大学入学共通テスト(公民) 過去問
令和6年度(2024年度)本試験
問21 (現代社会(第4問) 問1)

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問題

大学入学共通テスト(公民)試験 令和6年度(2024年度)本試験 問21(現代社会(第4問) 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

高校生のオダさんは、現代社会の授業で開発途上国の経済に関連したレポートを作成することになった。そこで、開発途上国のA国に商社の駐在員として以前赴任していた叔父を訪ねたところ、A国での開発戦略、累積債務問題、インフレーション(インフレ)と国際通貨基金(IMF)の支援について話を聞くことができた。次の会話文を読んで、後の問いに答えよ。

叔父:A国は戦後の日本の成長と対照的なので君にも興味をもってもらえると思う。国際収支でみると、日本は民間の製造業の主導で高度経済成長を遂げて、輸出を拡大して経常収支の黒字を計上してきたよね。今では海外からの配当・利子の額が大きいので( ア )の黒字が経常収支の黒字を支えているけどね。一方A国政府は、財政赤字に加え慢性的な経常収支赤字と開発資金不足にも悩んでいて、外国政府からの援助を受けていた。
オダ:日本のa 政府開発援助も受けているんだよね。民間ビジネスが拡大してA国に出張する人が増えて、現地の宿泊業も繁盛したと聞いたよ。叔父さんが出張でA国のホテルに泊まったとき、その宿泊代金の支払いは、国際収支では( イ )に含まれるよね?
叔父:そうだね。A国政府はそれらの援助でも不足する開発資金を外国の銀行から米ドルで大規模に借り入れて資源開発を行い、その輸出で経常収支を改善し成長を目指したんだ。

上の会話文中のア・イに入る語句の組合せとして最も適当なものを、次のうちから一つ選べ。
  • ア:第一次所得収支  イ:貿易収支
  • ア:第一次所得収支  イ:サービス収支
  • ア:第二次所得収支  イ:貿易収支
  • ア:第二次所得収支  イ:サービス収支

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題で覚えておくポイントは以下のとおりです。
国際収支は、貿易やサービスの取引だけでなく、投資に関する収益や国際協力に基づく移転などを含む広範な取引を集計しています。
特に、「第一次所得収支」とは、海外への投資活動によって得られる配当や利子などの収益に関する収支を指し、「サービス収支」は旅行や輸送、宿泊などのサービスの取引に関連する収支です。
これらの違いを理解しておくことが、国際経済の問題を読み解くために重要です。

では問題を見てみましょう。

選択肢1. ア:第一次所得収支  イ:貿易収支

この選択肢では、第一次所得収支と貿易収支の組合せが示されています。
第一次所得収支は、企業や個人が海外に投資して得た配当金や利子収入などを記録するものであり、日本はこの収支の黒字によって経常収支を支えています。
一方、宿泊代金の支払いは、財やサービスの取引に該当するため、貿易収支(モノの取引)ではなく、サービス収支に含まれるべきです。
したがって、この組合せは誤りです。

選択肢2. ア:第一次所得収支  イ:サービス収支

この選択肢では、第一次所得収支とサービス収支の組合せが示されています。
第一次所得収支は海外投資による利子や配当の受け取りに関する収支であり、日本の経常収支黒字を支える要素となっています。
また、ホテルなど宿泊サービスの支払いは、サービス収支に分類されます。
このため、この組合せは正しいと言えます。

選択肢3. ア:第二次所得収支  イ:貿易収支

この選択肢では、第二次所得収支と貿易収支の組合せが示されています。
第二次所得収支は、無償の資金援助や寄付金など一方的な移転を記録する項目です。
配当や利子とは異なるため、日本の経常収支黒字を説明するには適していません。
さらに、宿泊代金が貿易収支に含まれるという記述も誤りです。

選択肢4. ア:第二次所得収支  イ:サービス収支

この選択肢では、第二次所得収支とサービス収支の組合せが示されています。
第二次所得収支は贈与や援助などに関する収支であり、利子や配当などの収益とは異なるため、経常収支黒字を説明するには不適切です。
宿泊代金がサービス収支に該当する点は正しいものの、第一次所得収支と区別できていないため、組合せとしては正しくありません。

まとめ

この問題では、国際収支における各収支項目の役割を正確に区別できるかが問われています。
特に、第一次所得収支は配当や利子収入、サービス収支は旅行や宿泊などのサービスの取引に関連することをしっかり押さえておきましょう。
用語を正確に区別する意識が重要です。

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