報告はこちら)
生徒Xと生徒Yは、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の日本での実現」について探究を行い、クラスで発表することとなった。XとYは、調査発表計画を話し合い、その手順を次のようにノートにまとめた。これに関して、後の問いに答えよ。
雇用と労働をめぐる問題
探究のポイント
1.厳しい経済情勢の下での労働者の現状について調べる
2.働きがいのある人間らしい仕事の実現のための方策を考える
Ⅰ.課題の設定
〇ディーセント・ワークとは
◇さまざまな要素を包含
(例)生活に困らない収入の保障、a 仕事と家庭生活との両立、働く上での権利の確保など
〇実現にあたりどのような課題があり、どのような取組みがなされているか?
Ⅱ.情報の収集
〇国際機関の宣言や文書
◇ディーセント・ワークはILO(国際労働機関)が推進
◇国連のSDGs(持続可能な開発目標)でも言及
〇政府および民間組織の統計資料や報告書
◇日本の労働者のb 賃金、c 消費、働き方などの現状把握
Ⅲ.課題の探究
〇日本の労働者の現状の分析
◇Ⅱの情報に基づく分析
〇ディーセント・ワークの日本での実現のための企業や国の取組み
◇d 企業による労働環境の改善
◇e 国による法制度の整備
※必要に応じてⅡとⅢを繰り返す
Ⅳ.まとめと発表
〇f ディーセント・ワークの日本での実現に関する発表
◇日本の労働者の現状の紹介と、企業や国による取組みについての調査の報告
◇労働者の権利実現のための制度をさらに充実させていく方策の提案
下線部fについて、次の発表原稿は生徒Xと生徒Yがクラスで発表する内容の一部であり、後の図は発表で使用するものである。発表原稿中の空欄ア~ウに当てはまるものとして正しいものを、それぞれ図中のa~cから一つずつ選び、その組合せとして正しいものを、後の回答選択肢のうちから一つ選べ。
発表原稿
ここまでの発表では、日本の労働者の賃金や消費、働き方の現状を紹介してきました。そして、現状の改善のための政府や企業による取組みについて、私たちが調査したことを報告しました。国や企業の側による取組みだけでなく、労働者の側が自ら権利実現のために制度を活用することも重要です。
労働者の権利実現に従来から大きな役割を果たしてきた組織として、労働組合があります。図中の( ア )は、労働組合の組織率を表したものです。労働組合は、労働条件の改善や賃金の引上げなどを求めて企業と交渉を行い、交渉がまとまらないときにはストライキを行うこともあります。
こうした労働組合と企業との間に生じる労働争議は、集団的労働関係紛争とも呼ばれます。それに対して、労働者個々人と企業との間の紛争は、個別的労働関係紛争と呼ばれます。そのような紛争を解決する機関の一つとして裁判所があります。裁判所では、民事訴訟や労働審判によって、個別的労働関係紛争を扱っています。図中の( イ )は労働関係の民事訴訟の件数の推移、( ウ )は労働審判の件数の推移を表しています。とくに、リーマン・ショック後の時期に、これらの件数が急増しています。この理由としては、経済情勢の悪化だけでなく、労働者の権利意識の向上や職場の雇用形態の多様化が指摘されることがあります。
これら以外にも紛争解決のためのさまざまな制度が作られています。たとえば、行政の機関による相談や斡旋(あっせん)などの制度があります。
以上のような多様な制度をさらに利用しやすくしていくことが、ディーセント・ワークの実現につながるのではないかと思います。

- ア ― a イ ― b ウ ― c
- ア ― a イ ― c ウ ― b
- ア ― b イ ― a ウ ― c
- ア ― b イ ― c ウ ― a
- ア ― c イ ― a ウ ― b
- ア ― c イ ― b ウ ― a
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この過去問の解説 (1件)
01
【ア】
労働組合の組織率は年々低下しています。
産業構造の変化、雇用形態の複雑化などが低下の原因として挙げられます。
よって答えはcです。
【イ】
答えはbです。
2006年労働審判制度導入により、一時的に労働関係の民事訴訟の件数が減少しました。
【ウ】
労働審判制度は2006年4月にスタートしました。
よって答えはaです。
不適当
ア…不適当です。
イ…適当です。
ウ…不適当です。
不適当
ア…不適当です。
イ…不適当です。
ウ…不適当です。
不適当
ア…不適当です。
イ…不適当です。
ウ…不適当です。
不適当
ア…不適当です。
イ…不適当です。
ウ…適当です。
不適当
ア…適当です。
イ…不適当です。
ウ…不適当です。
適当
ア…適当です。
イ…適当です。
ウ…適当です。
労働に関する問題や実態、取り組みや法整備などを理解しておきましょう。
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